アトルバスタチンは先発品と後発品で効果は同じですか?
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今回はアトルバスタチンの先発品と後発品の比較をした論文です。
参考文献 Comparative Effectiveness of Generic Atorvastatin and Lipitor® in Patients Hospitalized with an Acute Coronary Syndrome.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=27098970
PMID:27098970
研究デザイン:コホート研究
論文のPECO
P:65歳以上のACSによる入院ののちに退院してきた患者
E:リピトール(先発品)
C:アトルバスタチンの後発品
O:(Primary)1年以内の死亡とACS再発による入院
(Secondary)心不全による入院、脳卒中、糖尿病の新規発症、横紋筋融解症、腎不全
※ジェネリックは9件の会社のものが含まれている
研究対象集団の代表性
→一般人口を対象としているので大きな問題は無いかと思われる
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
調節した交絡因子は何か?マッチングされているか?
→傾向スコアマッチングされている(Table1参照)
追跡期間
→1年間
結果
【ベースライン】
平均年齢 76.9歳
1年以内の死亡
先発品:11.6% vs 後発品:11.6%
HR=0.99(95%CI:0.90~1.09) p=0.84
1年以内の死亡+ACSによる再入院(Primary outcome)
先発品:17.7% vs 後発品:17.7%
HR=1.00(95%CI:0.93~1.08) p=0.94
感想
Primary outcomeとしては1年以内の死亡とACS再発による入院であるが、HR=1.00(95%CI:0.93~1.08)と先発品と後発品の間に大きな差はないという結果。個人的には、死亡というアウトカムを検討するのに1年間というのはやや短い印象で、もう少し長い追跡期間になった場合の結果も気になる。
また、Table2や本文のPrimary and Secondary Outcomesの記述を見てみると、他のアウトカムも先発品と後発品で大きな差はなさそうである。
Limitationsの所に、However, some risk factors (eg, smoking, physical activity) were not available.と記載があり、傾向スコアマッチングはされているが、喫煙などはマッチングされていないようで、この辺りは議論の余地もありそうである。
今回の結果を見る限りでは、少なくとも1年間という短期間の使用においては、後発品が先発品に劣るというものではなさそうである。
今までLimitationはあまり気にしてなかったんですが、ざっとでも見ておいた方が良さそうですね。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。