NSAIDごとに心不全リスクは異なりますか?
ご訪問ありがとうございます。
今日は、11月11日です。そう、ポッキー&プリッツの日ですね。
皆さんはポッキーまたはプリッツを食べるのでしょうか?
さて、そんなことは全く関係ないですが、今回は、NSAIDごとの心不全リスクを調べた研究です。
参考文献 Non-steroidal anti-inflammatory drugs and risk of heart failure in four European countries: nested case-control study.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27682515
PMID:27682515
研究デザイン:コホート内症例対象研究
論文のPECO
P:18歳以上の新規にNSAIDを開始した成人のうち、心不全のため入院した92163名(症例)と、年齢、性別、コホート参加日でマッチングした8246403名(対照)
E:NSAIDを服用
C:NSAID服用無し
O:心不全による入院
研究対象集団の代表性
→4か国(オランダ、イタリア、ドイツ、イギリス)の人口ベースの医療データベースが用いられており、大きな問題は無いかと思われる
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
アウトカムは明確か?
→明確と言える
調節した交絡因子は何か?
→コホート参加日の年齢、併存疾患、併用薬
※Table 2 reports the full list of covariates.と記載あり→詳しくはTable2を参照
結果
※服用のタイミングによる定義
・Current:アウトカム発生14日以内の使用
・Recent:アウトカム発生15~183日前の使用
・Past:184日以上前
心不全による入院
【服用タイミングごとのオッズ比】
Current vs Past OR=1.19(95%CI:1.17~1.22)
Recent vs Past OR=1.00(95%CI:0.99~1.02)
【NSAIDごとのオッズ比】 ※主なもののみ
インドメタシン OR=1.51(95%CI:1.33~1.71)
スリンダク OR=1.32(95%CI:0.79~2.21)
ジクロフェナク OR=1.19(95%CI:1.15~1.24)
イブプロフェン OR=1.18(95%CI:1.12~1.23)
ナプロキセン OR=1.16(95%CI:1.07~1.27)
ロルノキシカム OR=1.06(95%CI:0.80~1.41)
ケトプロフェン OR=1.03(95%CI:0.96~1.11)
メロキシカム OR=1.02(95%CI:0.94~1.11)
フルルビプロフェン OR=0.97(95%CI:0.68~1.04)
セレコキシブ OR=0.96(95%CI:0.90~1.02)
エトドラク OR=0.87(95%CI:0.63~1.19)
感想
オッズ比がものすごく大きいわけではないが、NSAID服用中はやはり心不全に注意が必要であると思われる。少なくとも、漫然と不必要に処方する事は避けた方が良さそうである。
インドメタシンやジクロフェナク、イブプロフェンなどではエトドラクやセレコキシブよりも心不全による入院のオッズ比が大きくなっている。しかし、あくまで観察研究の結果であり、このまま鵜呑みには出来ない印象。
この研究対象患者からは、コホート参加日前の1年以内に心不全による入院歴がある患者は除外されているようである。(We excluded participants if they:→4つ目の項目に、Were admitted to hospital with a primary diagnosis of heart failure in the year before the date of cohort entryと記載あり)心不全リスクの高い患者が除外されているものと思われ、心不全リスクの高い患者では、より注意が必要かもしれない。
この論文の結果だけでみると、心不全のリスクがある患者にNSAIDを用いる必要がある場合、ジクロフェナクなどよりは、セレコキシブなどの方がいいのかもしれない。しかし、他の心血管イベントリスクなども調べてみなければ何とも言えないので、今後調べてみようと思う。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。