高齢女性は長期間のビスホスホネート服用で骨折は増えますか?
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今回は、先日の勉強会で少し話題になった、ビスホスホネート系薬の長期使用についての論文です。
参考文献 Bisphosphonate use and the risk of subtrochanteric or femoral shaft fractures in older women.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21343577
PMID:21343577
研究デザイン:コホート内症例対象研究
論文のPECO
P:68歳以上の女性のうち、転子下骨折または大腿骨骨幹部骨折により入院した患者(症例)と、マッチングされた骨折を起こしていない者(対照)
E:ビスホスホネート服用
①短期間:100日~3年 ②中等期間:3~5年 ③長期服用:5年以上
C:ビスホスホネート服用100日未満(コントロール)
O:転子下骨折または大腿骨骨幹部骨折による入院
※用いられたビスホスホネート・・・アレンドロン酸、リセドロン酸、エチドロン酸
※除外基準
10年以内の癌、骨軟化症、大理石骨病、副甲状腺機能亢進症、高カルシウム血症、てんかん、セリアック病、ページェット病、腎性骨ジストロフィー、5年以内の胃バイパス術、1年以内のラロキシフェン・カルシトニン・フッ化ナトリウム・クロドロン酸・パミドロン酸・ゾレドロン酸による治療
研究対象集団の代表性
→一般人口を対象にしており大きな問題は無いかと思われる
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
調節した交絡因子は何か?
→社会経済的地位、併用薬、薬剤数、併存疾患、専門医の訪問、家庭医の訪問、骨密度
Data Supplement参照↓
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/645797
追跡期間
→平均4.0年
結果
【ベースライン】
平均年齢 症例:83歳 対照:83歳
【アウトカム】
転子下骨折または大腿骨骨幹部骨折による入院(Primary outcome)
①短期間の使用 vs コントロール 調整オッズ比=0.90(95%CI:0.48~1.68)
②中等期間の使用 vs コントロール 調整オッズ比=1.59(95%CI:0.80~3.15)
②長期間の使用 vs コントロール 調整オッズ比=2.74(95%CI:1.25~6.02)
大腿骨頸部骨折または股関節転子部骨折(Secondary outcome)
①短期間の使用 vs コントロール 調整オッズ比=0.87(95%CI:0.80~0.94)
②中等期間の使用 vs コントロール 調整オッズ比=0.86(95%CI:0.65~1.00)
②長期間の使用 vs コントロール 調整オッズ比=0.76(95%CI:0.63~0.93)
感想
5年以上の長期にわたるビスホスホネート服用により、転子下骨折または大腿骨骨幹部の骨折による入院リスクが高くなる可能性があるという結果である。
あくまでも観察研究であるため、この結果のみで結論は出来ないが、このような高齢者において長期間ビスホスホネートを服用している場合は、ビスホスホネートの中止や薬剤の変更も選択肢として考慮に入れておく必要があるのかもしれない。
関連した論文もあると思うので、そちらも読んで総合的に判断したい。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。