小児の喘息に対するサルメテロール+フルチカゾンvsフルチカゾン単独
ご訪問ありがとうございます。
今回も、前回に続き喘息関連吸入薬についてです。
参考文献 Safety of Adding Salmeterol to Fluticasone Propionate in Children with Asthma.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=27579634
PMID:27579634
研究デザイン:ランダム化比較試験
ランダム化されているか?
→ランダム化されている
論文のPECO
P:喘息治療を要し、過去26週以内に喘息の悪化を経験した4~11歳の患者6208名
E:フルチカゾン+サルメテロール併用
C:フルチカゾン単独
O:(Safety)重篤な喘息関連イベント(死亡、気管内挿管、入院)
(Efficacy)全身性グルココルチコイド治療を要する喘息の悪化
※除外基準
生命にかかわる喘息、不安定喘息、直近の高用量ICSまたはICS/LABA使用、呼吸器疾患併発、呼吸器感染症など(詳しくはhttps://clinicaltrials.gov/show/NCT01462344参照)
サンプルサイズ
6200名
一次アウトカムは明確か?
→明確
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
盲検化されているか?
→アブストに記載がない。しかし、CONCLUSIONSの最後に記載されているNCT01462344を参照すると、Study Design のところにMasking: Double Blind (Subject, Caregiver, Investigator, Outcomes Assessor)の記載あり
→盲険化が行われている
ITT解析を行われているか?
→FAS?
脱落率は結果を覆すほどあるか?
→追跡率不明
追跡期間
→6か月
結果
重篤な喘息関連イベント(前例入院):Safety
E群 vs C群 HR=1.28(95%CI:0.73-2.27)
喘息症状の悪化:Efficacy
E群 vs C群 HR=0.86(95%CI:0.73-1.01)
感想
アブストのみなので詳しくは分からない部分もあるが、本研究の結果からだと、喘息関連イベントはサルメテロール併用の有無で差はないというものである。除外基準では、喘息関連イベントを起こしやすそうな患者は除外されているようなので、アウトカムの発生が少なく見積もられている可能性もあるのではないだろうか。
そして、追跡期間は6か月とやや短い印象があり、発生した喘息関連イベントは全て入院である。この結果のみでサルメテロール併用が、フルチカゾンと同程度に安全と言い切る事はできない。小児なので、しっかり吸入出来たのかな?というのも気になる。個人的には、心血管イベントを検討した結果が気になる所。
効果については、フルチカゾン単独に対する非劣勢を見ているようで、サルメテロール上乗せにより効果が高まるのかは疑問。
販売元のグラクソスミスクラインが資金提供しているので、結果の解釈には注意も必要かなと思う。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。