転倒リスクのある薬(FRIDs)は股関節骨折を増やしますか?

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今回は、転倒リスクのある薬(FRIDs:fall risk-increasing drugs )と、股関節骨折リスクに関する論文です。

 

参考文献 Is use of fall risk-increasing drugs in an elderly population associated with an increased risk of hip fracture, after adjustment for multimorbidity level: a cohort study.

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=25475854

 

PMID:25475854

 

研究デザインコホート研究

 

論文のPECO

P:75歳以上の高齢

E:FRIDs使用あり

C:FRIDs使用無し

O:股関節骨折

 

 

研究対象集団の代表性

→一般人口を対象にしており、大きな問題無し

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

調節した交絡因子は何か?

→年齢、性別、併存疾患

 

 

結果

股関節骨折

(心血管薬)

心臓病に用いられる血管拡張薬 OR=0.89(95%CI:0.74~1.06)

 

降圧薬 OR=1.26(95%CI:0.46~3.42)

 

利尿薬 OR=0.97(95%CI:0.84~1.12)

 

βブロッカー OR=0.92(95%CI:0.80~1.07)

 

カルシウム拮抗薬 OR=0.83(95%CI:0.69~1.00)

 

RAS阻害薬 OR=0.93(95%CI:0.79~1.09)

 

(向精神薬)

オピオイド OR=1.56(95%CI:1.34~1.82)

 

ドパミン作動薬 OR=1.78(95%CI:1.24~2.55)

 

リチウム以外の抗精神病薬 OR=1.31(95%CI:0.98~1.75)

 

抗不安薬 OR=1.31(95%CI:1.11~1.54)

 

睡眠薬・鎮静薬 OR=1.31(95%CI:1.13~1.52)

 

抗うつ薬 OR=1.66(95%CI:1.42~1.95)

 

感想

 心血管薬では股関節骨折は増えないが、向精神薬では増えるという結果である。降圧薬でも股関節骨折は増えないという結果だが、この論文だけではリスクがないと言えないと思うので、関連論文を読んでいこうと思う。特に、降圧薬など開始時や増量時には転倒、骨折に十分注意が必要かと思う。

 個人的に、交絡因子の調整も不十分な気がするので、結果を鵜呑みには出来ないかなという印象。

 併用しているFRIDsが増えると、全体、また向精神薬では股関節骨折リスクが増える傾向にある。多剤併用患者では、より注意が必要かと思う。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。