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関節リウマチ患者への経口ステロイドと総死亡・原因別死亡の関連

ご訪問ありがとうございます。

 

今回も引き続き、経口ステロイド関連の論文です。

 

参考文献 Oral glucocorticoid therapy and all-cause and cause-specific mortality in patients with rheumatoid arthritis: a retrospective cohort study.

リンク   https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=27256352

 

PMID:27256352

 

研究デザイン:後ろ向きコホート研究

 

 

論文のPECO

P:16歳以上の関節リウマチ患者16,762名

E:グルココルチコイド使用

C:グルココルチコイド服用無し

O:総死亡・原因別死亡

 

※グルココルチコイド使用量は、プレドニゾロン等量に換算されている

 

曝露(服用)の定義

(1)Ever use:1回でもグルココルチコイドを使用したことがある患者はever user。

 

(2)Current use:グルココルチコイドを服用している期間はCurrent user。服用していない期間はnon-user。

 

(3)Current dose:1日当たりのグルココルチコイド服用量を、5mg/dayごとに区切っている。non-userは0。

 

(4)Current dose category:current doseは、non-use、0~4.9、5~7.4、7.5~14.9、15~24.9、25mg/day以上に区分わけ。

 

(5)Cumulative dose since cohort entry:エントリー後の累積グルココルチコイド使用量。1,000mgごとに区切っている。

 

(6)Cumulative dose category:グルココルチコイド累積使用量は、non-use、0~959、960~3,054、3,055~7,299、7,300mg/dayに区分わけ。

 

研究対象集団の代表性

→UKのプライマリケア電子カルテを使用なので大きな問題なさそう

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

調節した交絡因子は何か?

→性別、年齢、BMI、喫煙、社会経済的地位(SES)、ベースライン以前の1年間の累積グルココルチコイド使用量、ベースラインのカールソン併存疾患指数、メトトレキサート・ヒドロキシクロロキン・スルファサラジン・レフルノミド・ペニシラミン・アザチオプリン・シクロスポリン・金製剤の注射の使用、NSAIDの使用

 

追跡期間

→中央値6.1年

 

結果

※1日平均服用量は7.5mg、累積服用量は5.3g

 

①グルココルチコイド使用の有無による総死亡・原因別死亡発生率

総死亡

Never use:15.5/1,000人年(14.6~16.5)vs Ever use:44.0/1,000人年(42.1~46.0)

 

心血管疾患による死亡

Never use:6.40/1,000人年(5.84~7.07)vs Ever use:15.8/1,000人年(14.7~17.0)

 

腫瘍による死亡

Never use:2.87/1,000人年(2.49~3.31)vs Ever use:10.1/1,000人年(9.17~11.0)

 

呼吸器疾患による死亡

Never use:1.98/1,000人年(1.67~2.35)vs Ever use:8.46/1,000人年(7.65~9.36)

 

その他の原因による死亡

Never use:4.25/1,000人年(3.78~4.77)vs Ever use:9.74/1,000人年(8.87~10.7)

 

 

②総死亡・原因別死亡の調整ハザード比

★Ever use vs  Never use  

総死亡 調整HR=1.97(95%CI:1.81~2.15)

心血管疾患による死亡 調整HR=1.66(95%CI:1.45~1.91)

腫瘍による死亡 調整HR=3.20(95%CI:2.66~3.86)

呼吸器疾患による死亡 調整HR=2.64(95%CI:2.11~3.31)

その他の原因による死亡 調整HR=1.39(95%CI:1.16~1.66)

 

Current use vs non-useによるハザード比

総死亡 調整HR=1.77(95%CI:1.62~1.93)

心血管疾患による死亡 調整HR=1.58(95%CI:1.37~1.83)

腫瘍による死亡 調整HR=2.22(95%CI:1.84~2.68)

呼吸器疾患による死亡 調整HR=1.92(95%CI:1.57~2.36)

その他の原因による死亡 調整HR=1.69(95%CI:1.41~2.02)

 

★Current doseが5mg/day増えるごとに調節HRはどれだけ高まるか

総死亡 調整HR=1.33(95%CI:1.30~1.35)

心血管疾患による死亡 調整HR=1.21(95%CI:1.16~1.27)

腫瘍による死亡 調整HR=1.46(95%CI:1.42~1.49)

呼吸器疾患による死亡 調整HR=1.36(95%CI:1.30~1.41)

その他の原因による死亡 調整HR=1.25(95%CI:1.20~1.31)

 

★Current doseカテゴリーごとの調整ハザード比(vs non-use)

総死亡 

0~4.9mg群 調整HR=1.02(95%CI:0.87~1.20)

5.0~7.4mg群 調整HR=1.44(95%CI:1.26~1.64)

7.5~14.9mg群 調整HR=2.24(95%CI:1.98~2.54)

15.0~24.9mg群 調整HR=4.50(95%CI:3.61~5.62)

>25mg群 調整HR=11.0(95%CI:8.87~13.6)

 

心血管疾患による死亡 

0~4.9mg群 調整HR=1.10(95%CI:0.85~1.41)

5.0~7.4mg群 調整HR=1.59(95%CI:1.31~1.94)

