β遮断薬で心不全患者の突然死を防げますか?

ご訪問ありがとうございます。

 

今回は心不全患者に対するβ遮断薬の効果を見たメタ分析です。

 

参考文献 β-Blockers for the prevention of sudden cardiac death in heart failure patients: a meta-analysis of randomized controlled trials.

リンク   https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=23848972

 

PMID:23848972

 

研究デザイン:メタ分析

 

論文のPECO

P:18歳以上の心不全患者

E:β遮断薬

C:プラセボ

O:①心臓突然死 ②心血管死亡 ③総死亡

 

 

 

一次アウトカムは明確か?

→明確といえる

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

4つのバイアス

1、評価者バイアス

・複数の評価者が独立してデータ収集しているか不明(記載が見つけられず)

 

評価者バイアス不明

 

2、出版バイアス

情報元:Central、MEDLINE

・参考文献も検索している

・言語制限なし

・ファンネルプロットも大きな偏りはないと思われる

 

 

出版バイアスはさほど問題なさそう

 

 3、元論文バイアス

Jadad scoreを用いて本論文の質を評価

→全ての元論文が3~5点(High quality)

※Table1参照

 

元論文バイアスもさほど問題なさそう

 

4、異質性バイアス

→心臓突然死、心血管死亡は異質性が低い。総死亡はやや異質性あり。

 

 

結果

心臓突然死

OR0.69 (95%CI:0.62~0.77) I2=0% p<0.00001  NNT=43

 

心血管死亡

OR0.71 (95%CI:0.64~0.79) I2=16% p<0.00001  NNT=26

 

総死亡

OR0.67 (95%CI:0.59~0.76) I2=40% p<0.00001  NNT=21

 

 

感想

 心不全患者の心臓突然死、心血管死亡、総死亡ともにβ遮断薬で抑えることが出来るという結果である。

 メタ分析であり、BucindololやNebivelolといった聞きなれないβ遮断薬のRCTも含まれているため、NNTはそのまま鵜呑みにはできないと思うが、この結果からだと、β遮断薬は安易に中止しにくいように感じた。元論文や関連論文も読んでみようと思う。

 

 今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。

転倒リスクのある薬(FRIDs)は股関節骨折を増やしますか?

ご訪問ありがとうございます。

 

今回は、転倒リスクのある薬(FRIDs:fall risk-increasing drugs )と、股関節骨折リスクに関する論文です。

 

参考文献 Is use of fall risk-increasing drugs in an elderly population associated with an increased risk of hip fracture, after adjustment for multimorbidity level: a cohort study.

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=25475854

 

PMID:25475854

 

研究デザインコホート研究

 

論文のPECO

P:75歳以上の高齢

E:FRIDs使用あり

C:FRIDs使用無し

O:股関節骨折

 

 

研究対象集団の代表性

→一般人口を対象にしており、大きな問題無し

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

調節した交絡因子は何か?

→年齢、性別、併存疾患

 

 

結果

股関節骨折

(心血管薬)

心臓病に用いられる血管拡張薬 OR=0.89(95%CI:0.74~1.06)

 

降圧薬 OR=1.26(95%CI:0.46~3.42)

 

利尿薬 OR=0.97(95%CI:0.84~1.12)

 

βブロッカー OR=0.92(95%CI:0.80~1.07)

 

カルシウム拮抗薬 OR=0.83(95%CI:0.69~1.00)

 

RAS阻害薬 OR=0.93(95%CI:0.79~1.09)

 

(向精神薬)

オピオイド OR=1.56(95%CI:1.34~1.82)

 

ドパミン作動薬 OR=1.78(95%CI:1.24~2.55)

 

リチウム以外の抗精神病薬 OR=1.31(95%CI:0.98~1.75)

 

抗不安薬 OR=1.31(95%CI:1.11~1.54)

 

睡眠薬・鎮静薬 OR=1.31(95%CI:1.13~1.52)

 

抗うつ薬 OR=1.66(95%CI:1.42~1.95)

 

感想

 心血管薬では股関節骨折は増えないが、向精神薬では増えるという結果である。降圧薬でも股関節骨折は増えないという結果だが、この論文だけではリスクがないと言えないと思うので、関連論文を読んでいこうと思う。特に、降圧薬など開始時や増量時には転倒、骨折に十分注意が必要かと思う。

 個人的に、交絡因子の調整も不十分な気がするので、結果を鵜呑みには出来ないかなという印象。

 併用しているFRIDsが増えると、全体、また向精神薬では股関節骨折リスクが増える傾向にある。多剤併用患者では、より注意が必要かと思う。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。

日本人におけるリバーロキサバン vs ワルファリン

ご訪問ありがとうございます。

 

前回の記事に続けて、J-ROCKET AF試験読んでみました。

 

参考文献 Rivaroxaban vs. warfarin in Japanese patients with atrial fibrillation – the J-ROCKET AF study –.

