過活動膀胱に用いる抗コリン薬の便秘発現頻度の比較
ご訪問ありがとうございます。
今回は、日常の業務で出会うことも多いであろう、抗コリン薬による便秘の発現に関してです。
全文をフリーで読むことはできませんが、身近なテーマなので読んでみました。
参考文献 Overactive bladder drugs and constipation: a meta-analysis of randomized, placebo-controlled trials.
リンク http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20596778
PMID:20596778
研究デザイン:メタ分析(37研究のRCT)
論文のPECO
P:過活動膀胱患者
E:抗コリン薬:ダリフェナシン(3.75‐15mg)、フェソテロジン(4‐8mg)、オキシブチニン(10‐20mg速効型製剤、5mg徐放性剤、3.9mg貼付剤、1gゲル)、ソリフェナシン(5‐10mg)、トルテロジン(2‐4mg)、トロスピウム(20‐60mg)服用→合計12368名
C:プラセボ→7066名
O:便秘の頻度
一次アウトカムは明確か?
→明確
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
研究期間
大部分が2~16週間
4つのバイアス
1、評価者バイアス
→FREE SUMMARY DAREより、2名の評価者が独立してデータを評価
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmedhealth/PMH0031295/
評価者バイアス問題無し
2、出版バイアス
情報元:MEDLINE、コクラン
英語で書かれたRCTのみ
出版バイアスは微妙?
3、元論文バイアス
RCTのみを対象に集めているので、様々な研究デザインをごちゃまぜにしているわけではなさそう。
Supplementary materialを見てみると、modified Jadad scoring schemeを用いて元論文の質的評価を行っている。ほとんどの研究でJadad scoreが7点以上なので元論文の質に関してはそれなりのものと思われる。(10点満点中?)
4、異質性バイアス
異質性に関する記載がAbstractにはないが、FREE SUMMARY DAREより異質性は小~中程度(I2=0~50%程度の範囲)
結果
プラセボ比較による便秘頻度
全体vsプラセボ
OR=2.18 (95%CI:1.82~2.60) I2=29.4%
トルテロジンvsプラセボ
OR=1.36(95%CI:1.01~1.85) I2=0%
ダリフェナシン(3.75‐15mg)vsプラセボ
OR=1.93 (95%CI:1.40~2.66) I2=32.6%
フェソテロジンvsプラセボ
OR=2.07(95%CI:1.28~3.35) I2=0%
オキシブチニンvsプラセボ
OR=2.34(95%CI:1.31~4.16) I2=0%
トロスピウムvsプラセボ
OR=2.93 (95%CI:2.00~4.28) I2=46.5%
ソリフェナシンvsプラセボ
OR=3.02(95%CI:2.37~3.84) I2=49.1%
感想
AbstractとSupplementary material、SUMMARYぐらいしかフリーで読めなかったので、細かい情報が得られなかったが、少なくともいずれの抗コリン薬においても、便秘の増加傾向にはあるよう。
実際現場で働いていても、便秘や口渇で抗コリン薬が中止になるケースは良くあるし、どれが特別多いという感じではないが、自分の勤務先の薬局で渡す事が多いフェソテロジンやソリフェナシンもそれなりに多いのかなという印象。
口渇の発現頻度に関しても論文検索してみる必要がある。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。