サキサグリプチンで2型糖尿病患者の心血管イベントは防げますか?
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今回は、DPP-4阻害剤の1つ、サキサグリプチンの効果についてです。
参考文献 Saxagliptin and cardiovascular outcomes in patients with type 2 diabetes mellitus.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23992601
PMID:23992601
研究デザイン:多施設共同ランダム化比較試験
論文のPECO
P:2型糖尿病患者のうち、心血管イベントの既往もしくはリスクがある者
E:サキサグリプチン5mg or 2.5mg→8210名
C:プラセボ→8212名
O:(Primary) 心血管死、心筋梗塞、虚血性脳卒中の複合アウトカム
(Secondary)心血管死、心筋梗塞、虚血性脳卒中、心不全による入院、冠動脈再建術、不安定狭心症の複合アウトカム
※除外基準
6か月以内のインクレチン関連治療、末期腎疾患による透析、腎移植、血清クレアチニン>6.0mg/dL
ランダム化されているか?
→されている
一次アウトカムは明確か?
→複合アウトカムなので明確
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
盲検化されているか?
→されている
ITT解析を行われているか?
→ITT解析されている
サンプルサイズ
→記載なし
脱落率は結果を覆すほどあるか?
追跡率=99.8%
追跡期間
→中央値2.1年
結果
(Primary outcome)
E群(613/8280:7.3%)vs C群(609/8212:7.2%)
HR=1.00(95%CI:0.89-1.12) p=0.99
(Secondary outcome)
心血管死、心筋梗塞、虚血性脳卒中、心不全による入院、冠動脈再建術、不安定狭心症の複合アウトカム
E群(1059/8280:12.8%)vs C群(1034/8212:12.4%)
HR=1.02(95%CI:0.94-1.11) p=0.66
心不全による入院
E群(289/8280:3.5%)vs C群(228/8212:2.8%)
HR=1.27(95%CI:1.07-1.51) p=0.007
感想
本研究の結果からは、心筋梗塞、心筋梗塞、虚血性脳卒中の複合アウトカムに関してプラセボと差は無いという結果。また、複合アウトカムを構成する個々のアウトカムも差は無く、臨床上、2型糖尿病患者にサキサグリプチンを用いる事のメリットは疑問が残るところ。
追跡期間は中央値で2.1年という事なので、もう少し長期間の結果が気になる所ではある。
一方、心不全による入院に関しては、サキサグリプチン服用群で有意に増加するという結果となっているので、この点に関しても注意したいところ。DPP-4阻害剤と心不全に関する関連についてはしばしば議論されている所なので、より深く調べてみたい。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。