DOACはワルファリンより死亡を減らせますか?

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今回は、DOAC vs ワルファリンの死亡についてのメタ分析を見つけたので、読んでみました。

 

参考文献 Comparing mortality in patients with atrial fibrillation who are receiving a direct-acting oral anticoagulant or warfarin: a meta-analysis of randomized trials.

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=24986568

 

PMID:24986568

 

研究デザイン:メタ分析

 

論文のPECO

P:心房細動患者

E:DOAC

C:ワルファリン

O:①総死亡 ②血管性死亡 ③出血性死亡 ④頭蓋内出血

 

 ※対象となっているDOAC

→ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン

 

一次アウトカムは明確か?

→明確といえる

 

真のアウトカムか?

→いずれも真のアウトカム

 

4つのバイアス

1、評価者バイアス

→2名の評価者が独立して(?)データ抽出

 

評価者バイアスはさほど問題なさそう

 

2出版バイアス

情報元:PubMed

・言語制限などは不明。未出版のデータも探してはいないと思われる。

 

出版バイアスはやや疑われるかも?

 

3、元論文バイアス

・Cochrane Collaboration toolを用いて評価している

→there was a low risk of bias for all key domains for the ROCKET-AF, ARISTOTLE and ENGAGE AF-TIMI 48 trials. For the RE-LY trial, there was an unclear risk of bias for one key domain but, overall, a low risk of bias for all other key domains (Table 2 and Table S2).

 

元論文バイアスもさほど問題なさそう

 

4、異質性バイアス

・総死亡、血管性死亡、出血性死亡の異質性は少ない。頭蓋内出血は、やや異質性あり。

 

 

結果

総死亡

DOAC:3205/42341件 vs ワルファリン:2245/29221件

RR0.89 (95%CI:0.85~0.94) I2=0% p<0.0001

ARR=0.76 NNT=132

 

血管性死亡

DOAC:2098/42341件 vs ワルファリン:1465/29221件

RR0.88 (95%CI:0.82~0.94) I2=0%  p<0.0001

ARR=0.53 NNT=189

 

出血性死亡

DOAC:165/42304件 vs ワルファリン:208/29221件

RR0.54 (95%CI:0.44~0.67) I2=0%  p<0.00001

ARR=0.32 NNT=313

 

頭蓋内出血

DOAC:272/42304件 vs ワルファリン:425/29221件

RR0.42 (95%CI:0.34~0.53) I2=53%  p<0.00001

ARR=0.85 NNT=118

 

感想

総死亡、血管性死亡、出血性死亡、頭蓋内出血のいずれもワルファリン群に比べ、DOAC群で少ないという結果。

 しかしながら、NNTを見てみると総死亡は132、血管性死亡は189、出血性死亡は313、頭蓋内出血は118ということで、その薬価に見合っただけのベネフィットが得られるかと問われると、微妙な感じがする。

 個々の元論文によって、追跡期間やワルファリンのTTRが異なるため、単純にDOAC同士の効果の比較をすることは、このメタ分析の結果からは難しいと思われる。

 このテーマについては、引き続き追いかけていこうと思う。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。