血糖異常患者はインスリンを使用した方がいいですか?

ご訪問ありがとうございます。

 

今回は、インスリングラルギン使用の有無を比較した論文を見つけたので、読んでみました。

 

参考文献 Basal Insulin and Cardiovascular and Other Outcomes in Dysglycemia

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22686416

 

PMID:22686416

 

研究デザイン:ランダム化比較試験

 

論文のPECO

P:心血管イベントリスクありで、空腹時血糖異常、耐糖能異常、または2型糖尿病の患者12537名

E:インスリングラルギン使用(目標空腹時血糖<95mg/dl)

C:標準ケア

O:(Primary)

①非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中・心血管死亡の複合アウトカム

②非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中・心血管死亡・血行再建術・心不全による入院の複合アウトカム

 

※n-3系脂肪酸 vs プラセボの比較も並行して行っている2×2のデザイン

 

ランダム化されているか?

→ランダム化されている

 

一次アウトカムは明確か?

→Primary outcomeは2つあるが、明確であると考えた

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

盲検化されているか?

→盲検化はされていないと思われる

 

均等に割り付けられているか

→均等に2群に割り付けられていると思われる

 

ITT解析を行われているか?

→ITT解析されている

 

サンプルサイズ

→12500名(パワー=90% α=5%)

 

脱落率は結果を覆すほどあるか?

→追跡率=99.87%

 

追跡期間

→中央値6.2年

 

結果

【ベースライン】

平均年齢 E群:63.6±7.8歳 C群:63.5±7.9歳

空腹時血糖(中央値) E群:125mg/dl C群:124mg/dl

HbA1c(中央値) E群:6.4% C群:6.4%

心血管イベント既往  E群:59.3% C群:58.4%

 

検査値の変化

HbA1c(中央値)

E群 ベースライン:6.4% 1年後:5.9% 7年後:6.2%

C群 ベースライン:6.4% 1年後:6.2% 7年後:6.5%

 

【アウトカム】

①非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中・心血管死亡の複合アウトカム(First primary outcome

E群:2.94/100人年 vs C群:2.85/100人年  

調整HR=1.02(95%CI:0.94~1.11) p=0.63

 

②非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中・心血管死亡・血行再建術・心不全による入院の複合アウトカム(Second primary outcome)

E群:5.52/100人年 vs C群:5.28/100人年  

調整HR=1.04(95%CI:0.97~1.11) p=0.27

 

総死亡

E群:2.57/100人年 vs C群:2.60/100人年  

調整HR=0.98(95%CI:0.90~1.08) p=0.70

 

重篤な低血糖

E群:1.00/100人年 vs C群:0.31/100人年  p<0.001

 

体重の変化(中央値

E群:+1.6kg vs C群:-0.5kg  p<0.001

 

感想

 今回のような、心血管イベントリスクがある血糖異常患者に対して、インスリングラルギンを使用しても、①非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中・心血管死亡の複合アウトカム、②非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中・心血管死亡・血行再建術・心不全による入院の複合アウトカム、どちらも減らせなかったという結果。

 また、低血糖は重篤なものから重篤ではないものまで、インスリングラルギン群で多く、体重はインスリングラルギン使用では増加傾向が示されている。

 今回の対象患者のベースラインのHbA1cは中央値6.4%、空腹時血糖の中央値は125mg/dl程度と、そこまでコントロールが不良な患者というわけではなさそうである。

 心血管イベントリスクがあっても、HbA1cが6.5%程度のそこまで血糖コントロールが悪くない患者では、インスリングラルギンを用いて積極的に血糖値を下げようとしなくてもいいのではないかと感じた。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。

高齢女性は長期間のビスホスホネート服用で骨折は増えますか?

ご訪問ありがとうございます。

 

今回は、先日の勉強会で少し話題になった、ビスホスホネート系薬の長期使用についての論文です。

 

参考文献  Bisphosphonate use and the risk of subtrochanteric or femoral shaft fractures in older women.

