降圧薬を中断すると起立性低血圧が減らせますか?

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今回は、降圧薬中断と起立性低血圧の関係について調べてみました。

 

参考文献 Effect of discontinuation of antihypertensive medication on orthostatic hypotension in older persons with mild cognitive impairment: the DANTE Study Leiden.

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=26758532

 

 PMID:26758532

 

研究デザイン:ランダム化比較試験(二次解析)

 

論文のPECO

P:起立性低血圧があり、軽度認知機能障害がある75歳以上の患者で、降圧薬治療を行っており、重篤な心血管疾患のない患者162名(収縮期血圧<160mmHg、MMSE=21~27点)

E:降圧薬中断

C:降圧薬継続

O:(Primary) 4カ月以上起立性低血圧を発症しなかった割合

 

※除外基準:認知症の診断を受けた患者、重篤な心血管疾患

 

※起立性低血圧の定義

座位から立ちあがった時に、収縮期血圧20mmHg以上または拡張期血圧10mmHg以上の低下

 

ランダム化されているか?

→ランダム化されている

 

一次アウトカムは明確か?

→明確といえる

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム??

 

盲検化されているか?

→盲検化はされていないと思われる

 

均等に割り付けられているか

→均等に2群に割り付けられていると思われる

 

ITT解析を行われているか?

→ITT解析とPPS解析

 

脱落率は結果を覆すほどあるか?

→追跡率90.5%?

 

追跡期間

→4カ月

 

結果

【ベースライン】

年齢中央値:中止群:80.4歳 継続群:81.6

 

※患者の流れはFigure1を参照

 

4カ月起立性低血圧を起こさなかった患者(Primary outcome

①ITT

中止群:43/86件(50%)vs 継続群:29/76件(38%)

RR=1.31(95%CI:0.92~1.87) p=0.13

 

②PPS(完全に中断または一時的に中断 vs 継続)

中止群:37/67件(55%)vs 継続群:29/76件(38%)

RR=1.45(95%CI:1.01~2.07) p=0.04

 

③PPS(完全に中断 vs 継続)

中止群:28/67件(61%)vs 継続群:29/76件(38%)

RR=1.60(95%CI:1.10~2.31) p=0.01

 

感想

 あくまで二次解析ではあるが、起立性低血圧を起こしやすいような高齢者においては、降圧薬の中止で起立性低血圧を起こすリスクが下がる可能性が示されている。

 今回の患者群では、75歳以上と高齢な患者が対象となっている。両群共に半数以上が2剤以上の降圧薬を服用していた。結局、降圧剤中止群も再開になっている患者が多い印象である。完全に降圧薬を中断した患者のみvs継続群は、③PPS(完全に中断 vs 継続)の結果であるが、RR=1.60(95%CI:1.10~2.31) p=0.01。

 個人的に、起立性低血圧が真のアウトカムかという所は迷った。骨折や転倒なら、真のアウトカムだと思うが・・・。

 イメージとして、カルシウム拮抗薬では起立性低血圧が多い印象はあるが、個々のタイプや薬剤ごとの起立性低血圧発生の割合についても調べてみたい。また、骨折や転倒を一次アウトカムとした研究も見つけて読んでみたい。

 75歳以上と高齢で、収縮期血圧が相当高いわけではない(150未満ぐらい?)の降圧薬服用中の患者が、ふらつきやめまいなどを訴えている場合、降圧剤を1種類減らす、または減量を考えるのも1つの選択肢になるかなと感じた。中止するなら、どの系統の降圧剤を優先して中止するのがいいかも含めて、もっと突き詰めてみたい。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。