ラクナ梗塞患者では、アスピリンにクロピドグレルを併用した方がいいですか?

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しばらく更新をさぼってしまいました( ;∀;)

 

今年1発目の記事は、ラクナ梗塞患者のアスピリン治療にクロピドグレルは併用した方が良いのか?という論文です。 

 

参考文献 Effects of clopidogrel added to aspirin in patients with recent lacunar stroke.

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=22931315

 

PMID:22931315

 

研究デザイン:ランダム化比較試験

 

論文のPECO

P:180日以内に症候性ラクナ梗塞を起こした30歳以上の患者3020名

E:アスピリン腸溶錠325mg+クロピドグレル75mg

C:アスピリン腸溶錠325mg+プラセボ

O:(Primary)脳梗塞の再発

 

ランダム化されているか?

→ランダム化されている

 

一次アウトカムは明確か?

→明確といえる

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

盲検化されているか?

→二重盲検されている

 

均等に割り付けられているか

→均等に2群に割り付けられていると思われる

 

ITT解析を行われているか?

→ITT解析されている

 

サンプルサイズ

→3000名(パワー90%、α=5%)

 

脱落率は結果を覆すほどあるか?

→Supplementary Appendixより、lost to follow upはプラセボ群27名、クロピドグレル群28名で、追跡率=98.2%

 

追跡期間

→平均3.4年

 

結果

【ベースライン】

平均年齢:63歳

 

【アウトカム】

脳梗塞の再発(Primary outcome

クロピドグレル群:125/1503件(2.5%)vs プラセボ群:138/1517件(2.7%)

HR=0.92(95%CI:0.72~1.16) p=0.48

 

総死亡

クロピドグレル群:113/1503件(2.1%)vs プラセボ群:77/1517件(1.4%)

HR=1.52(95%CI:1.14~2.04) p=0.004

 

大出血

クロピドグレル群:105/1517件(2.1%)vs プラセボ群:56/1503件(1.1%)

HR=1.97(95%CI:1.41~2.71) p<0.001

 

 

感想

 Primary outcomeである脳梗塞の再発は、クロピドグレルを併用しても減らす事が出来なかったという結果。また、総死亡はクロピドグレル併用群でおよそ1.5倍に増え、大出血も約2倍に増えている。

 使用しているアスピリン腸溶錠は325mgと、国内で用いられている量より多いので出血はこの研究では多くなっているのかもしれない。

 少なくともこの結果は、ラクナ梗塞既往でアスピリン服用中の患者にクロピドグレルを併用する事を推奨するような結果ではないと思う。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。

今年も宜しくお願い致します。