5αレダクターゼ阻害剤で骨折は増えますか?

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今回は、5αレダクターゼ阻害剤服用と骨折リスクに関して研究した症例対象研究です。

 

5αレダクターゼ阻害剤により、テストステロン→ジヒドロテストステロン(テストステロンより作用が強く、前立腺肥大などに関与)の経路が阻害されます。

 

男性ホルモンは、タンパク同化作用があると言われているので、何かしら影響あるのかな?と思い検索してみました。

 

本当は、デュタステリドと骨折リスクについて調べたかったのですが、検索の仕方が悪いのか見つけることが出来ず、同じ5αレダクターゼ阻害剤のフィナステリドを対象とした研究のものを読んでみました(´-ω-`)

 

参考文献  Association Between 5-_ Reductase Inhibition and Risk of Hip Fracture

リンク   https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18840839

 

PMID:18840839

 

研究デザイン:一般人口対象症例対象研究

 

論文のPECO

P:45歳以上で、1997年~2006年の間に大腿骨骨折が発生した患者7076名(症例群)と、年齢・医療機関、人種でマッチした、大腿骨骨折が発生しなかった者7076名(対照群)

E:5αレダクターゼ阻害剤服用

C:5αレダクターゼ阻害剤服用無し

O:大腿骨骨折

 

使用された5αレダクターゼ阻害剤:フィナステリド

 

研究対象集団の代表性

→問題無し

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

マッチングされているか?

→されている

 

調節した交絡因子は何か?

交絡因子:年齢、登録、医療センター、人種、民族、合併症、α遮断薬の使用

 

追跡期間

→10年

 

結果

症例群 フィナステリド服用あり:149/7076(1.5%)  服用無し:6967/7076(98.5%)

 

対照群 フィナステリド服用あり:141/7076(2.0%)  服用無し:6935/7076(98.0%)

 

調整オッズ比=0.71 (95%CI:0.55-0.93) p=0.04

 

フィナステリド総服用量ごとのオッズ

フィナステリド服用無し vs フィナステリド低用量(1-499mg) 

調節オッズ比=0.60(95%CI:0.69-0.95)

 

フィナステリド服用無し vs フィナステリド中用量(500-2749mg) 

調節オッズ比=0.86(95%CI:0.58-1.27)

 

フィナステリド服用無し vs フィナステリド高用量(>2750mg) 

調節オッズ比=0.75(95%CI:0.44-1.28)

 

感想

 結果を見てみると、フィナステリド服用で骨折リスクが下がるのではないか?みたいな結果になっているが、この症例対象研究だけでは何とも言えないかなと思う。この観察研究の結果のみから判断すると、5αレダクターゼ阻害剤服用は骨折リスクに影響が少ないのかもしれない。

 しかし、今回の研究は、まだデュタステリドが使われていない時代のものであり、全例フィナステリドの結果だそうなので鵜呑みには出来ないと思うが・・・。そもそも、そこまで5αレダクターゼ阻害剤の使用数が多くないので、結果の解釈が難しいところ。服用量との関連性もよく分からない感じになっている。

 うーん、デュタステリドと骨折リスクを検討した研究は、まだ無いのかなぁ~(´・ω・`)

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。