「だれも教えてくれなかった実践薬歴」を読んでみた
2018年9月3日。じほう社から、「だれも教えてくれなかった実践薬歴」が発売となりました。
実は、この本が出るというお話をかなり前(確か、1年ほど前の講習会で)聞いていたので心待ちにしていました。普段は書店で実物を見て購入する派なのですが、珍しくAmazonで注文しました。
私が購入した理由ですが、第一に「自分の薬歴に自信があまりない」という点でした。タイトルにもなっている通り、「誰も教えてくれなかった」わけです。私は薬学部6年制の1期生なのですが、大学で薬歴の書き方についての授業はほとんど無かったと記憶しています(授業を聞いていなかった可能性も??)。
店舗に配属されてからも、その当時の上長に確認はしましたが、割と自分の思った通りのやり方で書いていました。でも、ちゃんと書けているかと問われれば、自信をもって「はい!」とは言えない感じでした。
もう一つの購入理由が、日経DIのコラム(薬局にソクラテスがやってきた)や実践薬学を読んでいて、著者のソクラテス先生こと山本雄一郎先生はどういう思考法をもってお仕事されているのだろう??という所を知りたかったんです。
そんなわけで、届いたその日から早速読み始めました。
あまり詳しい内容はネタバレになるので書きませんが、読み進めていくうちに個人的に勘違いしていた部分や、店舗での改善点などたくさん浮き彫りになりました。薬歴を十分に活用しきれていなかったんだなと。
今までずっと勘違いしていて、SOAPの「O」に書くはずの事を「A」に書いていたようです。なんだか薬歴がしっくりこないことがあったのも、うまく活用しきれていなかったのも、この辺に原因があったのかなぁと。これまで薬歴に関してはだれも指摘してくれなかったですし、他店舗のヘルプにでも入らない限り、自店以外の薬歴を目にすることもありません。この本に出合わなければ、これからもずっとそうだったかもしれません。
そして、実践薬歴という名前ですが、薬歴の書き方マニュアルのようなものではありません。薬歴から服薬指導の際の思考法まで学べますし、日々の業務で使えそうな情報源やエッセンスがちりばめられています。よくありそうな症例を基に解説して下さっているので、納得しながら読み進められます。読み進めているうちに何度も「はっ!」としました。
個人的には、chap.2「SOAP形式の薬歴がうまく書けない理由」の、4「いつも同じ処方なので薬歴に書くことがありません」の部分は特に勉強になりました。
私には、これまでに出会った本の中で、特に仕事に対する考え方を変えてくれた本が2冊あります。
①二代目薬剤師が薬局を滅ぼす 近藤剛弘 先生 著
②「DO処方、特変ナシ」から脱却せよ 川添哲嗣 先生 著
「だれも教えてくれなかった実践薬歴」はこれらの2冊と並び、私の仕事に対する考え方に大きく影響していくと思います。得た知識や視点、考え方は使わなければ意味がないと思うので、この本への出会いに感謝しつつ、現場でも出来る所から改善していこうと思います。
まだ読んで1週間ほどですが、すでに薬歴の書き方を意識して改善していこうとしていますし、そこを意識することで服薬指導にも変化が見られているように思います。読んで納得したら、即実践ですね。使わなきゃ意味がない。
もっと早く、この本に出会えていれば・・・。もし、来年の新入社員にオススメ書籍を聞かれたら、間違いなく「実践薬歴」は紹介すると思います。学習意欲を刺激する仕掛けもしてありますし、この本を読んで実践していくことで仕事が楽しくなると思います。多くの薬剤師のこれからの仕事を変える1冊になるのではないでしょうか?