スピロノラクトンは心不全患者の総死亡に影響しますか?
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今回は、心不全患者に対するスピロノラクトンの使用と総死亡についてです。
参考文献 Association of spironolactone use with all-cause mortality in heart failure: a propensity scored cohort study.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23386667
PMID:23386667
研究デザイン:コホート研究
論文のPECO
P:2000年~2012年の間にSwedish Heart Failure Registryに登録された、NYHAⅠ~Ⅳ度心不全で、駆出率<40%の患者18852名
E:スピロノラクトン使用あり6551名
C:スピロノラクトン使用無し12301名
O:総死亡
研究対象集団の代表性
→問題無さそう
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
調節した交絡因子は何か?マッチングされているか?
→傾向スコアマッチングされている
追跡期間
スピロノラクトンあり群:中央値831日(0~3985日)
スピロノラクトン無し群:中央値811日(0~4129日)
結果
・患者の年齢71±12歳
総死亡
★全患者(NYHAⅠ~Ⅳ度)
HR=1.05(95%CI:1.00~1.11) p<0.054
★NYHAⅠ~Ⅱ度
HR=1.11(95%CI:1.02~1.21) p=0.019
★NYHAⅢ~Ⅳ度
HR=1.05(95%CI:0.99~1.12) p=0.108
感想
スピロノラクトン使用により、総死亡は減らなかったという結果である。NYHA分類による、心不全の重症度ごとのサブグループの結果においても、スピロノラクトン使用で総死亡のハザード比が下がるような結果ではない。
具体的なスピロノラクトン使用量などの記載が見つけられなかったこともあり、この結果だけでスピロノラクトン使用の是非の判断を下すことは難しい印象。
対象患者の年齢は71±12日とやや高齢なのと、追跡期間の中央値がおよそ2年なので差が出にくかったという事もあるかもしれない。少なくとも今回の結果は、高齢の心不全患者に対してスピロノラクトンの積極的な使用を推奨するようなものではないように思われる。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。