脳卒中を起こして間もない患者の再発はテルミサルタンで防げますか?
ご訪問ありがとうございます。
諸事情により、更新がしばらく途絶えていましたが、再開しようと思います。
今回は、脳卒中を発症してから間もない患者に対するテルミサルタンの効果をみた研究です。
参考文献 Telmisartan to prevent recurrent stroke and cardiovascular events.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=18753639
PMID:18753639
研究デザイン:ランダム化比較試験
※アスピリン(25mg)+ジピリダモール(200mg) vs クロピドグレル(75mg)と、テルミサルタン vs プラセボの2×2の研究デザイン
ランダム化されているか?
→ランダム化されている
論文のPECO
P:50歳以上で、120日以内に虚血性脳卒中を起こした患者20332名
E:テルミサルタン80mg/日→10146名
C:プラセボ→10186名
O:(Primary)脳卒中の再発
(Secondary)主要心血管イベント(心血管死亡、脳卒中の再発、心筋梗塞、心不全の新規発症または再発)、糖尿病の新規発症
※除外基準
原発性出血性脳卒中、脳卒中による重篤な障害、披験薬の抗血小板薬への禁忌
一次アウトカムは明確か?
→明確
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
盲見化されているか?
→盲検化はされていないと思われる(血圧の変動で見破られる可能性あり)
ITT解析を行われているか?
→ITT解析されている
脱落率は結果を覆すほどあるか?
追跡率=99.4%(lost to follow upはE群51名、C群74名)
サンプルサイズ
20000名(パワー91%)
追跡期間
平均30.か月
結果
【ベースライン】
平均年齢 E群:66.1±8.6歳 C群:66.2±8.6歳
血圧 E群:144.1±16.4/83.8±10.5 C群:144.2±16.7/83.8±10.6
☆Primary outcome(脳卒中の再発)
E群:880/10146件(8.7%)vs C群:934/10186件(9.2%)
HR=0.95(95%CI:0.86~1.04) p=0.23
☆Secondary outcome
主要心血管イベント(心血管死亡、脳卒中の再発、心筋梗塞、心不全の新規発症または再発)
E群:1367/10146件(13.5%)vs C群:1463/10186件(14.4%)
HR=0.94(95%CI:0.87~1.01) p=0.11
糖尿病の新規発症
E群:125/10146件(1.2%)vs C群:151/10186件(1.5%)
HR=0.82(95%CI:0.65~1.04) p=0.10
☆有害事象
低血圧
E群:393/10146件(3.9%)vs C群:186/10186件(1.8%)
P<0.001
感想
脳卒中後の患者の抗血小板療法にテルミサルタンを上乗せしても、脳卒中の再発は減らなかったという結果。脳卒中の再発防止目的として、テルミサルタンの積極的にな使用を推奨するような結果ではないかなと感じた。
並行して行われている、アスピリン+ジピリダモール vs クロピドグレルの結果も気になるところである。
それにしても、テルミサルタンは食事の影響を受けたり、大部分が胆汁を介して便中に排泄されたり、個性たっぷりで面白い薬だな~と個人的には感じている。さらに色々と調べてみたい。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。