細菌性前立腺炎に対するレボフロキサシンvsシプロフロキサシン
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今回は、細菌性前立腺炎に対するニューキノロン系抗生物質の比較についてです。
参考文献 Safety and efficacy of levofloxacin versus ciprofloxacin for the treatment of chronic bacterial prostatitis in Chinese patients.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=22864282
PMID:22864282
研究デザイン:ランダム化、オープンラベル 非劣勢試験
ランダム化されているか?
→されている
論文のPECO
P:慢性細菌性前立腺炎既往のある患者、細菌性前立腺炎の症状や徴候のある者408名
E:レボフロキサシン500mg 1日1回→209名
C:シプロフロキサシン500mg 1日2回→199名
O:細菌排除率、臨床上の有効率(症状/徴候)、有害事象、症状再燃率
※前立腺炎の症状/徴候・・・穏やかな前立腺の圧痛(明白な結節)、排尿障害、恥骨上不快感、射精痛、腰痛、会陰部不快感、頻尿、切迫感、遅延排尿、尿間伐、尿閉、直腸指診の痛み、発熱、悪寒
※除外基準
重篤な心疾患、肺疾患、肝疾患、腎疾患、精神異常、重篤な前立腺肥大症
サンプルサイズ
400名(パワー82~92%、α=5%)
一次アウトカムは明確か?
→アウトカムが複数あり、どれが一次アウトカムが不明確
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
盲検化されているか?
→オープンラベル
ITT解析を行われているか?
→行われている(非劣勢試験では、差が出にくくなるITT解析でOK?)
脱落率は結果を覆すほどあるか?
→脱落はシプロフロキサシン群の1例のみ
結果
臨床上の有用性(治癒+改善)
|
有効件数 |
有効率 |
レボフロキサシン群 |
195/209 |
93.3% |
シプロフロキサシン群 |
143/199 |
71.86% |
※臨床上の有用性=臨床上の治癒+臨床上の改善
臨床上の治癒…治療完了後における慢性前立腺炎の全症状の消失
臨床上の改善…スクリーニング時からの顕著な症状の減少
再発率
レボフロキサシン群:4.00% シプロフロキサシン群:19.25%
有害事象
|
レボフロキサシン群 |
シプロフロキサシン群 |
全有害事象 |
7/209(3.33%) |
12/199(6.03%) |
治療関連有害事象 |
6/209(2.87%) |
11/199(5.53%) |
感想
レボフロキサシンの方が有用率は高いといった結果。しかし、オープンラベルの研究であることには注意が必要かなという印象。また、非劣勢試験だそうなので、差が出にくくなるITT解析を用いることが妥当なのかという疑問や、この試験でどちらのほうが有効と結論していいのかも疑問。
レボフロキサシンの臨床上の用法・用量は500mgを1日1回、シプロフロキサシンの用法・用量は100~200mgを1日2~3回服用なので、国内で用いられる用法・用量も当てはまる。今回は、ニューキノロン系薬剤同士の比較であったが、プラセボとの比較の結果も気になる所である。抗生物質を飲まない場合の自然治癒がどんなものなのか・・・。
そもそも、自分が非劣勢試験についてあまり良く分かっていないので、他にも当って慣れていかなければならないと感じました。非劣勢マージンってどこにも見当たらなかったのですが、何か他に見方があるのでしょうか?
とりあえず、まだまだ僕は勉強不足だということは、この論文からはっきりしました。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。