カンデサルタンは片頭痛予防に有効ですか?
ご訪問ありがとうございます。
今回は、片頭痛に対してカンデサルタンは有効なのか検討したRCTです。
慢性頭痛の診療ガイドライン2013には、片頭痛予防に対するカンデサルタンに関して次のような記載があります。
慢性頭痛の診療ガイドライン2013↓↓
http://www.jhsnet.org/guideline_GL2013.html
「カンデサルタンは片頭痛の予防に8mg/日の使用を推奨する(グレードB)」
そこで、その根拠となった論文を読んでみました。
参考文献 Prophylactic treatment of migraine with an angiotensin II receptor blocker: a randomized controlled trial.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12503978
PMID:12503978
フルテキストはこちらから↓↓
研究デザイン:ランダム化比較試験(クロスオーバー研究)
論文のPECO
P:18~65歳で、月に2~6回の片頭痛発作がある患者60名
E:カンデサルタン16mg/日
C:プラセボ
O:(Primary)12週の治療期間のうち頭痛のある日数
(Secondary)頭痛の持続時間、片頭痛のある日数、片頭痛の持続時間、頭痛の重症度、身体障碍レベル、トリプタン使用量、鎮痛薬の使用量、治療の忍容性、症状の残っている日数、QOL(SF-36)
※除外基準
片頭痛と識別できない頭痛、妊婦、授乳婦、避妊薬を使用できない女性、肝機能・腎機能低下、カンデサルタン過敏症、血管神経性浮腫の既往、研究完遂に影響のある精神疾患、研究開始12週以内の片頭痛予防薬使用、心血管系の問題、利尿薬の使用
ランダム化されているか?
→ランダム化されている
一次アウトカムは明確か?
→明確といえる
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
盲検化されているか?
→二重盲検されている
均等に割り付けられているか
→クロスオーバーのデザインなので問題ないかと思われる
ITT解析を行われているか?
→ITT解析されている
サンプルサイズ
→60名(パワー93% α=5%)
脱落率は結果を覆すほどあるか?
→追跡率=95%
追跡期間
→各治療期間12週間ずつ
結果
12週間のうち頭痛のある日数(Primary outcome)
カンデサルタン:13.6±10.7日 vs プラセボ:18.5±12.5日
差 4.9±10.6日(カンデサルタンで26%少ない) p<0.001
レスポンダー(お互いの治療期間と比較して、50%以上症状が軽くなった患者)
カンデサルタンレスポンダー(プラセボ期間に比べ症状が50%以上軽減)
18/57名(31.6%)
プラセボレスポンダー(カンデサルタン期間に比べ症状が50%軽減)
1/57名(1.8%)
p=0.001
4週間のうち頭痛のある日数
Run-in Period 8.4±3.9日
カンンデサルタン:4.6±3.6日 vs プラセボ:6.2±4.2日
Run-in Periodからの減少
カンンデサルタン:45.6% vs プラセボ:26.3%
※その他のSecondary outcomeはTable1を参照
感想
主観的な指標ではあるが、カンデサルタン使用により、プラセボと比較して頭痛の日数がおよそ3/4程度になるという結果。
4週間のうちの頭痛の日数の結果を見ると、Run-in Periodからプラセボを使った場合でも4週間当たりの頭痛の日数が短くなっており、カンデサルタン使用ではこのプラセボ効果も上乗せされるのではないかと思う。
ただし、用いられているカンデサルタンの量は16mgとやや多めなので、その点は注意が必要かと思う。小規模の研究ではあるが、この結果を見た感じでは高血圧症を合併している患者にはカンデサルタンを使ってみるのもアリかなと感じた。
有害事象のうち、上気道感染症やその他の感染症がややプラセボ服用時に多いのが気になる。
個人的には、他のARBやACE-Iではどうなのかが気になるので、また調べてみようと思う。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。