軽度高血圧患者は血圧を下げた方がいいですか?

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今回は、収縮期血圧140~159mmHg、拡張期血圧90~99mmHgの軽度高血圧患者は積極的に血圧を下げた方がいいのかを検討したSR&MAの論文を読んでみました。

 

参考文献 Effects of blood pressure reduction in mild hypertension: a systematic review and meta-analysis.

リンク(PubMedhttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=25531552

(pdf) http://www.hypertension.qc.ca/gestion/Article%20HTA%20stade%201.pdf

 

PMID:25531552

 

研究デザイン:システマティックレビュー&メタアナリシス

 

論文のPECO

P:Ⅰ度の軽度高血圧があり、(BP:140~150/90~99mmHg)過去に心血管疾患既往の無い18歳以上の患者

E:血圧を積極的に下げる(降圧薬投与)

C:血圧を積極的には下げない(プラセボまたは標準治療)

O:脳卒中、冠血管イベント、心不全、心血管死亡、総死亡

 

 

一次アウトカムは明確か?

→多くのアウトカムが含まれる点は注意が必要かと思う

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

4つのバイアス

1、評価者バイアス

→2名以上の評価者が独立して評価しているかの記載なし

 

評価者バイアス不明

 

2、出版バイアス

情報元:Cochrane Central Register of Controlled Trials、MEDLINE、CINAHL

・言語制限や追加データの収集に関する記載は見当たらない

 

まんべんなく集めているのかもしれないが、出版バイアスは不明

 

 

3、元論文バイアス

→元論文の質は、「Cochrane Collaboration's risk-of-bias tool」を用いて評価されている。

その結果、ほとんどがlow riskとされている。(Appendix Figure 3.より)

 

元論文バイアスはさほど問題なさそう

 

4、異質性バイアス

→各データを見てみると、異質性が特別に高いものは無さそう

 

結果

心血管イベント

OR0.86 (95%CI:0.74~1.01)  I2=2.7%  

絶対リスク減少=1.0(95%CI:-0.1~1.9)

 

冠疾患イベント(非致死性心筋梗塞、冠動脈性心疾患による死亡)

RR0.91 (95%CI:0.74~1.12)  I2=0.0%   

 

総死亡

RR0.78 (95%CI:0.67~0.92)  I2=17.0%

 

脳卒中(非致死性脳卒中、脳血管疾患による死亡)

RR0.72 (95%CI:0.55~0.94)  I2=28.9% 

 

心不全

RR0.80 (95%CI:0.57~1.12)  I2=0.0%

 

心血管死亡

RR0.75 (95%CI:0.57~0.98)  I2=0.0%

 

感想

 いずれの項目も、血圧を積極的に下げるE群の方がイベントのオッズ比は減少傾向にある。この中で有意差が確認されたのは総死亡、脳卒中、心血管死亡の3つである。

 

評価者バイアスや出版バイアスなど、バイアスの可能性を判断できず、個人的にはバイアスの可能性を捨てきれない部分がある。フォレストプロットなどから、個々の試験の結果を見てみると、オッズ比は若干減少傾向に見られるものが多い。

 

 Table2で絶対リスク減少を見てみると、いずれの項目も0.5ぐらいから1.5ぐらいの間なので、特別大きな差ではないかなぁと感じた。

 

 この論文はありがたいことに、Referencesにそれぞれの引用文献のPMIDが記載されているので、個々の文献についてもまとめて読んでみようと思う。

 

論文中に出てくる、BPLTTC(http://circ.ebm-library.jp/metaanalysis/01-01.html)試験を先に把握してから読めばよかったと後悔しているので、後日こちらも調べてみようと思う。ただし、フリーではアブストしか読めなさそう。

 

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。