DPP-4阻害薬と心血管イベントリスク
ご訪問ありがとうございます。
今回も、前回に引き続きDPP-4阻害薬と心血管イベントの関係について検討したメタ分析の論文を読んでみました。
参考文献 Dipeptidyl peptidase-4 inhibitors and cardiovascular risk: a meta-analysis of randomized clinical trials.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22925682
PMID:22925682
研究デザイン:メタ分析
論文のPECO
P:2型糖尿病患者
E:DPP-4阻害薬
C:プラセボ、その他の薬剤
O:主要心血管イベント(心血管死亡、非致死性心筋梗塞、ACS、心不全)
※DPP-4阻害薬:ビルダグリプチン、シタグリプチン、サキサグリプチン、アログリプチン、リナグリプチン、デュトグリプチン
一次アウトカムは明確か?
→明確
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
4つのバイアス
1、評価者バイアス
2名の評価者が独立して研究選定、データ抽出を行っている
評価者バイアスはさほど問題なさそう
2、出版バイアス
情報元: MEDLINE、EMBASE
・未出版のデータも検索している
・言語制限に関する記載は無し
・ファンネルプロットはだいたい左右対称と思われる
出版バイアスはさほど問題なさそう
3、元論文バイアス
Jadadスコアを用いて評価
結果の記載が見つけられず・・・
元論文バイアスは不明
4、異質性バイアス
不明(わかりませんでした・・・)
結果
主要心血管イベント(MACE)
全体 OR=0.71 (95%CI:0.59~0.86) p<0.001
シタグリプチン OR=0.86 (95%CI:0.60~1.24) p=0.430
ビルダグリプチン OR=0.61 (95%CI:0.43~0.86) p<0.001
サキサグリプチン OR=0.67 (95%CI:0.45~0.99) p=0.047
リナグリプチン OR=0.72 (95%CI:0.45~1.16) p=0.18
アログリプチン OR=0.86 (95%CI:0.25~2.93) p=0.81
急性心筋梗塞
OR=0.64 (95%CI:0.44~0.94) p=0.023
OR=0.77 (95%CI:0.48~1.24) p=0.290
死亡
OR=0.60 (95%CI:0.41~0.88) p=0.008
心血管死亡
OR=0.67 (95%CI:0.39~1.14) p=0.140
感想
DPP-4阻害薬の使用で主要心血管イベントは減るという結果。個々のDPP-4阻害薬ごとの結果を見てみると、ビルダグリプチン、サキサグリプチンでは有意に減らすが、他のDPP-4阻害薬では減らさないという結果となっている。
全体的に追跡期間が24週間程度の短期間の研究が多いため、シタグリプチン、リナグリプチン、アログリプチンではMACE発生に差が無かったのかもしれない。そして、イベント発生数が少ない研究が多いところも気になる所。
逆にこのような短期間でも、ビルダグリプチン、サキサグリプチンではMACE発生に有意差が出ていると考えると、それはそれで興味深い所ではある。
この論文の結果からだと、MACE抑制にはビルダグリプチン、サキサグリプチンが他のDPP-4阻害薬と比べて優位なようであるが、元論文を見てみないと、このメタ分析だけでは何とも言い難い所ではあるため、個々の引用文献も読んでみようと思う。
あと、フォレストプロットの所に出てきた、「Kendall’s tau 」って何でしょう??
異質性みたいなやつ??すみません、ちゃんと勉強しときます・・・。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。