7.5~14.9mg群 調整HR=1.96(95%CI:1.59~2.24)

15.0~24.9mg群 調整HR=2.79(95%CI:1.80~4.31)

>25mg群 調整HR=2.48(95%CI:1.23~4.99)

 

腫瘍による死亡 

0~4.9mg群 調整HR=0.79(95%CI:0.51~1.22)

5.0~7.4mg群 調整HR=1.07(95%CI:0.75~1.52)

7.5~14.9mg群 調整HR=2.34(95%CI:1.75~3.13)

15.0~24.9mg群 調整HR=8.07(95%CI:5.41~12.0)

>25mg群 調整HR=31.3(95%CI:23.5~41.9)

 

呼吸器疾患による死亡 

0~4.9mg群 調整HR=0.87(95%CI:0.57~1.33)

5.0~7.4mg群 調整HR=1.74(95%CI:1.30~2.32)

7.5~14.9mg群 調整HR=2.19(95%CI:1.62~2.97)

15.0~24.9mg群 調整HR=8.03(95%CI:5.31~12.2)

>25mg群 調整HR=11.4(95%CI:6.84~19.0)

 

その他の原因による死亡 

0~4.9mg群 調整HR=1.15(95%CI:0.85~1.57)

5.0~7.4mg群 調整HR=1.23(95%CI:0.93~1.63)

7.5~14.9mg群 調整HR=2.66(95%CI:2.09~3.38)

15.0~24.9mg群 調整HR=2.06(95%CI:1.09~3.90)

>25mg群 調整HR=6.87(95%CI:4.01~11.8)

 

累積グルココルチコイド量が1000mg増えるごとに、調整ハザード比はどれだけ高まるか

総死亡 調整HR=1.06(95%CI:1.05~1.07)

心血管疾患による死亡 調整HR=1.05(95%CI:1.04~1.07)

腫瘍による死亡 調整HR=1.06(95%CI:1.04~1.08)

呼吸器疾患による死亡 調整HR=1.07(95%CI:1.05~1.09)

その他の原因による死亡 調整HR=1.07(95%CI:105~1.08)

 

★累積グルココルチコイド量カテゴリーごとの調整ハザード比(vs non-use)

総死亡 

0~959.9mg群 調整HR=1.60(95%CI:1.42~1.81)

960~354.9mg群 調整HR=1.83(95%CI:1.62~2.07)

3055~7299.9mg群 調整HR=2.11(95%CI:1.87~2.39)

>7300mg群 調整HR=3.11(95%CI:2.74~3.52)

 

心血管疾患による死亡 

0~959.9mg群 調整HR=1.41(95%CI:1.16~1.72)

960~3054.9mg群 調整HR=1.38(95%CI:1.12~1.70)

3055~7299.9mg群 調整HR=1.91(95%CI:1.57~2.32)

>7300mg群 調整HR=2.59(95%CI:2.11~3.18)

 

腫瘍による死亡 

0~959.9mg群 調整HR=2.51(95%CI:1.97~3.21)

960~3054.9mg群 調整HR=3.84(95%CI:3.04~4.87)

3055~7299.9mg群 調整HR=3.31(95%CI:2.55~4.30)

>7300mg群 調整HR=3.85(95%CI:2.90~5.10)

 

呼吸器疾患による死亡 

0~959.9mg群 調整HR=2.18(95%CI:1.61~2.95)

960~3054.9mg群 調整HR=2.24(95%CI:1.64~3.05)

3055~7299.9mg群 調整HR=2.65(95%CI:1.95~3.61)

>7300mg群 調整HR=4.85(95%CI:3.59~6.55)

 

その他の原因による死亡 

0~959.9mg群 調整HR=1.04(95%CI:0.79~1.36)

960~3054.9mg群 調整HR=1.16(95%CI:0.88~1.52)

3055~7299.9mg群 調整HR=1.48(95%CI:1.15~1.92)

>7300mg群 調整HR=2.54(95%CI:1.98~3.25)

 

感想

 これまでに読んだ論文では、グルココルチコイド服用で、やや心血管イベントが高まる可能性が示唆されていた。今回の論文は、曝露情報の妥当性がやや劣るとされている後ろ向きコホート研究であるが、やはりグルココルチコイド服用ありvs服用無しでは、総死亡(HR=1.97)や心血管疾患による死亡(HR=1.66)、また腫瘍や呼吸器疾患による死亡も、服用あり群で若干リスクが高まる可能性が示唆されている。

 この研究結果のみで、グルココルチコイドが死亡にどの程度関連するかというのは難しい所ではある。1日25mg以上というのはあまり見かけない印象であり、症例数が少なかった影響もあるかもしれないが、少なくとも総死亡、心血管疾患による死亡、他の原因による死亡も用量依存が見られている。このことから、グルココルチコイド服用量と死亡の間には、多少なりと関連があるのではないかと感じている。

 グルココルチコイドの累積服用量に関しても、死亡との間に用量依存が見られるので、症状が安定していれば徐々に減量というのも検討してもいいのかもしれない。しかし、これまで有害事象の側面ばかり調べているので、今後は関節リウマチに対する経口ステロイドの効果の面も調べていく必要がある。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。