変形性関節症に対するエトドラク+エペリゾン vs エトドラク単独

整形外科領域でよくエペリゾンが使われますが、果たしてその効果は如何に?と思っていて、エペリゾンの論文を検索したところ、以下の論文が引っかかりました。

 

変形性関節症患者へ、NSAIDのエトドラクを単独で使うのと、そこにエペリゾンを上乗せするのの比較をしたランダム化比較試験の論文です。

 

参考文献

Randomized Controlled Trial of Etodolac versus Combination of
Etodolac and Eperisone in Patients of Knee Osteoarthritis

 

リンク http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24194981

 

ランダム化比較試験 オープンラベル

 

論文のPECO

P:変形性関節症患者60名

E:エトドラク600mg+エペリゾン150mg

C:エトドラク600mg単独

O:(Primary)各グループにおける、8週間の自発痛VASの変化量(0-10)

  (Secoudary)8週後の関節の圧痛、腫脹、紅斑、動いた時の痛み、機能的能力のスコアの変化(0-4)

 

ランダム化されているか?

タイトルにRandomizedの記載あり→ランダム化

Randomization was done by using computer-generated random list in 1 : 1 ratio.

という記載もあり。

 

一次アウトカムは明確か?

VASスケールなので明確とは言い難い

 

真のアウトカムか?

痛みはその人の日常生活に多大な影響を及ぼす→真のアウトカム

 

盲検化されているか?

open label試験なので、患者、医療者は妄検化されていない。

Patients in the etodolac group didn’t receive any placebo medication.

エトドラク単独群では、プラセボも使っていない。

 

しかし、Patients and Methodsのところに、Treatment allocation was
concealed; sealed envelopes were opened at the time of allocation.

治療の割り付けは隠蔽化されたと記載があるため、第三者の評価者には、割り付けが分からない、いわゆるPROBE法を用いている?

 

ITT解析を行っているか?

特に記載がなく、判断できなかった。

TABLE2とTABLE3の人数が同じなので、ITTかも。

 

結果

Primary outocome

 

ベースライン

8週間後

エトドラク+エペリゾン

7.37 ± 0.61

1.93 ± 0.84

エトドラグ単独

7.43±0.63

2.40±1.14

 

Secondary outocome

いずれも有意差無し

 

有害事象

エペリゾン追加群でやや頻度が高くなるが、あまり気にするほどではないかも。

 

感想

今回の試験は、オープンラベル試験であり、患者本人はどちらの群に割り付けられているか分かっている状態で治療が進んでいることに注意が必要。

 エトドラクとしては、600mgを用いており、国内の通常用量と比べるとやや多めである。エトドラクを国内の通常用量で試験すると、多少もう少し差は出てくるのかもしれないが、その差は大きくないように思われる。

 オープンラベル試験であるにもかかわらず、エペリゾン追加でほとんど痛みの感じ方に差は見いだせていない。

 1本の論文だけから評価するわけにはいかないと思うが、少なくともこの論文だけから言うと、痛みを緩和する目的でのエペリゾンの効果はあまり期待できず、処方薬の種類が多い患者で薬剤数を減らしたいという希望がある場合は、削除できそうな薬の候補に入るかもしれない。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。