心筋梗塞後の少量n‐3系脂肪酸で心血管イベントは減らせますか?
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今回は、心筋梗塞後の患者に対するn-3系脂肪酸の、心血管イベント抑制効果に関する論文です。
参考文献 n-3 fatty acids and cardiovascular events after myocardial infarction.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=20929341
PMID:20929341
研究デザイン:ランダム化比較試験
論文のPECO
P:60~80歳の、10年以内に心筋梗塞を起こした患者のうち降圧薬、抗血栓薬、脂質補正薬の治療を行っている患者4837名
E:①EPA+DHA400mg ②α-リノレン酸(ALA)2g ③EPA+DHA+α-リノレン酸
C:プラセボ
O:(Primary) 致死的・非致死的心血管イベント(心筋梗塞、心停止、脳卒中を含む)、PCI、冠動脈バイパス術の複合アウトカム
※引用文献16を参照↓↓
http://www.ahjonline.com/article/S0002-8703(10)00074-8/pdf
※除外基準
マーガリンの1日摂取量<10g、n-3系サプリメント使用、1年以内の5kg以上の意図しない体重減少、余命1年未満の悪性腫瘍
ランダム化されているか?
→ランダム化されている
一次アウトカムは明確か?
→明確??(あまり具体的な記載ではない印象)
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
盲検化されているか?
→二重盲検されている
均等に割り付けられているか
→均等に2群に割り付けられていると思われる
ITT解析を行われているか?
→ITT解析されている
サンプルサイズ
→4800名(パワー80%、α=5%)※Supplementary Appendixより
脱落率は結果を覆すほどあるか?
→No patients were lost to follow-up.(追跡率100%)
追跡期間
→中央値3.7年
結果
※EPA-DHA群:EPA-DHA服用あり、ALA/プラセボ群:EPA-DHA服用無し
※ALA群:ALA服用あり、EPA/プラセボ群:ALA服用無し
Primary outcome
EPA-DHA群:336/2404件(14.0%)vs ALA/プラセボ群:335/2433件(13.8%)
HR=1.01(95%CI:0.87~1.17) p=0.93
ALA群:319/2409件(13.2%)vs EPA-DHA/プラセボ群:352/2428件(14.5%)
HR=0.93(95%CI:0.78~1.05) p=0.20
感想
心筋梗塞後の患者に対してEPA-DHA、α-リノレン酸の追加投与ともに心血管イベントを減らさないという結果である。
用いられているEPA、DHAの平均用量はEPAが226mg、DHAが150mgであり、国内で用いられるような量と比較すると少ない。
少なくともこの論文によると、心筋梗塞後の患者に対してEPA、DHA、ALAいずれも心血管イベントを減らすような結果ではなく、積極的に少量のn-3系脂肪酸の追加摂取を勧めるような印象ではない。.
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。