関節リウマチ患者への低用量プレドニゾロンは、心血管イベント・死亡に影響しますか?

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今回は、低用量プレドニゾロンと心血管イベント・脳血管イベント・死亡に関する論文を読んでみました。

 

参考文献  Low-dose prednisolone treatment of early rheumatoid arthritis and late cardiovascular outcome and survival: 10-year follow-up of a 2-year randomised trial.

 リンク   https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=24710131

 

PMID:24710131

  

 

研究デザインコホート研究

※2年間追跡のRCTを10年まで追跡した研究

 

論文のPECO

P:早期関節リウマチ患者のうち、心血管疾患既往歴の無い223名

E:DMARDsにプレドニゾロン7.5mg/日上乗せ→112名

C:DMARDs単独→111名

O:①複合心血管イベント ②虚血性冠動脈イベント ③虚血性脳血管イベント ④死亡

※心血管イベント:急性心筋梗塞狭心症、冠動脈インターベンション、虚血性脳卒中TIA

 

研究対象集団の代表性

→南スウェーデンの農村部・都市部人口(適応を考える際は、やや注意が必要?)

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

調節した交絡因子は何か?

→年齢

 

追跡期間

→10年

 

結果

★発生件数(10年間)

心血管イベント E群:17/112(15.2%)vs C群:15/111(13.5%) p=0.72

 

虚血性冠動脈イベント E群:7/112(6.2%)vs C群:10/111(9.0%) p=0.44

 

虚血性脳血管イベント E群:10/112(8.9%)vs C群:5/111(4.5%) p=0.19

 

死亡 E群:9/112(8%)vs C群:8/111(8%) p=0.98

 

★年齢調整ハザード比

複合心血管イベント 年齢調整HR=1.8(95%CI:0.9~3.6) p=0.12

 

虚血性冠動脈イベント 年齢調整HR=0.98(95%CI:0.4~2.6) p=0.96

 

脳血管イベント 年齢調整HR=3.7(95%CI:1.2~11.4) p=0.022

 

死亡 年齢調整HR=1.6(95%CI:0.6~4.1) p=0.33

 

感想

 10年間追跡したときのイベント発生数は、いずれも大きな差は見られなかった。一方、年齢調整ハザード比で見ると、複合心血管イベント、脳血管イベント、死亡はプレドニゾロン服用群で大きい傾向が見られる。

 この中で、脳血管イベントは有意な増加イベント発生数が少ないため、たまたま差が出てしまった可能性もあるかもしれないし、調整は年齢だけでいいのかというのも、個人的に勉強不足のため分からなかった。(7.5mgが低用量か??というツッコミもあり)

 前回の論文の結果も加味して考えると、少なくともプレドニゾロン服用中は、循環器系のモニタリングや心血管イベント、脳血管イベントの兆候についても注意しておく必要があるのかなと感じた。

 

 今回の論文は、個人的にはどう捉えたらいいものか困ってしまいましたが、このモヤモヤした状況を補填するためにも、関連論文も読んでおく必要があると感じています。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。