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22664783

 

PMID:22664783

 

研究デザイン:ランダム化比較試験(非劣性)

※非劣性マージン:2.0

 

論文のPECO

P:20歳以上で脳卒中リスクの高い、非弁膜症性心房細動の日本人患者1280名

E:リバーロキサバン15mg/日(クレアチニンリアランス30~49ml/minの患者では10mg/日)

C:ワルファリン(75歳未満はINR2.0~3.0を、75歳以上ではINR1.6~2.6を目指す)

O:(Primary)安全性: 大出血と臨床上意義のある非大出血の複合アウトカム

      有効性:脳卒中と全身性塞栓症

 

※虚血性脳卒中・一過性脳虚血発作・非中枢神経系の全身塞栓症の既往歴、以下のうち2つ以上のリスク因子を持つ患者(うっ血性心不全または左室駆出率≦35%、高血圧、75歳以上、糖尿病)

 

ランダム化されているか?

→ランダム化されている

 

一次アウトカムは明確か?

→明確といえる

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

盲検化されているか?

→二重盲検されている

 

均等に割り付けられているか

→均等に2群に割り付けられていると思われる

 

ITT解析を行われているか?

→On-treatment解析、ITT解析

 

サンプルサイズ

→1200名

※The study was not powered to test efficacy hypotheses and efficacy endpoints were evaluated in both the per-protocol and intention-to-treat (ITT) populations.

→有効性を評価するにはパワーが足りない

 

追跡期間

→30カ月

 

結果

【ベースライン】

平均年齢:71.1歳

CHADS2スコア:3点以上の患者が82~85%程度

 

大出血と臨床上意義のある非大出血の複合アウトカム(principal safety outcome

リバーロキサバン群:18.04%/年vs ワルファリン群:16.42%/年

HR=1.11(95%CI:0.87~1.42) →非劣性が示された 

 

大出血

リバーロキサバン群:3.00%/年vs ワルファリン群:3.59%/年

HR=0.85(95%CI:0.50~1.43)

 

臨床上意義のある非大出血

リバーロキサバン群:15.42%/年vs ワルファリン群:12.99%/年

HR=1.20(95%CI:0.92~1.56)

 

有害事象

リバーロキサバン群:23.6% vs ワルファリン群:24.3%

 

鼻出血(出血の中で最も頻度が高かったもの)

リバーロキサバン群:16.3% vs ワルファリン群:9.4%

 

脳卒中と全身塞栓症(Primary efficacy endpoint

リバーロキサバン群:1.26%/年vs ワルファリン群:2.61%/年

HR=0.49(95%CI:0.24~1.00) p=0.050

※検出力不足の為参考程度に

 

感想

 日本人の心房細動患者で、リバーロキサバンのワルファリンに対する大出血と臨床上意義のある非大出血の複合アウトカムの非劣性が示された。

 ROCKET AF試験ではワルファリン群は統一してINR2.0~3.0にコントロールしていたが、本研究では年齢により75歳以上では1.6~2.6にコントロールしており、より慎重にワルファリンの量を調節している印象である。また、リバーロキサバンの量も15mg/日と国内で用いられている量になっている。

 脳卒中と全身塞栓症(Primary efficacy endpoint)は、HR=0.49(95%CI:0.24~1.00)で、リバーロキサバン群で少ない傾向にあるが、検出力不足であるため参考程度にとどめておいた方が良さそうである。

 他の論文やサブ解析なども探してみて、「どういった患者さんなら、ワルファリンよりDOACの使用を検討するか?」という事も考えていこうと思う。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。

心房細動患者に対するリバーロキサバンvsワルファリン

ご訪問ありがとうございます。

 

今回は、リバーロキサバンとワルファリンの比較です。ROCKET AF試験ってやつですね。

 

 参考文献 Rivaroxaban versus warfarin in nonvalvular atrial fibrillation.