リンク    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21343577

 

PMID:21343577

 

研究デザインコホート内症例対象研究

 

論文のPECO

P:68歳以上の女性のうち、転子下骨折または大腿骨骨幹部骨折により入院した患者(症例)と、マッチングされた骨折を起こしていない者(対照)

E:ビスホスホネート服用

①短期間:100日~3年 ②中等期間:3~5年 ③長期服用:5年以上

C:ビスホスホネート服用100日未満(コントロール

O:転子下骨折または大腿骨骨幹部骨折による入院

 

※用いられたビスホスホネート・・・アレンドロン酸、リセドロン酸、エチドロン酸

 

※除外基準

10年以内の癌、骨軟化症、大理石骨病、副甲状腺機能亢進症高カルシウム血症てんかん、セリアック病、ページェット病、腎性骨ジストロフィー、5年以内の胃バイパス術、1年以内のラロキシフェン・カルシトニン・フッ化ナトリウム・クロドロン酸・パミドロン酸・ゾレドロン酸による治療

 

 

研究対象集団の代表性

→一般人口を対象にしており大きな問題は無いかと思われる

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

調節した交絡因子は何か?

→社会経済的地位、併用薬、薬剤数、併存疾患、専門医の訪問、家庭医の訪問、骨密度

Data Supplement参照↓

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/645797

 

追跡期間

→平均4.0年

 

結果

【ベースライン】

平均年齢 症例:83歳  対照:83歳

 

【アウトカム】

転子下骨折または大腿骨骨幹部骨折による入院(Primary outcome)

①短期間の使用 vs コントロール 調整オッズ比=0.90(95%CI:0.48~1.68)

 

②中等期間の使用 vs コントロール 調整オッズ比=1.59(95%CI:0.80~3.15)

 

②長期間の使用 vs コントロール 調整オッズ比=2.74(95%CI:1.25~6.02)

 

大腿骨頸部骨折または股関節転子部骨折(Secondary outcome)

①短期間の使用 vs コントロール 調整オッズ比=0.87(95%CI:0.80~0.94)

 

②中等期間の使用 vs コントロール 調整オッズ比=0.86(95%CI:0.65~1.00)

 

②長期間の使用 vs コントロール 調整オッズ比=0.76(95%CI:0.63~0.93)

 

感想

 5年以上の長期にわたるビスホスホネート服用により、転子下骨折または大腿骨骨幹部の骨折による入院リスクが高くなる可能性があるという結果である。

 あくまでも観察研究であるため、この結果のみで結論は出来ないが、このような高齢者において長期間ビスホスホネートを服用している場合は、ビスホスホネートの中止や薬剤の変更も選択肢として考慮に入れておく必要があるのかもしれない。

 関連した論文もあると思うので、そちらも読んで総合的に判断したい。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。

血糖異常患者はn-3系脂肪酸で心血管死亡を防げますか?

ご訪問ありがとうございます。

 

今回は血糖異常患者に対するn-3系脂肪酸についての論文です。

 

参考文献  n-3 fatty acids and cardiovascular outcomes in patients with dysglycemia.

リンク   https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=22686415

 

PMID:22686415

 

研究デザイン:ランダム化比較試験

 ※インスリングラルギン使用 vs 通常ケアの比較も同時並行で行われている、2×2の研究デザイン

 

論文のPECO

P:食後血糖異常、耐糖能異常、糖尿病のいずれかがある、心血管イベント高リスクの患者12536名

E:n-3系脂肪酸(465mgのEPA+375mgのDHA)→6319名

C:プラセボ→6292名

O:(Primary) 心血管死亡

  

除外基準

研究に使われていないn-3系脂肪酸の中止を望まない、HbA1c>9.0%、過去4年以内の冠動脈バイパス術、重篤な心不全、声明に影響を及ぼす悪性腫瘍

 

ランダム化されているか?

→ランダム化されている

 

一次アウトカムは明確か?

→明確

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

盲検化されているか?

→二重盲検化されている

 

ITT解析を行われているか?

→ITT解析されている

 

サンプルサイズ

→12500名(パワー90%、α=5%)

 

脱落率は結果を覆すほどあるか?

