DPP-4阻害薬は心血管イベントに影響しますか?
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今回は、DPP-4阻害薬と心血管イベントの関連に関するSR&MAの論文を読んでみました。
参考文献 Dipeptidyl peptidase-4 inhibitors and cardiovascular outcomes: meta-analysis of randomized clinical trials with 55,141 participants.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=24750644
PMID:24750644
研究デザイン:システマティックレビュー&メタ分析
論文のPECO
P:2型糖尿病患者
E:DPP-4阻害薬使用あり
C:DPP-4阻害薬使用無し(プラセボ、アクティブコントロール)
※含まれているDPP-4阻害薬
シタグリプチン、サキサグリプチン、ビルダグリプチン、リナグリプチン、アログリプチン
一次アウトカムは明確か?
→5つなので明確と考えたが、複数アウトカムが設定されているため、いずれかで有意差が出たときは注意が必要かもしれない
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
4つのバイアス
1、評価者バイアス
2名の評価者が独立して評価
評価者バイアスはさほど問題なさそう
2、出版バイアス
情報元:MEDLINE、EMBASE
・未出版のデータも探そうとしている
・英語で書かれたもののみ
・ファンネルプロットは、だいたい左右対称のように思われる
出版バイアスはさほど問題なさそう
3、元論文バイアス
・50個のRCTが統合されている
・Cochrane Collaboration risk of bias toolを用いて元論文の質を評価
→20の元論文はLow risk、その他はHigh riskと評価された
やや質の低い論文が多いかもしれないので、注意は必要かと思う
4、異質性バイアス
いずれも異質性は低い
結果
総死亡
RR=1.01 (95%CI:0.91~1.13) I2=0% p=0.83
心血管死亡
RR=0.97 (95%CI:0.85~1.11) I2=0% p=0.70
急性冠症候群
RR=0.97 (95%CI:0.87~1.08) I2=0% p=0.59
RR=0.98 (95%CI:0.81~1.18) I2=0% p=0.80
RR=1.16 (95%CI:1.01~1.33) I2=0% p=0.04
感想
心血管イベントは、プラセボや他の血糖降下薬(メトホルミン、SU薬、チアゾリジン系薬)と比較して死亡や心血管イベントを減らさないという結果。
個々の研究については、やや質の低い物が多いかもしれないので注意が必要かもしれない。そして、イベント発生数が0件という研究も多く、ほとんどがScirica et al.(2013)【PMID:23992601】の研究に結果が引っ張られている感じがある。
心不全リスクが高まる事が示唆されているが、これもScirica et al.(2013)の研究に引っ張られている感じではある。しかし、重大なイベントでありこの辺りは慎重に評価していく必要がありそう。
少なくとも、心血管イベント防止という意味でのDPP-4阻害薬から得られる恩恵は不明確であり、また一部の研究で心不全リスクの増加が示唆されている点からも、2型糖尿病患者に対して積極的にDPP-4阻害薬を用いる事を後押しするような結果ではない。
患者個々の背景なども考慮しつつ、個々にに対して用いる事のメリットを検討していきたい。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。