ドンペリドン服用と心臓突然死に因果関係はありますか?
ご訪問ありがとうございます。
今回は、ドンペリドン服用と、心臓突然死に因果関係があるかを検討した観察研究の論文(アブストのみ)を2つ読んでみました。
☆論文その1
参考文献 Risk of serious ventricular arrhythmia and sudden cardiac death in a cohort of users of domperidone: a nested case-control study.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20652862
PMID:20652862
研究デザイン:ネステッドケースコントロール研究
論文のPECO
P: 重篤な心室性不整脈/心臓突然死を起こした患者(1608名)と、アウトカム発生日、誕生年、性別、糖尿病の有無でマッチングしたコントロール群(6428名)→平均年齢79.4歳
E:直近のドンペリドン服用あり
C:①ドンペリドン服用無し
②直近のPPI服用あり
研究対象集団の代表性
→問題無し
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
調節した交絡因子は何か?
→アブストに記載なし
追跡期間
→具体的な記載なし
結果
ドンペリドン服用あり vs ドンンペリドン服用無し OR=1.59(95%CI:1.28-1.98)
ドンペリドン服用あり vs PPI服用あり OR=1.44(95%CI:1.12-1.86)
感想
アブストしか読めず詳細は不明だが、直近のドンペリドン服用は、心室性不整脈や心臓突然死に影響があるかもしれない。重篤な有害事象(心臓突然死は1度発生すると取り返しがつかない)を検証したものであり、軽視すべきではないと思われる。他のアブストや全文読める文献も探して読んでみる。
☆論文その2
参考文献 Domperidone and ventricular arrhythmia or sudden cardiac death: a population-based case-control study in the Netherlands.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20925438
PMID:20925438
研究デザイン:一般人口対象症例対象研究
論文のPECO
P:発作後1時間以内の意識消失による心因性自然死または、心因性ではないと証明できない予期せぬ死が発生した1366名と、年齢、性別、居住地、アウトカム発生日でマッチしたコントロール群14114名
E:ドンペリドン服用あり
C:ドンペリドンの服用無し
O:心臓突然死
研究対象集団の代表性
→問題無し
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
調節した交絡因子は何か?
→アブストに記載なし
追跡期間
→具体的な記載なし
結果
心臓突然死
ドンペリドン>30mg/日 vs ドンペリドン無し OR=11.4(95%CI:1.99-65.2)
直近のドンペリドン使用 vs ドンペリドン無し OR=4.17(95%CI:1.33-13.1)
感想
ドンペリドン30mg以上の高用量の使用や、直近の使用が心臓突然死リスクを高める可能性が示されている。アブストしか読めず、詳細が分からない部分もあるが、ドンペリドン服用と心臓突然死に因果関係があるかもしれない。
論文その1、論文その2ともにアブストラクトのみではあるが、いずれの結果もドンペリドン服用と心臓突然死の間に因果関係が存在している可能性が示されている。論文その2の結果から、高用量の服用は注意が必要なのかもしれない。また、長期投与も注意が必要かもしれない。
今回取り上げた文献からだと、ドンペリドンは出来るだけ必要時の屯用にとどめた方がいいのかな?という感想。特に心疾患を併発している患者では、より注意が必要かもしれない。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。