→99.4%

 

追跡期間

→中央値6.2年

 

結果

【ベースライン】

平均年齢 n-3系:63.5±7.8歳 vs プラセボ:63.6±7.9歳

心筋梗塞脳卒中、血行再建術既往 n-3系:59.1% vs プラセボ:58.6%

高血圧 n-3系:78.7% vs プラセボ:80.3%

HbA1c(中央値) n-3系:6.4% vs プラセボ:6.4%

食事由来のEPA-DHA n-3系:210.0mg/日 vs プラセボ:209.3mg/日

 

 【アウトカム】

Primary outcome(心血管死亡)

 

 n-3系:1.55/100人年 vs プラセボ:1.58/100人年

調整HR=0.98(95%CI:0.87~1.10) p=0.72

 

Secondary outcome

心筋梗塞脳卒中・心血管死亡の複合アウトカム

n-3系:2.92/100人年 vs プラセボ:2.88/100人年

調整HR=1.01(95%CI:0.93~1.10) p=0.81

 

☆総死亡

n-3系:2.57/100人年 vs プラセボ:2.62/100人年

調整HR=0.98(95%CI:0.89~1.07) p=0.63

 

不整脈による死亡

n-3系:0.78/100人年 vs プラセボ:0.70/100人年

調整HR=1.10(95%CI:0.93~1.30) p=0.26

 

 

☆致死性・非致死性心筋梗塞

n-3系:0.95/100人年 vs プラセボ:0.88/100人年

調整HR=1.09(95%CI:0.93~1.27) p=0.28

 

☆致死性・非致死性脳卒中

n-3系:0.86/100人年 vs プラセボ:0.93/100人年

調整HR=0.92(95%CI:0.79~1.08) p=0.32

 

心不全による入院

n-3系:0.91/100人年 vs プラセボ:0.88/100人年

調整HR=1.02(95%CI:0.88~1.19) p=0.76

 

☆血行再建術

n-3系:2.54/100人年 vs プラセボ:2.65/100人年

調整HR=0.96(95%CI:0.87~1.05) p=0.39

 

狭心症

n-3系:2.11/100人年 vs プラセボ:2.12/100人年

調整HR=1.00(95%CI:0.90~1.10) p=0.94

 

☆虚血による手足・手指切断

n-3系:0.14/100人年 vs プラセボ:0.13/100人年

調整HR=1.09(95%CI:0.974~1.62) p=0.67

 

☆心血管イベントによる入院

n-3系:6.87/100人年 vs プラセボ:7.00/100人年

調整HR=0.98(95%CI:0.92~1.04) p=0.50

 

感想

 n-3系脂肪酸EPA+DHA)を服用しても、心血管死亡やいずれのSecondary outcomeも、抑制できないという結果。

 今回用いている用量は、国内で使用されているEPA+DHA製剤の通常容量より少ない量(1/2~1/4)である点は注意が必要かもしれない。食事によるn-3系脂肪酸の摂取も多少影響はあるのかもしれないが。

 今回の患者背景を見てみると、ベースラインで心筋梗塞脳卒中・血行再建術を経験した患者が60%近くを占めている。また、併用薬も多い。

 少なくとも、このような心血管イベント高リスクの患者に対するn-3系脂肪酸の有用性は、今回の論文からだと大きくなさそうだと感じた。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。

急性心筋梗塞の二次予防に、水溶性スタチンと脂溶性スタチンで違いはありますか?

ご訪問ありがとうございます。

 

今回はスタチンについて興味深い論文を見つけたので、読んでみました。

 

参考文献  Assessment of lipophilic vs. hydrophilic statin therapy in acute myocardial infarction – ALPS-AMI study.

