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デュタステリドで前立腺癌発症は抑えられますか?

ご訪問ありがとうございます。

 

今回は、5α-還元酵素阻害剤として前立腺肥大症に用いられるデュタステリドの、前立腺癌発症抑制を検討した試験についてです。

 

現在、国内では前立腺肥大症にしか適応無いですが、確認しておいてもいいかなと思い読んでみました。

 

参考文献  Effect of Dutasteride on the Risk of Prostate Cancer

リンク        http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20357281

 

PMID:20357281

 

研究デザイン:多施設共同 ランダム化比較試験

 

ランダム化されているか?

→されている

 

論文のPECO

P: PSA2.5~10.0ng/mlの50~60歳、またはPSA3.0~10.0ng/mlの60~75歳の男性で、6か月以内に前立腺生検を受けた者

E:デュタステリド0.5mg

C:プラセボ

O:(Primary) 2年、4年後の前立腺癌発生(生検により判定)

 (Secondary)グリソンスコア、腫瘍の容積、前立腺癌陽性コアの割合、高度上皮内がん、非定型の小腺房増殖、IPSS、前立腺総容積のベースラインからの変化、αブロッカーによる治療を受けている患者割合、急性尿閉、前立腺肥大の手術、尿路感染症

 

除外基準

1回以上の前立腺生検、前立腺癌、高度上皮内がん、非定型小胞状増殖、前立腺癌の既往歴、前立腺容積>80ml、前立腺手術歴、IPSS>25、αブロッカー服用者のうちIPSS>20

 

IPSS(国際前立腺症状スコア):前立腺肥大症の症状の程度を評価するのに用いられるスコア。一般的に、0~8が軽症、9~20が中等度、20以上で重症と考えられる。

 

グリソンスコア:前立腺針生検で採取した組織を顕微鏡で観察し、癌の悪性度を判断するのに用いる指標。2~10の9段階に分類し、スコアが高いほど癌の悪性度が高い。

 

サンプルサイズ

8000名(パワー90%、α=1%)

 

一次アウトカムは明確か?

→明確

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

盲検化されているか?

→されている

 

ITT解析を行われているか?

at least one dose of the assigned study medication.→FAS

 

脱落率は結果を覆すほどあるか?

追跡率81.7%

 

追跡期間

4年間

 

結果

前立腺癌発症

 

発生率

デュタステリド群

659/3305件(19.9%)

プラセボ

858/3424件(25.1%)

NNT=85名

 

前立腺容積

 

ベースライン(ml)

2年後

4年後

変化

デュタステリド群

45.7±0.28

38.6±0.31

39.0±0.32

-17.4%

プラセボ

45.8±0.30

52.3±0.40

56.2±0.44

+19.7%

 

その他の前立腺肥大症に関連するアウトカム                               

 

デュタステリド群

(4049名)

プラセボ

(4073名)

RRR

p値

急性尿閉

63件(1.6%)

272件(6.7%)

77.3%

<0.001

前立腺肥大症の手術

57件(1.4%)

209件(5.1%)

73.0%

<0.001

尿路感染症

214件(5.3%)

360件(8.8%)

40.7%

<0.001

NNT 急性尿閉:20名 前立腺肥大症の手術:27名 尿路感染症:29名

 

有害事象

 

デュタステリド群(4105名)

プラセボ

(4126名)

p値

性欲低下

137件(3.3%)

65件(1.6%)

<0.001

性欲消失

79件(1.9%)

54件(1.3%)

0.03

勃起不全

369件(9.0%)

237件(5.7%)

<0.001

精液量減少

56件(1.4%)

9件(0.2%)

<0.001

女性化乳房

76件(1.9%)

43件(1.0%)

0.002

死亡

70件(1.7%)

77件(1.9%)

0.65

 

 

感想

本研究の結果から行くと、デュタステリド服用で、前立腺癌の発症はやや抑制できるようである。そのNNTも85名ということで、まずまずかなという印象である。しかし、現在のところ前立腺肥大症への適応しか取得されていないため、使用される場面も限られており、現場でこのデータをどう活かすかは難しいところ。

確かに、前立腺肥大症に対する効果はある程度認められそうであるが研究にグラクソスミスクラインが関与している点から、結果はやや割り引いて考える必要があるのではないだろうか。

有害事象の女性化乳房は意外に少ないような印象を受けた。

 

また、補足情報として、前立腺肥大症の治療に用いる場合ですが、添付文書の記載によると、

「投与開始初期に改善が認められる場合もあるが、治療効果を評価するためには、通常6 ヵ月間の治療が必要である。」

だそうです。2週間ほどで、全然効果ないとおっしゃる患者さんもいらっしゃいますが、この点はお伝えした方がいいように思います。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。