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=21830957

 

PMID:21830957

 

研究デザイン:ランダム化比較試験(非劣性)

※非劣性マージン:1.46

 

論文のPECO

P:脳卒中リスクの高い、非弁膜症性心房細動患者14264名

E:リバーロキサバン20mg/日(クレアチニンリアランス30~49mL/minの患者は15mg/日)

C:ワルファリン(INR2.0~3.0になるよう用量調節)

O:(Primary) 脳卒中(虚血性・出血性)と全身塞栓症の複合アウトカム

 

脳卒中リスク:脳卒中・一過性脳虚血性発作・全身塞栓症の既往歴、以下のうち2つ以上該当(心不全、左室駆出率35%以下、高血圧、75歳以上、糖尿病)

→CHADS2スコア≧2点

 

ランダム化されているか?

→ランダム化されている

 

一次アウトカムは明確か?

→明確といえる

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

盲検化されているか?

→二重盲検されている(double-dummyもされている)

※who provided sites with either real INR values (for patients in the warfarin group in

order to adjust the dose) or sham values (for patients in the rivaroxaban group receiving placebo warfarin) during the course of the trial.

→INRの変動で盲検化が見破られないよう、ワルファリン群は実際のINRを、リバーロキサバン群は偽値のINRを提供されている

 

隠蔽化されているか?

→Randomization was performed with the use of a central 24-hour, computerized, automated voice-response system.

隠蔽化されていると思われる

 

均等に割り付けられているか

→均等に2群に割り付けられていると思われる

 

ITT解析を行われているか?

→ITT解析、Per-protocol解析

 

サンプルサイズ

→14000名(パワー95%、α=5%)

 

脱落率は結果を覆すほどあるか?

→追跡率=99.8%

 

追跡期間

→中央値707日

 

結果

【ベースライン】

年齢:中央値73歳

CHADS2スコア:平均値:3.5点 中央値:3.0点

 

【アウトカム】

脳卒中と全身塞栓症の複合アウトカム(Primary outcome

リバーロキサバン群:1.7/100人年 vs  ワルファリン群: 2.2/100人年

HR=0.79(95%CI:0.66~0.96) p<0.001(非劣性が示された)

 

安全性

大出血+臨床上意義のある非大出血

リバーロキサバン群:14.9/100人年 vs  ワルファリン群: 14.5/100人年

HR=1.03(95%CI:0.96~1.11) p=0.44

 

大出血

リバーロキサバン群:3.6/100人年 vs  ワルファリン群: 3.4/100人年

HR=1.04(95%CI:0.90~1.20) p=0.58

 

頭蓋内出血

リバーロキサバン群:0.5/100人年 vs  ワルファリン群: 0.7/100人年

HR=0.67(95%CI:0.47~0.93) p=0.02 

 

感想

 Primary outcomeである脳卒中と全身塞栓症の複合アウトカムは、リバーロキサバンがワルファリンに比べて劣っていない事が示されている。また、大出血は両群で差が無く、頭蓋内出血はリバーロキサバン群で少ないという結果である。用量が国内で用いられているものよりやや多いので、もう少し変わってくることも考えられるが。

 現実として、リバーロキサバンとワルファリンの間で薬価の差が非常に大きい。そのことを考慮すると、頭蓋内出血が少ないとはいえ、247人に1人程度頭蓋内出血を回避できる程度の違いであり、積極的にワルファリンからリバーロキサバンに変更を勧めるというようなものではないという印象である。

 国内の結果を検討した、J-ROCKET AF試験も読んでおく必要がある。↓

参考文献 Rivaroxaban vs. warfarin in Japanese patients with atrial fibrillation – the J-ROCKET AF study –.

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22664783

 

PMID:22664783

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。

DOACはワルファリンより死亡を減らせますか?

ご訪問ありがとうございます。

 

今回は、DOAC vs ワルファリンの死亡についてのメタ分析を見つけたので、読んでみました。

 

参考文献 Comparing mortality in patients with atrial fibrillation who are receiving a direct-acting oral anticoagulant or warfarin: a meta-analysis of randomized trials.

