心房細動患者に対するNOAC vs ワルファリン
ご訪問ありがとうございます。
今回は、NOACとワルファリンの比較をしたメタ分析の論文を読んでみました。
参考文献 Effects of Non-Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulants Versus Warfarin in Patients With Atrial Fibrillation and Valvular Heart Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=28720644
フルテキスト http://jaha.ahajournals.org/content/6/7/e005835
PMID:28720644
研究デザイン:システマティックレビュー&メタアナリシス(4つのRCTを統合)
論文のPECO
P:心房細動患者71526名(13574名は心臓弁膜症あり)
E:NOAC(アピキサバン、ダビガトラン、エドキサバン、リバーロキサバン)
C:ワルファリン
O:脳卒中と全身塞栓症、死亡、大出血、頭蓋内出血
一次アウトカムは明確か?
→明確と判断した
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
4つのバイアス
1、評価者バイアス
2名の評価者が独立してデータ抽出している
評価者バイアスはさほど問題なさそう
2、出版バイアス
情報元:PubMed、Embase、Medline、CENTRAL
・言語制限なしに探している
・追加データも探している
出版バイアスはさほど問題なさそう
3、元論文バイアス
Cochrane risk-of-bias algorithmを用いて元論文の質を評価している
→Table1より、ほとんどの項目がLow risk
元論文バイアスもさほど問題なさそう
4、異質性バイアス
→結果を参照
結果
★脳卒中と全身塞栓症
①心臓弁膜症(VHD)あり患者群
NOAC vs ワルファリン HR=0.70 (95%CI:0.60~0.82) I2=0% p<0.0001
②心臓弁膜症(VHD)無し患者群
NOAC vs ワルファリン HR=0.84 (95%CI:0.74~0.94) I2=46% p=0.004
③全患者
NOAC vs ワルファリン HR=0.79 (95%CI:0.71~0.88) I2=39% p<0.0001
★死亡
①心臓弁膜症(VHD)あり患者群
NOAC vs ワルファリン HR=1.01 (95%CI:0.91~1.12) I2=0% p=0.92
②心臓弁膜症(VHD)無し患者群
NOAC vs ワルファリン HR=0.88 (95%CI:0.82~0.93) I2=0% p<0.0001
③全患者
NOAC vs ワルファリン HR=0.91 (95%CI:0.86~0.93) I2=7% p=0.001
★大出血
①心臓弁膜症(VHD)あり患者群
NOAC vs ワルファリン HR=0.93 (95%CI:0.67~1.28) I2=85% p=0.64
②心臓弁膜症(VHD)無し患者群
NOAC vs ワルファリン HR=0.85 (95%CI:0.71~1.02) I2=84% p=0.07
③全患者
NOAC vs ワルファリン HR=0.88 (95%CI:0.75~1.03) I2=83% p=0.11
★頭蓋内出血
①心臓弁膜症(VHD)あり患者群
NOAC vs ワルファリン HR=0.47 (95%CI:0.24~0.92) I2=86% p=0.03
②心臓弁膜症(VHD)無し患者群
NOAC vs ワルファリン HR=0.49 (95%CI:0.42~0.57) I2=0% p<0.00001
③全患者
NOAC vs ワルファリン HR=0.48 (95%CI:0.38~0.62) I2=70% p<0.00001
感想
脳卒中、全身塞栓症に関してはワルファリンと比較してNOACの方が抑制効果はあるような結果。また、VHD無しの患者では、死亡もワルファリンと比較して有意に減らしている。
大出血に関してはワルファリンと有意差は無いが、頭蓋内出血はNOACで少ないという結果。これは、NOACが第Ⅶ因子を阻害しないという所からきている結果なのかもしれない。
ただし、ROCKET AF試験の結果を見てみると、ワルファリンよりも大出血、頭蓋内出血ともに多い可能性がある。NOACの中でも、リバーロキサバンはやや出血リスクは高いのかもしれない。
統合されている4つのRCTに関しては読んでおいた方が良さそうなので、また読んでみようと思う。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。