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75歳以上の高齢者はしっかり血圧を下げた方がいいですか?

ご訪問ありがとうございます。

 

今回は、あの有名なSPRINT試験のうち、75歳以上の患者を対象にしたサブ解析の論文を読んでみました。

 

参考文献  Intensive vs Standard Blood Pressure Control and Cardiovascular Disease Outcomes in Adults Aged ≥75 Years A Randomized Clinical Trial

リンク      https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=27195814

 

PMID:27195814

 

研究デザイン:ランダム化比較試験

 

ランダム化されているか?

→ランダム化されている

 

論文のPECO

P:SPRINT試験の被験者のうち75歳以上の2636名

E:厳格な降圧療法(収縮期血圧<120mmHgを目指す)

C:標準的な降圧療法(収縮期血圧<140mmHgを目指す)

O:(Primary) 非致死性心筋梗塞心筋梗塞に至らない急性冠症候群、非致死性脳卒中、急性非代償性心不全、心血管死亡の複合アウトカム

 (Secondary)総死亡

 

除外基準

2型糖尿病脳卒中の既往歴、6か月以内の症候性心不全(左室駆出率<35%)、6か月以内に10%以上の体重減少、認知症収縮期血圧<110mmHg、施設入居者

 

一次アウトカムは明確か?

→複合アウトカムなので明確と判断して良さそう

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

盲検化されているか?

→盲検化されていない(血圧測定で見破られる可能性が考えられる)

 

サンプルサイズ

→3250名(パワー81.9%、α=5%)

 

ITT解析を行われているか?

→ITT解析されている(?)

 

追跡期間

→中央値3.14年

 

脱落率は結果を覆すほどあるか?

→追跡率100%

 

結果

血圧の変化

ベースラインの収縮期血圧 E群:141.6mmHg  C群:141.6mmHg

 

治療期間を通しての収縮期血圧 E群:123.4mmHg  C群:134.8mmHg

 

Primary outcome(非致死性心筋梗塞心筋梗塞に至らない急性冠症候群、非致死性脳卒中、急性非代償性心不全、心血管死亡の複合アウトカム)

E群102/1317 2.59%/年(95%CI:2.13~3.14)

C群148/1319 3.85%/年(95%CI:3.28~4.53)

HR=0.66(95%CI:0.51~0.85) p=0.001  NNT=27(3.14年で)

 

心筋梗塞

E群37/1317 0.92%/年(95%CI:0.26~1.27)

C群53/1319 1.34%/年(95%CI:1.02~1.75)

HR=0.69(95%CI:0.45~1.05) p=0.09

 

急性冠症候群

E群17/1317 0.42%/年(95%CI:0.26~0.68)

C群17/1319 0.42%/年(95%CI:0.26~0.68)

HR=1.03(95%CI:0.52~2.04) p=0.94

 

脳卒中

E群27/1317 0.67%/年(95%CI:0.46~0.97)

C群34/1319 0.85%/年(95%CI:0.61~1.19)

HR=0.72(95%CI:0.43~1.21) p=0.22

 

心不全

E群35/1317 0.86%/年(95%CI:0.62~1.20)

C群56/1319 1.41%/年(95%CI:1.09~1.83)

HR=0.62(95%CI:0.40~0.95) p=0.03

 

心血管死亡

E群18/1317 0.44%/年(95%CI:0.28~0.70)

C群29/1319 0.72%/年(95%CI:0.50~1.03)

HR=0.60(95%CI:0.33~1.09) p=0.09

 

非致死性心筋梗塞

E群37/1317 0.92%/年(95%CI:0.67~1.27)

C群53/1319 1.34%/年(95%CI:1.02~1.75)

HR=0.69(95%CI:0.45~1.05) p=0.09

 

非致死性脳卒中

E群25/1317 0.62%/年(95%CI:0.42~0.91)

C群33/1319 0.83%/年(95%CI:0.59~1.16)

HR=0.68(95%CI:0.40~1.15) p=0.15

 

非致死性心不全

E群35/1317 0.86%/年(95%CI:0.62~1.20)

C群55/1319 1.39%/年(95%CI:1.06~1.81)

HR=0.63(95%CI:0.40~0.96) p=0.03

 

総死亡

E群73/1317 1.78%/年(95%CI:1.41~2.24)

C群107/1319 2.63%/年(95%CI:2.17~3.18)

HR=0.67(95%CI:0.49~0.91) p=0.009   NNT=41(3.14年で)

 

有害事象

低血圧

E群:2.4% vs C群:1.4%/年  HR=1.71(95%CI:0.97~3.09)

 

失神

E群:3.0% vs C群:2.4%/年  HR=1.23(95%CI:0.76~2.00)

 

電解質異常

E群:4.0% vs C群:2.7%/年  HR=1.51(95%CI:0.99~2.33)

 

急性腎障害・腎不全

E群:5.5% vs C群:4.0%/年  HR=1.41(95%CI:0.98~2.04)

 

感想

 SPRINT試験のうち、75歳以上の患者を対象としたサブ解析である。Primary outcomeのHRは0.66、NNT=27ということで血圧をしっかり下げた方が良さそうな結果と感じた。また、総死亡のHRも0.67、NNT=41となかなかインパクトがある結果。

 ただ、複合アウトカムに含まれる事象で有意差が出ているものとしては心不全ぐらいであり、しかもサブ解析ということなので、この結果だけをもって75歳以上では血圧を厳格に下げた方がいいとは言い切れないという印象。適応を考える際には、2型糖尿病患者は除外されている点は注意しておきたい。

 有害事象も、有意差こそ出ていないが、低血圧、失神、電解質異常、急性腎障害・腎不全いずれも厳格降圧群で高くなる傾向が見られているので注意が必要かと思う。また、記載は見当たらないが、骨折などの有害事象も気になる所である。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。