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ジゴキシンで心不全患者の死亡は減らせますか?

ご訪問ありがとうございます。

 

今回は、今更ながら、心不全患者に対するジゴキシンの影響に関する論文(DIG)を読んでみました。

 

参考文献 The effect of digoxin on mortality and morbidity in patients with heart failure.

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9036306

 

PMID:9036306

 

研究デザイン:ランダム化比較試験

 

論文のPECO

P:正常洞調律で、左室駆出率<45%の心不全患者

E:ジゴキシン服用(3397名) ※中央値0.25mg/日

C:プラセボ服用(3403名)

O:(Primary) 死亡率

 (Secondary)心血管死亡、心不全悪化による死亡、心不全悪化による入院、その他の理由による入院(ジゴキシン中毒など)

 

ランダム化されているか?

→ランダム化されている

 

一次アウトカムは明確か?

→明確といえる

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

盲検化されているか?

→二重盲検されている

 

均等に割り付けられているか

→均等に2群に割り付けられていると思われる

 

ITT解析を行われているか?

→ITT解析されている

 

サンプルサイズ

→サンプルサイズに関する詳細の記載が見つけられず。

 

脱落率は結果を覆すほどあるか?

→追跡率に関する記載が見当たらない

 

追跡期間

→平均37カ月

 

結果

【ベースライン】

平均年齢:ジゴキシン群:63.4±11.0歳 プラセボ群:63.5±10.8歳

左室駆出率:ジゴキシン群:28.6±8.9% プラセボ群:28.4±8.9%

 

総死亡(Primary outcome

ジゴキシン群:1181/3397件(34.8%)vs プラセボ群:1194/3403件(35.1%)

RR=0.99(95%CI:0.91~1.07) p=0.80

 

心血管死亡

ジゴキシン群:1016/3397件(29.9%)vs プラセボ群:1004/3403件(29.5%)

RR=1.01(95%CI:0.93~1.10) p=0.78

 

心不全悪化による死亡

ジゴキシン群:394/3397件(11.6%)vs プラセボ群:449/3403件(13.2%)

RR=0.88(95%CI:0.77~1.01) p=0.06

 

心不全悪化による入院

ジゴキシン群:910/3397件(26.8%)vs プラセボ群:1180/3403件(34.7%)

RR=0.72(95%CI:0.66~0.79) p<0.001 (NNT=13)

 

ジギタリス中毒の疑いによる入院

ジゴキシン群:67/3397件(2.0%)vs プラセボ群:31/3403件(0.9%)

RR=2.17(95%CI:1.42~3.32) p<0.001

 

 

感想

 Primary outcomeである総死亡は、ジゴキシン服用で減らなかったという結果。また、Secondary outcomeである、心血管死亡や心不全悪化による死亡も減らなかったという結果である。心不全悪化による死亡は、減少傾向ではあるが。

 心不全悪化による入院は、有意に減らす事が出来たという結果だが、あくまでもSecondary outcomeであり、かつソフトエンドポイントであることから、やや結果を割り引いて考える必要はありそう。

 ジギタリス中毒疑いは、プラセボ群でもなぜか発生しているが、やはりジゴキシン服用群で多いという結果であり、腎機能や併用薬などには注意が必要。調剤薬局においても、併用薬が増えた場合などでは次回来局時以降、ジギタリス中毒の初期症状(吐き気やめまい、視界がぼやける等)が出ていないかなどの確認が必要であると感じた。

 左室駆出率が30%以下まで低下していると、効果が発揮されにくいのかと思ったが、左室駆出率>45%の患者を対象とした解析でも、死亡はRR=0.99(95%CI:0.76~1.28)という結果であまり期待は出来なさそうである。

 

左室駆出率>45%の心不全患者を対象とした論文も見てみた。

 

文献  Effects of digoxin on morbidity and mortality in diastolic heart failure: the ancillary digitalis investigation group trial.

リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16864724

 

PMID:16864724

 

患者の左室駆出率平均値

ジゴキシン群:55.5±8.1% プラセボ群:55.4±8.2%

 

結果

心不全による入院または心不全による死亡の複合エンドポイント

(追跡2年後)HR=0.71(95%CI:0.52~0.98) p=0.034

   (全期間) HR=0.82(95%CI:0.63~1.07) p=0.136

 

 こちらの論文ではPrimary outcomeを心不全による入院または心不全による死亡の複合エンドポイントと設定している。

 結果、追跡2年後ではHR=0.71 p=0.034だったが、全体を通してだとHR=0.82      p=0.136であった。入院というソフトエンドポイントを含んでいることからも、やはり結果はやや割り引いて考える必要がありそう。

 そして、不安定狭心症による入院が、ジゴキシン群で増加傾向(HR=1.37 95%CI:0.99~1.91)という結果が出ている点も追跡していきたいところ。

  今後、関連する他の文献も探して読んでいこうと思う。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。