CKD併存2型糖尿病患者への急性心筋梗塞後のシタグリプチン

ご訪問ありがとうございます。

 

今回はアブストしか読めないものの、気になる論文を見つけたので読んでみました。

 

参考文献  Sitagliptin and cardiovascular outcomes in diabetic patients with chronic kidney disease and acute myocardial infarction: A nationwide cohort study.

リンク   https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25528312

 

PMID:25528312

 

研究デザインコホート研究

 

論文のPECO

P:CKDのある急性心筋梗塞後の2型糖尿病患者1025名

E:シタグリプチン服用あり→205名

C:シタグリプチン服用無し→820名

O:心筋梗塞、虚血性脳梗塞、心血管死の複合アウトカム

 

研究対象集団の代表性

→台湾の国民健康保険データベースが用いられており、大きな問題無し

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

アウトカムは明確か?

→明確

 

調節した交絡因子は何か?

→詳細不明

 

追跡期間

→平均1.02年

 

結果

心筋梗塞、虚血性脳梗塞、心血管死の複合アウトカム(Primary outcome

E群:54/205件(26.3%)vs C群:164/820件(20.0%)

HR=1.32(95%CI:0.97~1.79) p=0.079

 

※虚血性脳卒中(p=0.938)、総死亡(p=0.523)、心不全による入院(p=0.795)も有意差無し

 

心筋梗塞の再発  

HR=1.73(95%CI:1.15~2.58) p=0.008

 

経皮的冠動脈血行再建術  

HR=1.43(95%CI:1.04~1.95) p=0.026

 

感想

 アブストのみで、交絡などの詳細は分からない。Primary outcomeは有意差こそ出ていないが、リスク増加傾向であるところは軽視すべきではないかと思う。今回の研究は平均追跡期間が1年程度と短いので、さらに追跡期間を延ばすと差は大きくなるかもしれない。

 また、心筋梗塞の再発リスクを高めるという結果からも、慢性腎臓病患者に対してシタグリプチンは慎重に用いた方が良さそうである。 

 シタグリプチンは主な代謝経路が腎臓なので、この事の影響もあるのかもしれない。もしかすると、腎排泄の割合が低めのテネリグリプチンや、胆汁排泄型のリナグリプチンでは異なった結果になるのかもしれないが、今後調べてみようと思う。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。