インスリンやSU剤による厳格な血糖コントロールで、2型糖尿病関連イベントは防げますか?(UKPDS33)

ご訪問ありがとうございます。

 

今回は、引き続き糖尿病関連の有名論文であるUKPDS33を読んでみました。

 

ちなみに、Pubmedからのリンク先ではフリーで読めなかったので、以下のリンク先からアクセスして頂ければと思います。

https://www.vumc.nl/afdelingen-themas/41463/27797/2089686/1611848/1611870/literatuur.pdf

 

参考文献 Intensive blood-glucose control with sulphonylureas or insulin compared with conventional treatment and risk of complications in patients with type 2 diabetes (UKPDS 33)

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9742976

 

 PMID:9742976

 

研究デザイン:ランダム化比較試験

 

論文のPECO

P:新規に糖尿病を発症した患者(中央値54歳)のうち、3カ月の食事療法後の平均空腹時血糖が6.1~15.0mmol/L(109.8~270 mg/dl)の患者3867名

E:インスリンやSU剤を用いた厳格な血糖コントロール→空腹時血糖<108mg/dl(6.0mmo/L)を目指す

C:従来の食事療法(空腹時血糖値>270mg/dlになったときのみ薬剤使用)

O:(Primary)

①糖尿病関連エンドポイント(突然死、高血糖または低血糖による死亡、致死性・非致死性心筋梗塞狭心症心不全脳卒中、腎不全、脚切断、硝子体出血、光凝固を必要とする網膜症、失明、水晶体摘出術)

②糖尿病関連死亡(心筋梗塞脳卒中・末梢血管疾患・腎疾患・高血糖低血糖による死亡、突然死)

③総死亡

 

 

除外基準

3mmol/Lを超えるケトン尿症、175mmol/Lを超える血清クレアチニン、1年以内の心筋梗塞狭心症心不全、主要血管イベント、レーザー治療を必要とする網膜症、悪性高血圧、未治療の内分泌障害、インスリン療法に影響する職業、重度の併存疾患、理解不十分な状態、研究への無意欲

 

※使用されたSU薬:クロルプロパミド、グリベンクラミド、グリピジド

 

ランダム化されているか?

→ランダム化されている

 

一次アウトカムは明確か?

→アウトカムが多数存在するため注意が必要

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

盲検化されているか?

→盲検化はされていないと思われる。PROBE法?

 

均等に割り付けられているか

→均等に2群に割り付けられていると思われる

 

ITT解析を行われているか?

→ITT解析されている

 

サンプルサイズ

→3600名(パワー81%、α=1%?)

 

脱落率は結果を覆すほどあるか?

→具体的な追跡率が分からなかったが、ランダム化された人数と結果の人数が同じなので大きく影響を及ぼすほどの脱落ではないかも。

 

追跡期間

→中央値10.0年

 

結果

【ベースライン】

平均年齢 E群:54歳 C:54歳

空腹時血糖 E群:142.2mg/dl C群:145.7mg/dl

 

HbA1cの変化】

E群:ベースライン:7.05%→6.6%→7.5%→8.1%

C群:ベースライン:7.09%→7.4%→8.4%→8.7%

 

①糖尿病関連エンドポイント

E群:963/2729件(40.9/1000人年)vs C群:438/1138件(46.0/1000人年)

RR=0.88(95%CI:0.79~0.99)  p=0.029

 

②糖尿病関連死亡

E群:285/2729件(10.4/1000人年)vs C群:129/1138件(11.5/1000人年)

RR=0.90(95%CI:0.73~1.11) p=0.34

 

③総死亡

E群:489/2729件(17.9/1000人年)vs C群:213/1138件(18.9/1000人年)

RR=0.94(95%CI:0.80~1.10) p=0.44

 

 

感想

 糖尿病関連エンドポイントの中には、切断や水晶体摘出術などソフトエンドポイントも含まれている。そして、小血管イベントに結果が引っ張られているような印象であるため、結果は割り引いて考えた方が良さそうだと感じた。

 そもそも、厳格コントロール群は空腹時血糖<6.0mmol/Lを目指していたはずだが、Figure2を見ると最終的に全くもってこの目標値から外れてしまっており、血糖コントロールが上手くいっていないような印象を受けた。

 くわえて本研究の患者のベースラインにおける年齢は54歳と若いので、死亡などのアウトカムに差が出なかったという事も考えられるが、もう少し血糖コントロールの上手くいった場合の結果というのがどうなのか調べていきたい。

 

ということで、引き続きUKPDS34、UKPDS80なども読んでみようと思う。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。