緊張型頭痛に対するNSAID+エチゾラム vs NSAID単独
ご訪問ありがとうございます。
頭痛に対してエチゾラムが用いられるパターンも日頃、時々見かけますが、併用することで症状改善にどの程度寄与するのでしょうか?
参考文献 Multi-center Randomized Control Trial of Etizolam Plus NSAID Combination for Tension-type Headache
リンク http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4209092/pdf/12325_2014_Article_156.pdf
PMID: 17443036
研究デザイン:多施設共同ランダム化比較試験(日本)
ランダム化されているか?
タイトルにズバリRandomizedの記載があるのでランダム化
論文のPECO
P:緊張型頭痛の患者で従来からOTCの頭痛薬服用している144名
E:頭痛時にメフェナム酸250mgとエチゾラム0.5mgを併用(NSAID+ET群)
C:頭痛時にメフェナム酸250mg単独(NSAID群)
O:(Primary)服用前後での頭痛の強さと肩の痛みのVAS変化
(Secondary)性別、年齢別の服用前後での頭痛の強さと肩の痛みのVAS変化
※除外基準
継続的に鎮痛剤、NSAID、精神安定剤、筋弛緩薬、頭痛に対する非薬物療法を行っている患者、研究者の承認なしに12時間以内にOTCの頭痛薬服用または、1日以内に頭痛薬を処方された患者、妊婦、授乳婦、30日以内に治験に参加した者
※NSAIDとしてメフェナム酸が選ばれた理由…エチゾラムと同包した時の安定性が保証されているからと記載あり
サンプルサイズ
記載なし
一次アウトカムは明確か?
Primary outcomeは、頭痛と肩の痛みをVASスケールで評価→明確と言い難い
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
盲検化されているか?
不明
隠蔽化されているか?
エチゾラムとメフェナム酸は形、大きさ、重さ、色を似せて、見た目で区別できないようにしているので隠蔽化の工夫が行われている。
ITT解析を行われているか?
→Per-protocol解析?
脱落率は結果を覆すほどあるか?
追跡率=89.6% 問題無し
結果
服用前後の頭痛のVASスケール
|
服用前 |
服用後 |
NSAID+ET群 |
5.7±2.4 |
2.4±2.1 |
5.4±2.1 |
2.7±2.2 |
服用前後の肩の痛みのVASスケール
|
服用前 |
服用後 |
NSAID+ET群 |
6.1±2.3 |
3.7±2.4 |
6.0±2.4 |
4.0±2.5 |
・女性では、頭痛に関してはNSAID+ET群でNSAID群に比べ有意なVASの改善
・女性では、肩の痛みに関してNSAID+ET群でNSAID群に比べ有意なVAS改善
・39歳以下では、肩の痛みはNSAID+ET群でNSAID群に比べ有意なVAS改善
有害事象
|
NSAID+ET群 |
|
眠気、疲労感 |
6件(9.2%) |
0件 |
めまい |
2件(3.1%) |
1件(1.5%) |
感想
中程度以上の頭痛時にNSAIDを頓用で服用する場合に、エチゾラム0.5mgを併用するか否かで痛みの改善具合を比較した研究である。
この結果のみからだと、頭痛、肩の痛みともにNSAIDにエチゾラムを上乗せしても、NSAID単独群とVASスケールの差は見られなかったとのことで、あまり上乗せによる効果は期待できないのだろうか。上乗せ効果があっても臨床上大きな差にはならなさそうである。
女性では、NSAIDにエチゾラム併用で頭痛、肩の痛みのVASともに、NSAID単独と比較して有意な改善となっている。また、39歳以下では、肩の痛みはNSAID+ET群でNSAID群に比べ有意なVAS改善となっているが、いずれも臨床上大きな意味のある差とはならないような印象である。
この研究は例数も少ないので、他の論文についても探してみる必要がある。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。