カルボシステインでCOPDの症状増悪を減らせますか?

ご訪問ありがとうございます。

 

わたくし、また一つ歳をとってしまいます。

20歳過ぎてから早いです。

 

さて、そんなわけで(←どんなわけだよ!)今回は、COPD患者に対するカルボシステインの投与と症状の急性増悪についての論文です。

 

参考文献 Effect of carbocisteine on patients with COPD: a systematic review and meta-analysis.

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=28814855

 

PMID:28814855

 

研究デザイン:メタ分析

 

論文のPECO

P:18歳以上のCOPD患者1357名

E:カルボシステイン

C:プラセボ

O:COPDの急性増悪回数

 

※平均追跡期間は10.4ヶ月

 

一次アウトカムは明確か?

→明確

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

4つのバイアス

  • 評価者バイアス

 

・Two authors inde­pendently extracted data from included studies…

 →2名の評価者が独立してデータ抽出を行っている

 

評価者バイアスはさほど問題なさそう

 

 

2、出版バイアス

情報元:MedLine、Embase、Cochrane Library、Web of Science、OpenSINGLE

・英語で書かれた研究のみ

・未出版のデータを探したか?著者に連絡を取ったかなど不明

 

出版バイアスはあるかもしれない

 

 

3、元論文バイアス

・In the four studies, only one study (Zheng et al17) was of high quality.

→元論文の質が低い可能性

 

元論文バイアスはややあるかも

 

4、異質性バイアス

・I2統計量は全体的に大きい印象

・結果の方向性は同じ

 

結果

急性増悪の回数

カルボシステイン群はプラセボ群と比べ -0.43回(95%CI:-0.57~-0.29) 

I2=60% P<0.00001

 

1回以上の増悪が発生した患者の割合

カルボシステイン群:310/602名 vs プラセボ群:367/613名

RR=0.86(95%CI:0.78~0.95) I2=84% p=0.002  NNT=12名

 

有害事象

2群間に有意差無し

 

感想

 COPD患者へのカルボシステイン投与で、平均10.4ヶ月の追跡期間内の急性増悪回数は、プラセボと比較して0.43回減らす事が出来たという結果。プラセボ群の急性増悪回数は1.35~1.48回、カルボシステイン群は0.54~1.01回と、大きな差ではないかもしれないが、少なくとも全く効果が無いとは言い切れない印象。

 また、急性増悪を1回以上経験した患者割合はRR=0.86(95%CI:0.78~0.95)とカルボシステイン群の方が有意に少なく、そのNNT=12名である。有害事象も2群間に差は見られなかったという事なので、症状の安定しない患者には使ってみるのもアリかと思った。

 元論文の質が高くないという点や、出版バイアスの可能性から、この結果をそのまま鵜呑みには出来ないが、このような点を割り引いたうえで使うのであれば活用できそうな情報だと思った。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。