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スタチンの使用は、うつ病の発症に影響を与えますか?

ご訪問ありがとうございます。

 

アトルバスタチン服用中のうつ病患者さんの処方から、ある日突然アトルバスタチンの処方が無くなった症例を経験しました。

 

よく患者さんの話を聞いていると、「コレステロールの薬はうつ病には良くないって先生が言ってたよ~」と患者さんがおっしゃっていました。

 

そうなの??と正直驚きながらも、そのような報告があるのか調べてみました。

 

参考文献 Statin use and risk of depression: a Swedish national cohort study.

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25471121

 

PMID:25471121

 

研究デザイン:一般集団対象コホート研究

 

論文のPECO

P:2006年1月1日現在スウェーデン在住の40歳以上の男女4,607,990名

E:スタチンの服用あり

C:スタチンの服用無し

O:うつ病の発症

 

※用いられたスタチン:シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン

 

※除外基準

スタチンの処方以前にうつ病の診断を受けている者

 

研究対象集団の代表性

スウェーデンの国家データを用いており、大きな問題無し

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

調節した交絡因子は何か?

→性別、年齢、婚姻状況、教育、家族収入、心配疾患による入院、アルコール依存による入院、冠動脈疾患による入院、居住地域(大都市、南部、北部)

 

追跡期間

→2006年1月1日~2008年12月31日までの3年間

 

結果

うつ病の診断

全スタチン    Adjusted OR=0.95(95%CI:0.91-0.99) p=0.016

 

シンバスタチン  Adjusted OR=0.93(95%CI:0.89-0.97) p=0.001

 

プラバスタチン  Adjusted OR=0.90(95%CI:0.74-1.09) p=0.268

 

フルバスタチン  Adjusted OR=0.98(95%CI:0.65-1.46) p=0.914

 

アトルバスタチン Adjusted OR=1.11(95%CI:1.01-1.22) p=0.032

 

ロスバスタチン  Adjusted OR=1.21(95%CI:0.92-1.60) p=0.177

 

感想

 スタチン全体としては、ややうつ病の発症を減らす傾向にあるという結果だが、あくまでもコホート研究の結果であり、ギリギリ有意差も出ているといった感じ。個々のスタチンごとに結果を見ていくと、シンバスタチンやプラバスタチンはややうつ病発症を減らす方向、一方、アトルバスタチンやロスバスタチンはややうつ病を増やす方向に向いている。

 ここで、スタチンについて整理してみると、シンバスタチンやプラバスタチンは、いわゆるスタンダードスタチン、アトルバスタチンやロスバスタチンはストロングスタチンである。

 こうして見ていくと、何となくストロングスタチンの方が、ややうつ病を増やすというような傾向が見られる気がする。

 Table1を見てみると、用いられているスタチンのうちシンバスタチンの占める割合が非常に大きく、全スタチンの結果はこのシンバスタチンの結果に引っ張られてしまっているような印象。

 この研究だけ見ると、あまり大きな影響は無いのかもしれないが、うつ病を併発しているような患者さんには安易にストロングスタチンを処方することは避けた方がいいのかな?という感想。

 本研究では研究対象から外されているが、ピタバスタチンの結果も気になる所である。年齢が高くなると、うつ病発症のオッズは低くなる傾向が見られているのも興味深い。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。