腰痛や変形性関節症に対してアセトアミノフェンはどの程度有効ですか?

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ご無沙汰しております。しばらく更新をさぼってしましました、すみません・・・。(-_-)/~~~ピシー!ピシー!

 

今回は、アセトアミノフェンの腰痛や変形性関節炎に対する効果を見た研究です。

 

参考文献 Efficacy and safety of paracetamol for spinal pain and osteoarthritis: systematic review and meta-analysis of randomised placebo controlled trials.

リンク   https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=25828856

 

PMID:25828856

 

研究デザイン:メタ分析

 

論文のPECO

P:腰痛または変形性関節炎の患者

E:アセトアミノフェン

C:プラセボ

O:痛みの強さ、身体障碍、QOL

 ※痛み、障害の程度は0~100のスケールに変換

 

 

一次アウトカムは明確か?

→明確といえる

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

4つのバイアス

1、評価者バイアス

・Two independent reviewers extracted data→2名の評価者が独立してデータ抽出

 

評価者バイアスはさほど問題なさそう

 

2出版バイアス

情報元:MEDLINE、EMBASE、AMED、CINAHL、Web of Science、LILACS、International Pharmaceutical Abstracts、Cochrane Central Register of Controlled trials

 

・未出版のデータも探している

・There were also no restrictions for languages・・・→言語制限なく検索

 

 

出版バイアスはさほど問題なさそう

 

3、元論文バイアス

・Risk of biasが著しく大きい物は無い(Fig2)

 

元論文バイアスもさほど問題なさそう

 

4、異質性バイアス

結果を参照

 

※When our treatment effects were smaller than 9 mm, although significant, we considered the effect as small and not clinically important.

→VASスケールで9mm以下の差であれば、有意差が出ようと臨床上重要な差とはみなされない

 

結果

☆腰痛患者

痛み

・即時(≦2週間) E群 vs C群の差 1.4(95%CI:-1.3~4.1)

 

・短期間(2週間~3カ月)  E群 vs C群の差 -0.5(95%CI:-2.9~1.9)

 

身体障害

・即時(≦2週間) E群 vs C群の差 -1.9(95%CI:-4.8~1.0)

 

・短期間(2週間~3カ月)  E群 vs C群の差 0.4(95%CI:-1.7~2.5)

 

☆変形性関節症患者

痛み

・即時(≦2週間) E群 vs C群の差 -3.3(95%CI:-5.8~-0.8)

 

・短期間(2週間~3カ月)  E群 vs C群の差 -3.7(95%CI:-5.5~1.9)

 

身体障害

・即時(≦2週間) E群 vs C群の差 -1.7(95%CI:-6.0~2.6)

 

・短期間(2週間~3カ月)  E群 vs C群の差 -2.9(95%CI:-4.9~-0.9)

 

【有害事象】

全有害事象

E群 vs C群 リスク比=1.0 (95%CI:0.9~1.1)

 

重篤な有害事象

E群 vs C群 リスク比=1.2 (95%CI:0.7~2.1)

 

全有害事象

E群 vs C群 リスク比=1.0 (95%CI:0.9~1.1)

 

脱落

E群 vs C群 リスク比=1.2 (95%CI:0.9~1.5)

 

有害事象(肝臓)

E群 vs C群 リスク比=3.8 (95%CI:1.9~7.4)

 

感想

 腰痛患者に対してのアセトアミノフェンは、痛みも身体障害もプラセボと比較して改善しなかったという結果。変形性関節症の患者では、2週間以内の痛みは有意に減らすという結果ではあるが、0~100mmのスケールで9mm未満の差は臨床上意義の大きな差とはみなされないということなので、大きな改善は見込めない可能性がある。

 また、有害事象のうち肝機能異常はリスク比が3.8と高くなっている。あくまで、元論文で用いられたアセトアミノフェンの量は3000~4000mg近く、この用量を用いている処方はほとんど見ない。

 この論文の結果からだと、アセトアミノフェン300mg×3回ぐらいの治療効果はわずかなものになってしまうかもしれない。しかし、実際にアセトアミノフェン200mg 1錠で痛みが治まったという患者もいるし、実際の効果としてはプラセボ効果も上乗せされて現れると思われるので、一概に意味が無いとは言えないと思う。

 短期間使用しても、痛みの改善が見られなければ長期間使用しても鎮痛効果は期待できないのかもしれない。関連する論文も読んでみようと思う。

 

 今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。