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カルシウム拮抗薬は胃食道逆流症状に影響しますか?

 

ご訪問ありがとうございます。

 

今回は、カルシウム拮抗薬と胃食道逆流症状の関連についてです。

 

継続的にアムロジピンを飲まれている患者様が、先日の投薬時に「最近胃酸が上がってくるような感じがある」とお話しされていました。

 

一般的に、カルシウム拮抗薬は血管平滑筋だけでなく、胃酸の逆流を防いでくれている下部食道括約筋LES:平滑筋の一種)も弛緩させると言われています。すると、LES圧が低下し、胃酸の逆流が起こりやすくなります。

 

この事を踏まえ、論文を検索してみましたが、なかなかそれっぽい論文が見つけられませんでした。

 

ところが、いつも勉強させて頂いている先生がブログで、数日前に取り上げて下さっていたので(ありがたや~)、めちゃくちゃ便乗して読んでみました。

 

参考文献 Do calcium antagonists contribute to gastro-oesophageal reflux disease and concomitant noncardiac chest pain?

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=17298478

 

PMID:17298478

 

研究デザイン:後ろ向きコホート研究

 

論文のPECO

P:高血圧治療にカルシウム拮抗薬を服用していて、虚血性心疾患や硝酸薬使用歴の無い患者

E:カルシウム拮抗薬服用前

C:カルシウム拮抗薬服用後

O:胃食道逆流症

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

研究対象集団の代表性

→西オーストラリアの15の薬局(院内1件、市中薬局14件)の患者が対象なので、一般化は難しいと思われる

 

調節した交絡因子は何か?

→年齢、性別、併存疾患、投与量、併用薬

 

結果

消化器症状の発現

・被験者371名のうち、241名は過去に消化器症状が無かった。そのうち85名(35.3%)でカルシウム拮抗薬治療後に消化器症状の発現が認められた。

 

ニフェジピン 36.5% p=0.043

 

アムロジピン 35.8% p=0.005

 

フェロジピン 32.0% p=0.118

 

ベラパミル 39.1% p=0.001

 

ジルチアゼム 30.7% p=0.107

 

消化器症状の悪化

・被験者のうち130名はカルシウム拮抗薬投与前から消化器症状があり。そのうち59名(45.4%)で症状の悪化が見られた。

ニフェジピン 15/28件(53.6%) p<0.0001

 

アムロジピン 19/31件(61.3%) p<0.0001

 

フェロジピン 15/28件(53.6%) p<0.0001

 

ベラパミル 8/27件(29.6%) p<0.0160

 

ジルチアゼム 2/16件(12.5%) p<0.5000

 

ジルチアゼムと比較した症状悪化のオッズ比

ニフェジピン OR=4.03(95%CI:1.10~14.80)

 

アムロジピン OR=4.22(95%CI:1.13~15.70)

 

フェロジピン OR=3.58(95%CI:0.98~13.12)

 

ベラパミル OR=1.80(95%CI:0.49~6.67)

 

感想

 カルシウム拮抗薬により、胃食道逆流症の発症や症状悪化は増加傾向にあるという結果が示されている。1つの後ろ向きコホート研究の結果ではあるが、カルシウム拮抗薬服用と胃食道逆流症の間に多少の関連はあるのかもしれない。

 この結果を眺めると、何となくアムロジピンやニフェジピンなどのジヒドロピリジン系の方が、非ジヒドロピリジン系のベラパミル(フェニルアルキルアミン系)や、ジルチアゼム(ベンゾチアゼピン系)より症状悪化は多いような感じがするが、実際のところは分からない。

 カルシウム拮抗薬による治療開始前には症状が無かったのに、カルシウム拮抗薬による治療開始後まもなくの症状発現が見られた、また、以前から症状はあったが、カルシウム拮抗薬による治療開始後に症状の悪化が見られた場合は、カルシウム拮抗薬が関与している可能性も疑って対処する必要がありそうである。

 個人的には、この症状がカルシウム拮抗薬開始直後なのか、長期に服用し続けた時点なのか、どの時点で現れやすいのかという点についても気になる。

 

また、もう少しさがしてみると以下のような論文もありました。

Influence of calcium channel blockers in patients with gastrointestinal disease in Japanese community pharmacies.

リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21395634

 

PMID:21395634

 

こちらは、長崎県調剤薬局5店舗で行われた後ろ向きコホート研究です。

 

胃腸症状の悪化を、胃酸分泌抑制薬の変更をもとに評価しているようです。

 

胃酸分泌抑制薬の変更は、カルシウム拮抗薬処方群:53/260件、コントロール群:13/155件で生じたようで、ハザード比=2.22(95%CI:1.25~4.26)という結果だそうです。

 

アブストラクトしか読めず、詳細は分かりません。H2ブロッカーからPPIの変更も、PPIからH2ブロッカーの変更も胃酸分泌薬の変更という事になるので、胃酸分泌薬変更が症状の悪化とは一概には言えないのではないかとも思いました。それでも、カルシウム拮抗薬と胃食道症状との間に何らかの関連がある事を裏付けるデータの一つにはなるかもしれません。

 

なかなか、関連する論文がなかなか見つけられずでしたので、他にご存知の方がいらしたら、ぜひご教授頂ければ嬉しいです。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。