リンク   https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=25392071

 

PMID:25392071

 

研究デザイン:ランダム化比較試験

 

論文のPECO

P:20歳以上で血清LDLコレステロール≧70mg/dlの、急性心筋梗塞発生後96時間以内にPCIを受けた患者508名

E:脂溶性スタチン(アトルバスタチン) →255名 

C:水溶性スタチン(プラバスタチン)→253名

O:(Primary) 総死亡、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、不安定狭心症、入院を要する虚血性心不全、冠血行再建術の複合アウトカム

 

※両群とも10㎎/日から開始し、LDLコレステロール<100mg/dlを目指す。4週後にLDLコレステロール<100mg/dlを達成しなければ20mg/日に増量。開始8週後にまだLDLコレステロール<100mg/dlを達成していなければ、10㎎のエゼチミブを追加。

 

除外基準

冠動脈バイパス術予定患者、妊婦、肝臓病、腎臓病、悪性腫瘍、重篤な不整脈、血行動態不安定(低血圧、うっ血性心不全、急性心不全後の器質的合併症)

 

ランダム化されているか?

→ランダム化されている

 

一次アウトカムは明確か?

→複合アウトカムなので明確

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

盲検化されているか?

→PROBE法を用いている

 

ITT解析を行われているか?

→ITT解析されている

 

サンプルサイズ

→500名(パワー80%、α=5%)

(引用文献15を参照)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Rationale+and+design+of+assessment+of+lipophilic+vs.+hydrophilic

 

脱落率は結果を覆すほどあるか?

→追跡率95.9%

 

追跡期間

→2年間

 

結果

【ベースライン】

平均年齢 プラバスタチン:65.7±11.7歳 vs アトルバスタチン:66.3±11.4歳

TC プラバスタチン:240.1±38.6mg/dl vs アトルバスタチン:203.2±40.8mg/dl

LDL-C プラバスタチン:130.2±33.2mg/dl vs アトルバスタチン:131.0±33.9mg/dl

HDL-C プラバスタチン:47.6±11.4mg/dl vs アトルバスタチン:48.0±12.4mg/dl

TG プラバスタチン:142.9±114.2mg/dl vs アトルバスタチン:130.8±94.3mg/dl

 

※エゼチミブの追加投与が必要となった患者

プラバスタチン:19% vs アトルバスタチン:4.7% p<0.001

 

【アウトカム】

☆Primary outcome(総死亡、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、不安定狭心症、入院を要する虚血性心不全、冠血行再建術の複合アウトカム)

アトルバスタチン:80/255名(31.4%)vs プラバスタチン:77/253名(30.4%) 

HR=1.181(95%CI:0.862~1.619) p=0.299

 

☆総死亡

アトルバスタチン:3.5% vs プラバスタチン:5.5%  p=0.277

 

☆心血管死亡

アトルバスタチン:1.2% vs プラバスタチン:1.2%  p=0.992

 

心筋梗塞

アトルバスタチン:0% vs プラバスタチン:0.4%  p=0.315

 

脳卒中

アトルバスタチン:0.4% vs プラバスタチン:2.0%  p=0.098

 

☆血行再建術

アトルバスタチン:24.7% vs プラバスタチン:20.2%  p=0.219

 

心不全による入院

アトルバスタチン:2.7% vs プラバスタチン:2.4%  p=0.790

 

※安全性

治療の中止はアトルバスタチン2.4%、プラバスタチン2.8%(p=0.7677)

※中止の主な理由は肝機能障害

 

感想

 この研究では、二重盲検をしておらず(LDL-Cなど検査値を追っていく必要があるため、盲検化不可能と思われる)、PROBE法を採用している。それにも関わらずソフトエンドポイントである、入院を要する心不全や、冠動脈再建術が複合アウトカムに含まれている。そして、実際に発生したアウトカムの大部分が冠動脈再建術である。この点は注意したい。

 そもそも、水溶性・脂溶性の違いの他に、プラバスタチンはスタンダードスタチン、アトルバスタチンはストロングスタチンに分類される。Figre2を見てみると、総コレステロールやLDLコレステロールの変化に両群で差が出ている。LDLコレステロール低下に関しては確かにアトルバスタチンの方が優位かと思われる。

 しかし、総死亡・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中・不安定狭心症・入院を要する虚血性心不全・冠血行再建術の複合アウトカム、また個々のアウトカムは、いずれも両群で違いはないという結果である。

 エゼチミブの追加投与はプラバスタチン群19%、アトルバスタチン服用群4.7%と、プラバスタチン服用群の方が多いので、個人的に、プラバスタチン群ではエゼチミブを併用している割合が高い影響で、アウトカム発生が多少減っているのでは?という疑問もある。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。

ダパグリフロジンは心血管イベントに影響しますか?

