ベンゾジアゼピン薬、Z-drugと股関節骨折

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今回は、ベンゾジアゼピン薬、Z-drugと股関節骨折についてです。

 

参考文献 Benzodiazepines, Z-drugs and the risk of hip fracture: A systematic review and meta-analysis.

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=28448593

 

PMID:28448593

 

研究デザイン:メタ分析

 

論文のPECO

P:50歳以上

E:①ベンゾジアゼピンあり ②Z-drugあり

C:無し

O:股関節骨折

 

ベンゾジアゼピンジアゼパムロラゼパム、クロルジアゼポキシド、オキサゼパム、テマゼパム、ニトラゼパム、ロプラゾラム、クロバザム

※Z-drug:ザレプロン、ゾルピデム、ゾピクロン

 

※短期間:14日以内 中期間:15~30日 長期間:1か月以上 Mixed:中期間+長期間

 

 一次アウトカムは明確か?

→明確と言える

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

4つのバイアス

1、評価者バイアス

・Data was separately extracted by two

reviewers (KD, BC) and discrepancies were resolved following discussion.

→2名の評価者が独立してデータ抽出

 

評価者バイアスはさほど問題なさそう

 

2、出版バイアス

情報元:MEDLINE、SCOPUS

・英語で書かれたもののみ検索

・未出版データを探しているか?著者に連絡を取っているか?記載が見つけられず

 

出版バイアスの可能性はあるかも

 

 

3、元論文バイアス

・Table1を見ると、Newcastle Ottawa scaleでGoodのものが多い

 

元論文バイアスはさほど問題なさそう

 

 

4、異質性バイアス

・結果を参照

 

 

結果

股関節骨折

ベンゾジアゼピンあり vs ベンゾジアゼピン無し

RR1.52 (95%CI:1.37~1.68) I2=67% P<0.00001

 

☆短期間

RR2.40 (95%CI:1.88~3.05) I2=27% P<0.00001

 

☆中期間

RR1.53 (95%CI:1.22~1.92) I2=0% P=0.0002

 

☆長期間

RR1.20 (95%CI:1.08~1.34) I2=0% P=0.001

 

☆Mixed

RR1.52 (95%CI:1.35~1.71) I2=59%  P<0.00001

 

②Z-drugあり vs Z-drug無し

RR1.90 (95%CI:1.68~2.13) I2=29% P<0.00001

 

☆短期間

RR2.39 (95%CI:1.74~3.29) I2=26% P<0.00001

 

☆Mixed

RR1.80 (95%CI:1.60~2.02) I2=0% P<0.00001

 

 

感想

 ベンゾジアゼピンでは、ブロチゾラムフルニトラゼパムなど、Z-drugではエスゾピクロンは含まれていないようなので、国内での使用状況とはやや違いがあるかもしれない。

 股関節骨折はベンゾジアゼピン、Z-drugいずれも増やすという結果である。やはり、安全性が高いと言われているZ-drugでも増加が見られる。

 また、14日未満の短期間の使用の方が、中~長期間使用よりもリスクは高いという結果となっている。導入初期は特に注意が必要であると考えられるかもしれない。

 ベンゾジアゼピン vs Z-drugの直接比較した結果も気になる所である。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。