心房細動患者に対するエドキサバンvsワルファリン
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参考文献 Edoxaban versus warfarin in patients with atrial fibrillation.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24251359
PMID:24251359
研究デザイン:ランダム化比較試験(非劣勢・優越性)
ランダム化されているか?
→ランダム化されている
盲検化されているか?
→二重盲検されている
論文のPECO
P:21歳以上でCHADS2スコア2点以上の中等度~高度心房細動のある患者21,105名
E:エドキサバン(低用量:30mg、高用量:60mg)
C:ワルファリン:INR2.0~3.0になるよう用量調節
O:(Primary) 【有効性】脳卒中と全身塞栓 【安全性】:出血
※CHADS2スコア・・・心房細動患者における脳卒中発症リスクの評価指標。5項目(心不全:1点、高血圧:1点、75歳以上:1点、糖尿病:1点、脳卒中/TIA既往:2点)の合計6点で点数が高いほど、脳卒中発症リスクが高い。
※除外基準
可逆性障害による心房細動、推定クレアチニンクリアランス<30mL/min、高度の出血リスク患者、DAPT、中等度~重度の僧房弁狭窄症、ACS、冠動脈再建術、ランダム化前30日以内の脳卒中、研究の手順を守れない者
一次アウトカムは明確か?
→明確と言える
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
ITT解析を行われているか?
※非劣勢:modified ITT解析 優越性試験:ITT解析
非劣勢マージン:1.38
追跡期間
→中央値2.8年
脱落率は結果を覆すほどあるか?
→追跡率99.5%
結果
★Primary outcome(脳卒中と全身塞栓症)
非劣勢(mITTによる)
・ワルファリン232/7036件 1.50%/年
・高用量エドキサバン 182/7035件 1.18%/年
vsワルファリン HR=0.79(97.5%CI:0.63~0.99) p<0.001
・低用量エドキサバン 253/7034件 1.61%/年
vsワルファリン HR=1.07(97.5%CI:0.87~1.31) p=0.005
※97.5%CIの上限が、非劣勢マージンの1.38を超えていないので非劣勢が認められている
優越性(ITTによる)
・ワルファリン337/7036件 1.80%/年
・高用量エドキサバン 296/7035件 1.57%/年
vsワルファリン HR=0.87(97.5%CI:0.73~1.04) p=0.08
・低用量エドキサバン 383/7034件 2.04%/年
vsワルファリン HR=1.13(97.5%CI:0.96~1.34) p=0.10
★心血管死亡
・ワルファリン611/7036件 3.17%/年
・高用量エドキサバン 530/7035件 2.74%/年
vsワルファリン HR=0.86(95%CI:0.77~0.97) p=0.013
・低用量エドキサバン 527/7034件 2.71%/年
vsワルファリン HR=0.85(95%CI:0.76~0.96) p=0.008
★大出血
・ワルファリン524/7012件 3.43%/年
・高用量エドキサバン 418/7012件 2.75%/年
vsワルファリン HR=0.80(95%CI:0.71~0.91) p<0.001
・低用量エドキサバン 254/7002件 1.61%/年
vsワルファリン HR=0.47(95%CI:0.41~0.55) p<0.001
感想
まず、Primary outcomeの非劣勢に関しては、低用量エドキサバン、高用量エドキサバンともに、97.5%信頼区間の上限値が非劣勢マージンの1.38を超えていないので、非劣勢が示されている(少なくともワルファリンに劣らない)。優越性は、95%信頼区間より差が出にくい97.5%信頼区間を使ったためか、ワルファリンと比較して統計学的有意差は出ていない。
大出血は、ワルファリンとの比較で、高用量エドキサバンはHR=0.80、低用量エドキサバンはHR=0.47といずれも有意に少ないという結果である。
これが妥当な考え方なのか分からないので自信が無いが、大出血のNNHを計算してみると、ワルファリンと高用量エドキサバンでは1471人/年、低用量エドキサバンでは549人/年という事なので、その絶対差としては大きくないように感じた。出血リスクの高い患者は除外されているようなので、このような患者ではややエドキサバンの方がいいかもしれないが。
エドキサバンは薬価もワルファリンと比較すると相当高価なので(ワルファリン1mg=9.6円/1錠、エドキサバン30mg=538.40円/1錠、エドキサバン60mg=545.60円/1錠)、この金額の差を埋められるほどの利益とは言えないかなと個人的には感じた。どうしても納豆を食べたいという患者や、PT-INRを測らなくてもよいというような患者側へのメリットはあるので、この辺りとの兼ね合いも考慮する必要はあるが・・・。他のNOACの比較も気になるので、今後調べていきたい。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。