日本人におけるプラバスタチンの冠動脈疾患予防効果(MEGA study)
ご訪問ありがとうございます。
今回は、日本人を対象にプラバスタチンの冠動脈疾患一次予防効果を見た、MEGA studyの論文を読んでみました。
参考文献 Primary prevention of cardiovascular disease with pravastatin in Japan (MEGA Study): a prospective randomised controlled trial.
Pubmedのリンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17011942
PMID:17011942
ちなみに、Pubmedからではフルで読めなかったため、下のリンクからアクセスして頂ければと思います。↓↓
http://www.puppem.com/Documents/Lancet--Nakamura-MEGA-FullText30-09-2006.pdf
研究デザイン:ランダム化比較試験
論文のPECO
P:高コレステロール血症(5.69~6.98mmol/L:220~270mg/dL)で、冠動脈心疾患や脳卒中の既往の無い患者
E:プラバスタチン10~20mg/日+食事療法→3866名
C:食事療法のみ →3966名
O:(Primary) 冠動脈心疾患(致死性・非致死性心筋梗塞、狭心症、突然死、冠動脈血行再建術)
除外基準
ランダム化されているか?
→ランダム化されている
一次アウトカムは明確か?
→明確といえる
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
盲検化されているか?
→オープンラベル(PROBE法:prospective randomised, open-labelled, blinded-endpoint)
均等に割り付けられているか
→均等に2群に割り付けられていると思われる
ITT解析を行われているか?
→ITT解析されている
サンプルサイズ
→8000名(パワー80%、α=10%)
脱落率は結果を覆すほどあるか?
→追跡率:98.7%
追跡期間
→平均5.3年
結果
【ベースライン】
平均年齢:E群:58.4歳 C群:58.2歳
総コレステロール:両群ともに242mg/dL
HDLコレステロール:両群ともに58mg/dL
LDLコレステロール:両群ともに156mg/dL
トリグリセリド:両群ともに127mg/dL
【アウトカム】
冠動脈心疾患(Primary outcome)
E群:66/3866件(3.3/1000人年)vs C群:101/3966件(5.0/1000人年)
HR=0.67(95%CI:0.49~0.91) p=0.01 NNT=119
E群:17/3866件(0.9/1000人年)vs C群:33/3966件(1.6/1000人年)
HR=0.52(95%CI:0.29~0.94) p=0.03 NNT=255
心臓突然死
E群:5/3866件(0.2/1000人年)vs C群:10/3966件(0.5/1000人年)
HR=0.51(95%CI:0.18~1.50) p=0.21
E群:46/3866件(2.3/1000人年)vs C群:57/3966件(2.8/1000人年)
HR=0.83(95%CI:0.56~1.23) p=0.35
冠動脈血行再建術
E群:39/3866件(2.0/1000人年)vs C群:66/3966件(3.2/1000人年)
HR=0.60(95%CI:0.41~0.89) p=0.01
脳卒中(Secondary outcome)
E群:50/3966件(2.5/1000人年)vs C群:62/3866件(3.0/1000人年)
HR=0.60(95%CI:0.41~0.89) p=0.01
感想
この研究はPROBE法が用いられており、患者側、医療者側は盲検化されていない。その上で、Primary outcomeにはソフトエンドポイントである冠動脈血行再建術が含まれている点から、結果はやや割り引いて考える必要があると思う。
Primary outcomeのNNTを計算してみると119名となる。理論上1人のイベント発生を防ぐために、119名の治療が必要ということなので、プラバスタチンを冠動脈心疾患の一次予防を狙って服用することのメリットというのは案外大きくは無いのかなといった印象。心筋梗塞予防のNNTは255名なので、さらに小さいものかなと感じた。
今回は、E群もC群も、食事療法も行っているので、食事療法をやっている群とやっていない群の比較というのも気になる所である。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。