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=24986568

 

PMID:24986568

 

研究デザイン:メタ分析

 

論文のPECO

P:心房細動患者

E:DOAC

C:ワルファリン

O:①総死亡 ②血管性死亡 ③出血性死亡 ④頭蓋内出血

 

 ※対象となっているDOAC

→ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン

 

一次アウトカムは明確か?

→明確といえる

 

真のアウトカムか?

→いずれも真のアウトカム

 

4つのバイアス

1、評価者バイアス

→2名の評価者が独立して(?)データ抽出

 

評価者バイアスはさほど問題なさそう

 

2出版バイアス

情報元:PubMed

・言語制限などは不明。未出版のデータも探してはいないと思われる。

 

出版バイアスはやや疑われるかも?

 

3、元論文バイアス

・Cochrane Collaboration toolを用いて評価している

→there was a low risk of bias for all key domains for the ROCKET-AF, ARISTOTLE and ENGAGE AF-TIMI 48 trials. For the RE-LY trial, there was an unclear risk of bias for one key domain but, overall, a low risk of bias for all other key domains (Table 2 and Table S2).

 

元論文バイアスもさほど問題なさそう

 

4、異質性バイアス

・総死亡、血管性死亡、出血性死亡の異質性は少ない。頭蓋内出血は、やや異質性あり。

 

 

結果

総死亡

DOAC:3205/42341件 vs ワルファリン:2245/29221件

RR0.89 (95%CI:0.85~0.94) I2=0% p<0.0001

ARR=0.76 NNT=132

 

血管性死亡

DOAC:2098/42341件 vs ワルファリン:1465/29221件

RR0.88 (95%CI:0.82~0.94) I2=0%  p<0.0001

ARR=0.53 NNT=189

 

出血性死亡

DOAC:165/42304件 vs ワルファリン:208/29221件

RR0.54 (95%CI:0.44~0.67) I2=0%  p<0.00001

ARR=0.32 NNT=313

 

頭蓋内出血

DOAC:272/42304件 vs ワルファリン:425/29221件

RR0.42 (95%CI:0.34~0.53) I2=53%  p<0.00001

ARR=0.85 NNT=118

 

感想

総死亡、血管性死亡、出血性死亡、頭蓋内出血のいずれもワルファリン群に比べ、DOAC群で少ないという結果。

 しかしながら、NNTを見てみると総死亡は132、血管性死亡は189、出血性死亡は313、頭蓋内出血は118ということで、その薬価に見合っただけのベネフィットが得られるかと問われると、微妙な感じがする。

 個々の元論文によって、追跡期間やワルファリンのTTRが異なるため、単純にDOAC同士の効果の比較をすることは、このメタ分析の結果からは難しいと思われる。

 このテーマについては、引き続き追いかけていこうと思う。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。

喘息のコントロールにフルチカゾン+ビランテロールはどうですか?

ご訪問ありがとうございます。

 

今回は、喘息患者に対するフルチカゾンフランカルボン酸+ビランテロールの効果に関する論文です。残念ながらアブストラクトしか読めない論文です。

 

参考文献 Effectiveness of fluticasone furoate plus vilanterol on asthma control in clinical practice: an open-label, parallel group, randomised controlled trial.

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28903864

 

PMID:289003864

 

研究デザイン:ランダム化比較試験

 

論文のPECO

P:18歳以上の症候性喘息と診断され吸入剤による維持療法を受けている患者

E:フルチカゾンフランカルボン酸(100 or 200㎍)+ビランテロール25㎍を1日1回吸入

C:通常ケア

O:(Primary) ベースラインのACTスコアが20点未満の患者のうち、ACTスコアが20点を上回った患者、または24週後でベースラインからACTスコアが3点以上改善した患者(レスポンダー)の割合

 

※ACTスコア(喘息コントロールスコア)について↓

GSKホームページより http://zensoku.jp/tools/tools_002.html

 

ランダム化されているか?

→ランダム化されている

 

一次アウトカムは明確か?

→明確といえる

 

真のアウトカムか?

→代用のアウトカム?

 

盲検化されているか?

→オープンラベル

 

均等に割り付けられているか

→不明

 

ITT解析を行われているか?

→ITT解析されている

 

サンプルサイズ

→サンプルサイズに関する詳細の記載が見つけられず。

 

脱落率は結果を覆すほどあるか?

