【続】ドンペリドンと心臓突然死に因果関係はありますか?
ご訪問ありがとうございます。
今回も、前回に引き続きドンペリドン服用と心臓突然死の関連についてです。
参考文献 Risk of Out-of-Hospital Sudden Cardiac Death in Users of Domperidone, Proton Pump Inhibitors, or Metoclopramide: A Population-Based Nested Case-Control Study.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=26350642
PMID:26350642
研究デザイン:ネステッドケースコントロールスタディー
論文のPECO
P:院外で心臓突然死を起こした3239名と、年齢、性別、治療状況によりマッチングされたコントロール群12572名
E:ドンペリドン服用
C:①PPI服用 ②メトクロプラミド服用 ③いずれも服用無し(コントロール)
O:心臓突然死(心室性不整脈等に起因する循環不全による、予期せぬ自然死と定義)
研究対象集団の代表性
→問題無し
アウトカムは明確か?
→明確
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
調節した交絡因子は何か?
重篤な心室性不整脈歴、心筋梗塞、心不全、弁の置換術を要する心臓弁膜症、心筋症、その他の不整脈、てんかん、うつ病、QT延長症候群、ジゴキシン・利尿薬・緩下剤・βブロッカーの服用、BMI、飲酒、喫煙、医療機関の訪問
追跡期間
2005年~2011年
※現在の使用:処方薬投与期間終了から7日後まで
※過去の使用:現在の使用から60日以降
結果
現在のドンペリドン服用 vs コントロール 調整OR=1.71(95%CI:0.92-3.18)
現在のPPI服用 vs コントロール 調整OR=1.35(95%CI:1.21-1.51)
現在のメトクロプラミド服用 vs コントロール 調整OR=4.31(95%CI:2.33-7.98)
現在のPPI服用 vs コントロール 調整OR=1.35(95%CI:1.21-1.51)
ドンペリドンの平均投与量ごとのOR
<30mg/day vs コントロール 調節OR=1.96(95%CI:0.44-8.76)
30mg/day vs コントロール 調節OR=1.48(95%CI:0.69-3.19)
>30mg/day vs コントロール 調節OR=3.20(95%CI:0.59-17.34)
ドンペリドン投与日数ごとのOR
<16日 vs コントロール 調節OR=4.06(95%CI:1.55-10.67)
>16日 vs コントロール 調節OR=3.20(95%CI:0.42-2.26)
感想
これまでに読んだ論文の結果と同様に、服用無し群と比較して、ドンペリドンの服用でやや心臓突然死は増加傾向にあるようだ。現在のドンペリドン服用では、コントロール群と比較して、有意差こそ出ていないがやや増加傾向、NNH=222と、重大なアウトカムとしては決して無視できない数字と感じた。
投与量も、30mg以上ではよりアウトカム発生との関連が大きそうなので、過剰投与にならないよう気をつけたいところである。
投与日数で見てみると、16日未満の投与日数の方が、オッズは大きくなっており、服用初期でアウトカムが発生しやすい傾向にあるのかもしれないが、このデータだけでは結論しきれない。
意外にも、ドンペリソンよりもメトクロプラミドの方が、心臓突然死との強い関連が見られているので、メトクロプラミドに関しても追跡して行きたい。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。