ご訪問ありがとうございます。

 

今回は、ダパグリフロジンと心血管イベントに関するメタ分析の論文を読んでみました。メタ分析とはいっても、第2b相、第3相試験のメタ分析ではありますが。

 

参考文献 Cardiovascular effects of dapagliflozin in patients with type 2 diabetes and different risk categories: a meta-analysis.

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=26895767

 

PMID:26895767

 

研究デザイン:メタ分析

 

論文のPECO

P:2型糖尿病患者

E:ダパグリフロジン服用有り(2.5~10mg)

C:ダパグリフロジン服用無し(プラセボまたは他剤)

O:MACE(心血管死亡、心筋梗塞脳卒中)+不安定狭心症による入院、MACE

  

一次アウトカムは明確か?

→明確

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

4つのバイアス

1、評価者バイアス

→2名以上の評価者でデータ抽出等しているかは不明。(そもそも、すべての研究が組み入れられている?)

 

評価者バイアス不明

 

2、出版バイアス

情報元:第2b相(5件:12~24週)、第3相試験(16件:~208週)

 →網羅的に集められていると判断していい?

 

出版バイアス不明

 

3、元論文バイアス

→元論文バイアスの評価を行っているか不明(元論文は第2相、第3相試験)

 

元論文バイアス不明

 

4、異質性バイアス

→記載なし

 

結果

MACE

(全員)

ダパグリフロジン群:1.15/100人年 vs C群:1.69/100人年

HR=0.772(95%CI:0.543~1.097)

 

(心血管疾患の既往ありの患者のみ)

ダパグリフロジン群:2.21/100人年 vs C群:2.76/100人年

HR=0.802(95%CI:0.527~1.221)

 

(心血管リスクのある高齢者)

ダパグリフロジン群:3.28/100人年 vs C群:3.61/100人年

HR=0.916(95%CI:0.512~1.640)

 

※心血管リスク因子:65歳以上、心血管イベント既往歴、高血圧既往歴、脂質異常症既往歴、喫煙歴、早期冠状動脈性心疾患の家族歴、eGFR<60mL/min/1.73m2

 

MACE不安定狭心症による入院

(全員)

ダパグリフロジン群:1.46/100人年 vs C群:2.15/100人年

HR=0.787(95%CI:0.579~1.070)

 

(心血管疾患の既往ありの患者)

ダパグリフロジン群:2.94/100人年 vs C群:3.76/100人年

HR=0.806(95%CI:0.562~1.156)

 

(心血管リスクのある高齢者)

ダパグリフロジン群:4.19/100人年 vs C群:5.06/100人年

HR=0.824(95%CI:0.497~1.365)

 

☆心血管死亡

(全員)

ダパグリフロジン群:0.37/100人年 vs C群:0.59/100人年

HR=0.704(95%CI:0.367~1.359)

 

(心血管疾患の既往ありの患者)

ダパグリフロジン群:0.74/100人年 vs C群:0.85/100人年

HR=0.785(95%CI:0.365~1.689)

 

(心血管リスクのある高齢者)

ダパグリフロジン群:1.27/100人年 vs C群:1.11/100人年

HR=1.018(95%CI:0.369~2.811)

 

心筋梗塞

(全員)

ダパグリフロジン群:0.48/100人年 vs C群:0.91/100人年

HR=0.567(95%CI:0.339~0.947)

 

(心血管疾患の既往ありの患者)

ダパグリフロジン群:0.82/100人年 vs C群:1.39/100人年

HR=0.578(95%CI:0.301~1.107)

 

(心血管リスクのある高齢者)

ダパグリフロジン群:1.18/100人年 vs C群:1.42/100人年

HR=0.767(95%CI:0.295~1.994)

 

脳卒中

(全員)

