ゾルピデム服用で緑内障のリスクは増えますか?

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今回は、ゾルピデム服用と緑内障の新規診断の関連を研究した論文です。

 

参考文献 Association between zolpidem use and glaucoma risk: a Taiwanese population-based case-control study.

リンク    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21314645

 

PMID:21314645

 

研究デザイン:症例対象研究

 

論文のPECO

P:緑内障を発症した患者8898名と、性別・年齢でマッチした非緑内障の者35592名

E:ゾルピデム服用あり

C:ゾルピデム服用無し

O:新規緑内障の診断

※事前にベンゾジアゼピン系服用患者は除外

 

研究対象集団の代表性

台湾の国民健康保険のデータベースを使用。平均年齢は40.5歳→問題なさそう

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

調節した交絡因子は何か?マッチングされているか?

→調整されている

(交絡因子)併存疾患:糖尿病、冠動脈疾患、高血圧、高脂血症、不安、うつ病

 

 結果

緑内障新規診断

・全体

E群 vs C群  OR=1.19(95%CI:1.02-1.38)

 

ゾルピデム平均使用量ごとのOR

<40mg/年 E群 vs C群  OR=1.06(95%CI:0.83-1.37)

 

40-199mg/年 E群 vs C群  OR=1.19(95%CI:0.83-1.37)

 

≧200mg/年 E群 vs C群  OR=1.31(95%CI:1.03-1.68)

 

・併存疾患ごとのOR

高血圧 E群 vs C群  OR=1.16(95%CI:1.08-1.25)

 

糖尿病 E群 vs C群  OR=1.95(95%CI:1.77-2.14)

 

冠動脈疾患 E群 vs C群  OR=0.98(95%CI:0.87-1.10)

 

高脂血症 E群 vs C群  OR=1.35(95%CI:1.24-1.48)

 

うつ病 E群 vs C群  OR=0.77(95%CI:0.51-1.18)

 

不安症 E群 vs C群  OR=1.48(95%CI:1.16-1.90)

 

感想

結果としては、新規に緑内障の診断を受けた患者では、非発症者に比べてゾルピデム使用者の割合が高いという結果。交絡因子としては、併存疾患ぐらいなので物足りないような感じがする。併用薬なども調整する必要があるのではないだろうか?

 そして、ゾルピデムの年間使用量が増えるほど、緑内障の新規診断も増えていく傾向にあるので、ゾルピデム服用と緑内障には関連が疑われる。

 併存疾患ごとのORに関しては、糖尿病や高脂血症があるとややリスクが高まる傾向にあるようだが、交絡として調整されているとはいえ、疾患による影響もあるような気がする。

 他の眠剤緑内障の関連についても調べてみたい。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。