→追跡率に関する記載が見当たらない

 

追跡期間

→12カ月

 

結果

レスポンダーの割合

E群:977/1373名(71%)vs C群:784/1399名(56%)

OR=2.00(95%CI:1.70~2.34) p<0.0001

 

ベースラインからの平均ACTスコアの変化

E群:4.4点 vs C群:2.8点

両群の差:1.6点(95%CI:1.3~2.0点) p<0.0001

 

有害事象

両群間に重篤な有害事象の発生の差はなかった。

 

感想

 レスポンダーの割合は、フルチカゾン+ビランテロール群で有意に多いという結果。しかしながら、この研究はオープンラベルのデザインであり、このような自己評価スコアのような主観的なアウトカムでは、プラセボ効果も無視できないのではないだろうか。

 また、改善したスコアの差も通常ケア群と比べて1.6点ということで、25点満点の1.6点がどの程度臨床上大きな差なのかは疑問である。

 ただ、実際に現れてくる効果としては、プラセボ効果+実際の薬剤の効果となると思う。有害事象を確認するのには人数が少ないような気もするが、この人数では有害事象に差が無かったという事も踏まえ、しばらく使ってみるという選択肢もアリかなと思った。

 この領域に関しては、デバイスの使い勝手という事も重要かと思う。エリプタは比較的操作も簡単だと思うが、うまく使えるかの確認も重要かなと思う。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございます。

心筋梗塞後の少量n‐3系脂肪酸で心血管イベントは減らせますか?

ご訪問ありがとうございます

 

今回は、心筋梗塞後の患者に対するn-3系脂肪酸の、心血管イベント抑制効果に関する論文です。

 

参考文献 n-3 fatty acids and cardiovascular events after myocardial infarction.

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=20929341

 

PMID:20929341

 

研究デザイン:ランダム化比較試験

 

論文のPECO

P:60~80歳の、10年以内に心筋梗塞を起こした患者のうち降圧薬、抗血栓薬、脂質補正薬の治療を行っている患者4837名

E:①EPA+DHA400mg ②α-リノレン酸(ALA)2g ③EPADHA+α-リノレン酸

C:プラセボ

O:(Primary) 致死的・非致死的心血管イベント(心筋梗塞、心停止、脳卒中を含む)、PCI、冠動脈バイパス術の複合アウトカム

 

※引用文献16を参照↓↓

http://www.ahjonline.com/article/S0002-8703(10)00074-8/pdf

 

※除外基準

マーガリンの1日摂取量<10g、n-3系サプリメント使用、1年以内の5kg以上の意図しない体重減少、余命1年未満の悪性腫瘍

 

ランダム化されているか?

→ランダム化されている

 

一次アウトカムは明確か?

→明確??(あまり具体的な記載ではない印象)

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

盲検化されているか?

→二重盲検されている

 

均等に割り付けられているか

→均等に2群に割り付けられていると思われる

 

ITT解析を行われているか?

→ITT解析されている

 

サンプルサイズ

→4800名(パワー80%、α=5%)※Supplementary Appendixより

 

脱落率は結果を覆すほどあるか?

→No patients were lost to follow-up.(追跡率100%)

 

追跡期間

→中央値3.7年

 

結果

EPA-DHA群:EPA-DHA服用あり、ALA/プラセボ群:EPA-DHA服用無し

※ALA群:ALA服用あり、EPA/プラセボ群:ALA服用無し

 

Primary outcome

EPA-DHA群:336/2404件(14.0%)vs ALA/プラセボ群:335/2433件(13.8%)

HR=1.01(95%CI:0.87~1.17) p=0.93

 

ALA群:319/2409件(13.2%)vs EPA-DHA/プラセボ群:352/2428件(14.5%)

HR=0.93(95%CI:0.78~1.05) p=0.20

 

感想

 心筋梗塞後の患者に対してEPA-DHA、α-リノレン酸の追加投与ともに心血管イベントを減らさないという結果である。

 用いられているEPADHAの平均用量はEPAが226mg、DHAが150mgであり、国内で用いられるような量と比較すると少ない。

 少なくともこの論文によると、心筋梗塞後の患者に対してEPADHA、ALAいずれも心血管イベントを減らすような結果ではなく、積極的に少量のn-3系脂肪酸の追加摂取を勧めるような印象ではない。.

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。