高血圧高齢者の脳卒中予防に降圧剤使用はどれぐらい効果がありますか?(SHEP研究)

ご訪問ありがとうございます。

 

先日、薬ゼミ主催の薬剤師生涯学習講座「みんなで考えるポリファーマシー」に参加してきました。

 

非常にありがたいことに、その中で論文を何本も紹介して頂きました。

 

ご紹介頂いた論文は可能な限りメモしたので、自分がまだ読んだ事のない論文を地道に読んでいこうと思います。

 

今回は、高齢者への降圧剤と脳卒中の発生を検討した研究(SHEP trial)についてです。

 

参考文献 Prevention of stroke by antihypertensive drug treatment in older persons with isolated systolic hypertension. Final results of the Systolic Hypertension in the Elderly Program (SHEP). SHEP Cooperative Research Group.

 

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2046107

PMID:2046107

 

研究デザインプラセボ対照 ランダム化比較試験

 

ランダム化されているか?

→されている

 

論文のPECO

P:60歳以上の高齢者で、収縮期血圧160~219mmHg、拡張期血圧90mmHg未満の者

E:降圧剤使用(2365名)

C:プラセボ(2371名)

O:(Primary) 非致死性・致死性脳卒中

 (Secondary)心血管・冠動脈疾患罹患率、心血管・冠動脈性死亡、総死亡、QOL

 

※使用薬剤:クロルタリドン12.5mg/day or 25mg/day

           アテノロール25mg/day or 50mg/day

 

※詳細はよく分からないが、クロルタリドンで十分な降圧効果が見られなければ、アテノロール追加?

 

除外基準

アブストに記載なし

 

サンプルサイズ

アブストに記載無し

 

一次アウトカムは明確か?

→明確

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

盲検化されているか?

→double-blind:二重盲検されている

 

ITT解析を行われているか?

アブストに記載なし

 

脱落率は結果を覆すほどあるか?

アブストに記載無し

 

追跡期間

→平均4.5年

 

結果

非致死性・致死性脳卒中

E群(5.2/100人)vs C群(8.2/100人) RR=0.64 p=0.0003

 

非致死性心筋梗塞+冠動脈性死亡

RR=0.73 

 

主要心血管イベント

RR=0.68

 

総死亡

RR=0.87 

 

感想

 患者の平均年齢は72歳であり、そこから平均4.5年間の追跡である。絶対差として、100人当たり3人の差という事で、個人的にはあまり積極的に治療しなくても案外問題ないのかな?と感じた。もう少し長い期間の追跡結果も気になる所。高齢の方が対象なので、本研究で対象としているイベント以外での死亡も多いのではなかろうか。

 また、この類の研究は降圧剤を用いている群の方が血圧は下がりやすいので、盲検化こそされているが、割り付けが血圧の変動により見破られる可能性もあるのかもしれない。

 この論文は、薬剤師として知っておいた方がいいと思われるのでフリーで読みたいところ。何とかして(生活は苦しいけれども、多少のお金なら払う覚悟で)フルテキスト読んでみたい。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。