チアゾリジン系薬を続けると骨折リスクは上がりますか?

ご訪問ありがとうございます。

 

今回は、チアゾリジン系薬(TZD薬)と骨折リスクについてです。

 

チアゾリジン系薬のうち、国内で使われているのはピオグリタゾンですね。

 

恥ずかしながら、先週の糖尿病の勉強会に参加するまで、チアゾリジン系薬と骨折関連について意識したこともなかったです。

 

 

参考文献 Long-term use of thiazolidinediones and fractures in type 2
diabetes: a meta-analysis

 

リンク  http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2612065/pdf/20090106s00015p32.pdf

 

 

研究デザイン:メタ分析              

 

 論文のPECO

P:2型糖尿病患者

E:チアゾリジン系による治療あり

C:チアゾリジン系による治療無

O:(Primary)骨折リスク

 (Secondary)骨密度

 

※チアゾリジン系薬剤:ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン

 

一次アウトカムは明確か?

アウトカムとして、骨折リスクが設定されている→明確

 

真のアウトカムか?

真のアウトカム

 

4つのバイアス

1、評価者バイアス

2名の評価者が独立して選定・評価

 

評価者バイアス問題なさそう

 

2、出版バイアス

情報元:MEDLINE、EMBASE、コクラン、出版されていない記録も検索

不明点は著者にコンタクトを取り確認

 

出版バイアス問題なさそう

 

3、元論文バイアス

元論文に関して質的評価を行っている

10のRCTのうち、全て二重盲検で、隠蔽化は6の研究は十分、4の研究は不明確

 

元論文バイアスに多少問題あり?

 

4、異質性バイアス

いずれもI2はそこまで大きくない

 

異質性問題無し

 

研究期間

1~4年

 

結果

骨折リスク(全体)

OR1.45 (95%CI:1.18–1.79) I2=27% P<0.001

                             

骨折リスク(女性)

OR2.23 (95%CI:1.65–3.01) I2=0% P<0.001

 

骨折リスク(男性)

OR1.00 (95%CI:0.73–1.39) I2=0% P=0.98

 

 

感想

本研究の結果、女性ではチアゾリジン系薬(TZD薬)服用による骨折リスクの増加傾向が見られる。この結果だけから考察すると、特に女性では骨折に注意が必要かもしれない。全体のNNHを計算してみると175名となる。女性のNNTは36名となるので女性では比較的影響が大きいような印象を持った。

 TZD薬服用患者では、降圧剤などの転倒リスクとなるような併用薬がある場合も少なくないだろう。併用薬に関しても考慮する必要がある。

 解析に含まれている研究は、追跡期間が1~4年であるが、更なる長期使用の結果も気になる。また、本研究のTZD薬のうち、国内で使用されているピオグリタゾンの割合がどの程度だったのかという点も気になる。

 TZD薬は、効能についても多々議論があるようなので、この点も今後調べる必要がある。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。