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血糖値は厳格に管理するべきですか?

ご訪問ありがとうございます。

 

今回は、割と有名な報告かも知れませんが、血糖値のコントロールと予後に関する論文です。

 

 参考文献 Effects of Intensive Glucose Lowering in Type 2 Diabetes

リンク  http://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa0802743

 

研究デザイン:多施設共同ランダム化比較試験 

double two-by-two factorial design

→4733名は血圧120mmHg未満を目指すintensive群と140mmHg未満を目指すstandard群に分けている。また、5518名はfenofibrate群とプラセボ群でLDLコレステロールを比較。この試験も同時進行している。

 

ランダム化されているか?

METHODSにrandmized

ランダム化されている

 

論文のPECO

P:平均年齢62.2歳の平均HbA1c=8.1%の患者10,251名

※除外基準

頻繁に又は直近の重篤な低血糖を起こした患者、家庭での血糖測定やインスリン注射の実行が難しい患者、BMI>45、血清クレアチニン>1.5mg/dL、その他の重大な疾患

E:HbA1c=6.0未満を目指す(厳格治療群)

C:HbA1c=7.0~7.9%を目指す(標準治療群)

O:(Primary outcome)非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、心血管に起因する死の複合アウトカム

 

 一次アウトカムは明確か?

Primary outcomeは3項目の複合アウトカムになっているので一応明確と言える

 

真のアウトカムか?

真のアウトカム

 

サンプルサイズ

standard therapy群で2.9%/年のプライマリーアウトカムが発生すると仮定して、intensive therapy群のプライマリーアウトカムが15%減少するのをα=5%で89%のパワーを持って検出できるよう設定。

 

 

追跡期間

3.5年間(厳格治療群では死亡が多くなることが判明し、当初の予定よりも早期に終了)

 

盲険化されているか?

オープンラベル試験(PROBE法?)

 

ITT解析を行われているか?

STATISTICAL ANALYSISの2549ページ8行目にintention-to-treatの記載があるのでITT解析

 

結果

・厳格治療群では、標準治療群に比べ低血糖、体重増加、体液貯留が有意に多く見られた。

 

・3年後の体重増加は、厳格治療群3.5kg、標準治療群0.4kg

 

・治療開始4か月後の平均HbA1cは、厳格治療群6.7%、標準治療群7.5%

Primary outcome

厳格治療群

標準治療群

HR(95%CI)

p値

352/5128(6.9%)

371/5123(7.2%)

0.9.(0.78-1.04)

0.16

 

Secondary outcome

 

厳格治療群

標準治療群

HR(95%CI)

p値

総死亡

257/5128(5.0%)

203/5123

(4.0%)

1.22

(1.01-1.46)

0.04

心血管因性死亡

135/5128(2.6%)

94/5123

(1.8%)

1.35

(1.04-1.76)

0.02

非致死性心筋梗塞

186/5128(3.6%)

235/5123

(4.6%)

0.76

(0.62-0.92)

0.004

非致死性脳卒中

67/5128(1.3%)

61/5123

(1.2%)

1.06

(0.75-1.50)

0.74

うっ血性心不全

152/5128(3.0%)

124/5123

(2.4%)

1.18

(0.93-1.49)

0.17

 

厳格治療群の方が標準治療群より死亡発生が多くなることが判明し、予定より早期に(3.5年)試験終了となった。

 

 

感想

血糖値はしっかり下げた方がよいという、これまで信じてこられた結果を覆されるような研究結果である。Primary outcomeの発生率はほぼ同等である。ところが、Secondary outcomeではあるが、総死亡(5.0%vs5.0% HR=1.22)、心血管因性死亡(2.6%vs1.8% HR=1.35)共に厳格治療群の方が多くなっている。

 この結果のみをもって、血糖値は厳格に下げてはいけないというものではないだろうが、大変重要な報告であろう。

 この結果を得たとして、実際HbA1cを厳格にコントロールしようとする治療を見かけても、そこに処方医の存在もあり信用問題に発展する可能性もあるため、患者に対してそのままこの情報を伝えることは出来ない。薬を出来れば飲みたくないという患者に対しても、薬物を中止するような助言も出来ない。糖尿病関連の論文は数多あるので、それらも読み、さらなるエビデンスを得なければならない。それらも加味しながら、可能であればそれらをまとめて処方医を訪問して相談してみるというのも1つの手であろう。

個々の糖尿病治療薬と心血管イベントや死亡等にの関連についての論文も読んでいく必要性を感じる。

 重要なのは、HbA1cの数値が下がる事を何よりも喜びとしている患者もいる事である。このような患者の場合は、ある意味厳格治療を行う事もアリなのかもしれない。治療の中心には患者の価値観が存在することも忘れてはならない。

 

 

今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。