ダパグリフロジン群:0.45/100人年 vs C群:0.57/100人年

HR=0.999(95%CI:0.536~1.864)

 

(心血管疾患の既往ありの患者)

ダパグリフロジン群:0.95/100人年 vs C群:0.69/100人年

HR=1.009(95%CI:0.491~2.074)

 

(心血管リスクのある高齢者)

ダパグリフロジン群:1.29/100人年 vs C群:1.68/100人年

HR=0.806(95%CI:0.317~2.050)

 

☆不安定狭心症

(全員)

ダパグリフロジン群:0.44/100人年 vs C群:0.58/100人年

HR=0.870(95%CI:0.475~1.593)

 

(心血管疾患の既往ありの患者)

ダパグリフロジン群:0.87/100人年 vs C群:1.06/100人年

HR=0.883(95%CI:0.442~1.767)

 

(心血管リスクのある高齢者)

ダパグリフロジン群:0.96/100人年 vs C群:1.42/100人年

HR=0.706(95%CI:0.263~1.895)

 

☆予期せぬ冠動脈再建術

(全員)

ダパグリフロジン群:0.90/100人年 vs C群:1.47/100人年

HR=0.729(95%CI:0.497~1.067)

 

(心血管疾患の既往ありの患者)

ダパグリフロジン群:1.95/100人年 vs C群:2.67/100人年

HR=0.795(95%CI:0.512~1.233)

 

(心血管リスクのある高齢者)

ダパグリフロジン群:2.39/100人年 vs C群:2.80/100人年

HR=0.952(95%CI:0.493~1.836)

 

心不全による入院

(全員)

ダパグリフロジン群:0.15/100人年 vs C群:0.41/100人年

HR=0.361(95%CI:0.156~0.838)

 

(心血管疾患の既往ありの患者)

ダパグリフロジン群:0.51/100人年 vs C群:0.94/100人年

HR=0.371(95%CI:0.155~0.889)

 

(心血管リスクのある高齢者)

ダパグリフロジン群:0.67/100人年 vs C群:0.96/100人年

HR=0.389(95%CI:0.103~1.470)

 

感想

 MACEまたは、MACE+不安定狭心症による入院はいずれも減少傾向はあるものの、有意差無しとなっている。

 心血管疾患の既往のある患者では、心不全による入院は有意に減らすという結果が得られている。

 現時点ではいずれの患者に対しても、積極的にダパグリフロジンを使う事を勧めるような結果とは感じない。ただ、心血管疾患既往のある患者では。心不全による入院を減らすという結果も出ているため使用を全く否定するようなものでもないかと思う。

 いずれにしても、第2b相と第3相試験の統合結果という事で、結果をそのまま鵜呑みには出来ないかもしれないと感じた。

  

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。

重篤な低血糖を経験したことがあると、股関節骨折のリスクは高くなりますか?

ご訪問ありがとうございます。

 

これまで低血糖と骨折に関する論文を読んでいなかったため、今回見つけて読んでみました。残念ながら、アブストラクトしか読めませんが・・・。

 

参考文献 Severe hypoglycemia and hip fracture in patients with type 2 diabetes: a nationwide population-based cohort study.

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28374044

 

PMID:28374044

 

研究デザインコホート研究

 

論文のPECO

P:2型糖尿病患者

E:重篤な低血糖あり→2588名

C:重篤な低血糖無し→5173名

O:股関節骨折

 

研究対象集団の代表性

→台湾の国民健康保険データベースが用いられており、大きな問題無し

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

調節した交絡因子は何か?

