アジスロマイシン、レボフロキサシンを使うと不整脈や死亡リスクは高まりますか?
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今回は、アジスロマイシン、レボフロキサシンの服用と死亡・重篤な不整脈の発生リスクについてです。
参考文献 Azithromycin and levofloxacin use and increased risk of cardiac arrhythmia and death.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=24615307
PMID:24615307
研究デザイン:後ろ向きコホート研究
論文のPECO
P:米国の退役軍人1757,689名
E:①アジスロマイシン→594,792名
②レボフロキサシン→201,798名
C:アモキシシリン→979,380名
O:(Primary)総死亡
(Secondary)重篤な不整脈(QT延長症候群、心室頻拍、心室細動、心室粗動、心停止)
研究対象集団の代表性
→退役軍人なので、一般集団とはやや違った特性があるかも
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
調節した交絡因子は何か?マッチングされているか?
→傾向スコアマッチングが用いられている?IPTWで重み付け??
(交絡因子)抗生剤の適応疾患、民族、年齢、性別、BMI、喫煙、併存疾患、併用薬剤、検査所見
追跡期間
→1~5日 or 6~10日
結果
総死亡
アジスロマイシン(1~5日) vs アモキシシリン HR=1.48(95%CI:1.05-2.09)
p=0.003
アジスロマイシン(6~10日) vs アモキシシリン HR=1.14(95%CI:0.81-1.62)
p=0.812
レボフロキサシン(1~5日) vs アモキシシリン HR=2.49(95%CI:1.70-3.64)
p≦0.001
レボフロキサシン(6~10日) vs アモキシシリン HR=1.95(95%CI:1.32-2.88)
p≦0.001
重篤な不整脈
アジスロマイシン (1~5日)vs アモキシシリン HR=1.77(95%CI:1.20-2.62)
p≦0.001
アジスロマイシン(6~10日) vs アモキシシリン HR=1.37(95%CI:0.91-2.15)
p=0.179
レボフロキサシン(1~5日) vs アモキシシリン HR=2.43(95%CI:1.56-3.79)
p≦0.001
レボフロキサシン(6~10日) vs アモキシシリン HR=1.75(95%CI:1.09-2.82)
p=0.039
感想
アジスロマイシン群、レボフロキサシン群のいずれも死亡、重篤な不整脈はアモキシシリン服用群に比べ高くなる傾向があるという結果。しかも、服用期間中のアウトカム発生であるとなると、なかなか衝撃的な論文と感じた。しかし、追跡期間が10日以下と短いため、絶対数はそこまで多くはないのではないだろうか。
プラセボ比較ではないため、使用の有無による比較ではないが、アジスロマイシン、レボフロキサシンともに少なくとも死亡リスクや重篤な不整脈が起きやすくなる可能性がある事は覚えておいた方がいいだろう。
但し、今回の研究の対象患者が、米国の退役軍人である点や、国内においてアジスロマイシンを5日間以上継続して飲み続けることは少ないと思うのでその点は、この結果を実臨床に適応するうえで考慮しなければならないかなと思う。
今回も、最後まで付き合い頂きありがとうございました。