COPDの患者に対する吸入3剤併用 vs 2剤併用
ご訪問ありがとうございます。
今回は、COPD患者に対する3剤併用療法 vs 2剤併用療法の論文です。
グラクソスミスクラインのホームページには、次のようなページがありました。
https://jp.gsk.com/jp/media/press-releases/2018/20180521_trelegy-us-expansion/
3剤の合剤エリプタ製剤が、そのうち国内でも発売されそうな感じがします。
そんなわけで、論文です。アブストラクトしか読めませんが・・・。
参考文献 Once-Daily Single-Inhaler Triple versus Dual Therapy in Patients with COPD.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29668352
PMID:29668352
研究デザイン:ランダム化比較試験
論文のPECO
P:COPD患者10355名
E:3剤併用(フルチカゾン100㎍+ウメクリジニウム62.5㎍+ビランテロール25㎍)
C:①2剤併用(フルチカゾン100㎍+ビランテロール25㎍)
②2剤併用(ウメクリジニウム100㎍+ビランンテロール25㎍)
O:(Primary) 1年間当たりのCOPD症状の中等度~重度の増悪
※それぞれはエリプタ吸入で1日1回使用
ランダム化されているか?
→ランダム化されている
一次アウトカムは明確か?
→明確といえる
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
盲検化されているか?
均等に割り付けられているか
ITT解析を行われているか?
→アブストクトには記載なし
脱落率は結果を覆すほどあるか?
→追跡率に関する記載が見当たらない
追跡期間
→平均52週間
結果
中等度~重度の症状増悪
3剤併用群:0.91回/年
2剤併用(フルチカゾン+ビランテロール):1.07回/年
2剤併用(ウメクリジニウム+ビランテロール):1.21回/年
3剤併用 vs フルチカゾン+ビランテロール
RR=0.85(95%CI:0.80~0.90)p<0.001
3剤併用 vs ウメクリジニウム+ビランテロール
RR=0.75(95%CI:0.70~0.81)p<0.001
重度の症状増悪による入院
3剤併用群:0.13回/年
2剤併用(ウメクリジニウム+ビランテロール):0.19回/年
3剤併用 vs ウメクリジニウム+ビランテロール
RR=0.66(95%CI:0.56~0.78)p<0.001
肺炎
3剤併用 vs ウメクリジニウム+ビランテロール
HR=1.53(95%CI:1.22~1.92) p<0.001
感想
アブストラクトしか読めないため詳細が分からないが、中等度~重度の症状増悪は3剤併用療法の方が2剤併用療法よりも有意に少なくなるという結果。重度の症状増悪による入院も3剤併用療法の方が少なくなる。
ただ、有意差はついているがそもそもの症状の増悪は3剤併用群で0.91回/年、フルチカゾン+ビランテロール群で1.07回/年、ウメクリジニウム+ビランテロール群で1.21回ということなので、劇的な差ではないようにも感じる。全体としてはこのような結果だが、重症患者だけに絞ってみると、もう少し大きな差が生じるとかあるのだろうか。サブ解析の結果も見てみたい。
また、肺炎に関しては3剤併用群の方がウメクリジニウム+ビランテロール群より多いという結果となっている。こちらも、アブストラクトでは絶対数が分からないので、具体的にどの程度の影響の大きさなのか判断しかねるが。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。
ではこれから、日本薬剤師会学術大会参加のため、金沢へ出発します!