→不明

 

追跡期間

→中央値3.9年

 

結果

股関節骨折

E群:148/2588件(17.9/1000人年) vs C群:209/5173件(8.83/1000人年)

調整HR=1.71(95%CI:1.35~2.16)

 

※股関節骨折を起こした患者の約半数が、最初の重篤な低血糖から2年以内に股関節骨折を経験

 

SU薬単独インスリン単独インスリン分泌促進薬+インスリンを使用している患者で、股関節骨折リスクが高い傾向に見られた

 

感想

 低血糖を起こすと、その後の股関節骨折リスクは高くなる傾向にあるとの結果。残念ながらアブストラクトしか読めないため詳細な結果は分からないが、SU薬やインスリン使用患者は転倒に十分注意する必要がある。また、低血糖を起こしやすい患者の血糖降下薬使用は慎重に行う必要がある。

 最初の重篤な低血糖から2年以内の股関節骨折の割合が高いとの結果であるため、低血糖を起こした場合は、比較的早い段階で薬剤の変更や減量も考慮する必要があるのではないかと感じた。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。

糖尿病治療薬ごとの心不全、心血管疾患、総死亡

ご訪問ありがとうございます。

 

今回も糖尿病関連で気になる論文を見つけたので読んでみました。

 

参考文献 Diabetes treatments and risk of heart failure, cardiovascular disease, and all cause mortality: cohort study in primary care.

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=27413012

 

PMID:27413012

 

研究デザインコホート研究

 

論文のPECO

P:25~84歳の2型糖尿病患者469688名

E:①グリタゾン、②グリプチン、③メトホルミン、④SU薬、⑤インスリン

C:使用無し

O:心不全、心血管疾患(狭心症心筋梗塞脳卒中TIA+)、総死亡

 

※除外基準

35歳以前に1型糖尿病の診断を受けインスリン導入となっている患者

 

研究対象集団の代表性

→英国のプライマリケアデータベースが用いられており、大きな問題は無いかと思われる

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

調節した交絡因子は何か?

→性別、年齢、糖尿病の診断からの期間、民族、タウンゼント階層スコア、喫煙歴、他の糖尿病治療薬併用、抗凝固薬、チアジド、ACE-I、ARB、CCB、スタチン、アスピリン、合併症(失明、高血糖低血糖、切断、重篤な腎不全)、高血圧、心血管疾患、心房細動、慢性腎不全、関節リウマチ、心臓弁膜症、末梢血管疾患、BMI収縮期血圧HbA1c、血清クレアチニン、HDLの割合

 

 

結果

☆それぞれの糖尿病治療薬服用無しの患者との比較

総死亡

グリタゾン  調整HR=0.77(95%CI:0.71~0.84)

グリプチン  調整HR=0.82(95%CI:0.77~0.88)

メトホルミン 調整HR=0.59(95%CI:0.58~0.60)

SU薬    調整HR=1.10(95%CI:1.07~1.12)

インスリン  調整HR=1.47(95%CI:1.41~1.53)

 

心不全

グリタゾン  調整HR=0.74(95%CI:0.66~0.83)

グリプチン  調整HR=0.86(95%CI:0.78~0.95)

メトホルミン 調整HR=0.70(95%CI:0.68~0.73)

SU薬    調整HR=1.32(95%CI:1.22~1.43)

インスリン  調整HR=0.92(95%CI:0.79~1.06)

 

心血管疾患

グリタゾン  調整HR=0.75(95%CI:0.69~0.81)

グリプチン  調整HR=0.94(95%CI:0.88~1.00)

メトホルミン 調整HR=0.76(95%CI:0.74~0.78)

SU薬    調整HR=1.00(95%CI:0.97~1.03)

インスリン  調整HR=1.23(95%CI:1.15~1.31)

 

☆単剤、2剤併用、3剤併用ごとの比較(無治療との比較)

①単剤

心不全

メトホルミン 調整HR=0.68(95%CI:0.65~0.71)

SU薬    調整HR=1.00(95%CI:0.94~1.07)

インスリン  調整HR=1.26(95%CI:1.10~1.44)

グリタゾン  調整HR=0.50(95%CI:0.26~0.97)

グリプチン  調整HR=0.87(95%CI:0.58~1.31)

 

心血管疾患

メトホルミン 調整HR=0.76(95%CI:0.74~0.79)

SU薬    調整HR=1.00(95%CI:0.95~1.05)

インスリン  調整HR=1.22(95%CI:1.08~1.37)

グリタゾン  調整HR=0.79(95%CI:0.53~1.18)

グリプチン  調整HR=1.14(95%CI:0.85~1.54)

 

総死亡

メトホルミン 調整HR=0.64(95%CI:0.63~0.66)

SU薬    調整HR=1.24(95%CI:1.20~1.28)

インスリン  調整HR=1.64(95%CI:1.55~1.74)

グリタゾン  調整HR=0.89(95%CI:0.67~1.18)

グリプチン  調整HR=1.20(95%CI:1.00~1.44)

 

②2剤併用

心不全

メトホルミン+SU薬    調整HR=0.74(95%CI:0.70~0.78)

メトホルミン+インスリン  調整HR=1.08(95%CI:0.93~1.25)

メトホルミン+グリタゾン  調整HR=0.50(95%CI:0.40~0.63)

メトホルミン+グリプチン  調整HR=0.62(95%CI:0.52~0.75)

SU薬+インスリン     調整HR=1.18(95%CI:0.96~1.45)

SU薬+グリタゾン     調整HR=0.65(95%CI:0.47~0.89)

SU薬+グリプチン     調整HR=0.88(95%CI:0.66~1.17)

 

心血管疾患

メトホルミン+SU薬    調整HR=0.75(95%CI:0.73~0.78)

メトホルミン+インスリン  調整HR=0.89(95%CI:0.78~1.01)

メトホルミン+グリタゾン  調整HR=0.46(95%CI:0.39~0.54)

メトホルミン+グリプチン  調整HR=0.67(95%CI:0.59~0.75)

SU薬+インスリン     調整HR=1.18(95%CI:0.96~1.44)

SU薬+グリタゾン     調整HR=0.75(95%CI:0.58~0.98)

SU薬+グリプチン     調整HR=0.97(95%CI:0.76~1.22)

 

総死亡

メトホルミン+SU薬    調整HR=0.62(95%CI:0.60~0.64)

メトホルミン+インスリン  調整HR=0.76(95%CI:0.69~0.84)

メトホルミン+グリタゾン  調整HR=0.55(95%CI:0.47~0.64)

メトホルミン+グリプチン  調整HR=0.52(95%CI:0.46~0.59)

SU薬+インスリン     調整HR=1.49(95%CI:1.35~1.66)

SU薬+グリタゾン     調整HR=0.96(95%CI:0.80~1.16)

SU薬+グリプチン     調整HR=0.92(95%CI:0.79~1.08)

 

③3剤併用

心不全

メトホルミン+SU薬+インスリン 調整HR=0.91(95%CI:0.76~1.09)

メトホルミン+SU薬+グリタゾン 調整HR=0.54(95%CI:0.45~0.64)

メトホルミン+SU薬+グリプチン 調整HR=0.60(95%CI:0.52~0.70)

 

心血管疾患

メトホルミン+SU薬+インスリン 調整HR=0.95(95%CI:0.82~1.09)

メトホルミン+SU薬+グリタゾン 調整HR=0.59(95%CI:0.53~0.66)

メトホルミン+SU薬+グリプチン 調整HR=0.70(95%CI:0.63~0.78)

 

総死亡

メトホルミン+SU薬+インスリン 調整HR=0.98(95%CI:0.87~1.10)

メトホルミン+SU薬+グリタゾン 調整HR=0.44(95%CI:0.38~0.50)

メトホルミン+SU薬+グリプチン 調整HR=0.49(95%CI:0.44~0.55)

 

感想

 いずれのアウトカムもSU薬、インスリン以外では減少傾向を示す結果。個人的には、グリタゾン、グリプチンで心不全が有意に減っている点が興味深いと感じている。

 全体的に、やはりメトホルミンはいずれのアウトカムも減らしている印象であり、反対にインスリン+SU薬という組み合わせは各アウトカムを増やす傾向が見られているため、この組み合わせはどうなのかなという印象。

 2剤併用の場合、メトホルミンと組み合わせるなら、これまでにいくつか読んできた論文と同じようにSU薬よりはグリプチンの方が良さそうである。

 あくまでコホート研究であるので、各薬剤の組合せごとに比較したRCTも見つけて読んでいく必要があると思う。

 

 今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。