日本人におけるリバーロキサバン vs ワルファリン
ご訪問ありがとうございます。
前回の記事に続けて、J-ROCKET AF試験読んでみました。
参考文献 Rivaroxaban vs. warfarin in Japanese patients with atrial fibrillation – the J-ROCKET AF study –.
リンク https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22664783
PMID:22664783
研究デザイン:ランダム化比較試験(非劣性)
※非劣性マージン:2.0
論文のPECO
P:20歳以上で脳卒中リスクの高い、非弁膜症性心房細動の日本人患者1280名
E:リバーロキサバン15mg/日(クレアチニンクリアランス30~49ml/minの患者では10mg/日)
C:ワルファリン(75歳未満はINR2.0~3.0を、75歳以上ではINR1.6~2.6を目指す)
O:(Primary)安全性: 大出血と臨床上意義のある非大出血の複合アウトカム
有効性:脳卒中と全身性塞栓症
※虚血性脳卒中・一過性脳虚血発作・非中枢神経系の全身塞栓症の既往歴、以下のうち2つ以上のリスク因子を持つ患者(うっ血性心不全または左室駆出率≦35%、高血圧、75歳以上、糖尿病)
ランダム化されているか?
→ランダム化されている
一次アウトカムは明確か?
→明確といえる
真のアウトカムか?
→真のアウトカム
盲検化されているか?
→二重盲検されている
均等に割り付けられているか
→均等に2群に割り付けられていると思われる
ITT解析を行われているか?
→On-treatment解析、ITT解析
サンプルサイズ
→1200名
※The study was not powered to test efficacy hypotheses and efficacy endpoints were evaluated in both the per-protocol and intention-to-treat (ITT) populations.
→有効性を評価するにはパワーが足りない
追跡期間
→30カ月
結果
【ベースライン】
平均年齢:71.1歳
CHADS2スコア:3点以上の患者が82~85%程度
大出血と臨床上意義のある非大出血の複合アウトカム(principal safety outcome)
リバーロキサバン群:18.04%/年vs ワルファリン群:16.42%/年
HR=1.11(95%CI:0.87~1.42) →非劣性が示された
大出血
リバーロキサバン群:3.00%/年vs ワルファリン群:3.59%/年
HR=0.85(95%CI:0.50~1.43)
臨床上意義のある非大出血
リバーロキサバン群:15.42%/年vs ワルファリン群:12.99%/年
HR=1.20(95%CI:0.92~1.56)
有害事象
リバーロキサバン群:23.6% vs ワルファリン群:24.3%
鼻出血(出血の中で最も頻度が高かったもの)
リバーロキサバン群:16.3% vs ワルファリン群:9.4%
脳卒中と全身塞栓症(Primary efficacy endpoint)
リバーロキサバン群:1.26%/年vs ワルファリン群:2.61%/年
HR=0.49(95%CI:0.24~1.00) p=0.050
※検出力不足の為参考程度に
感想
日本人の心房細動患者で、リバーロキサバンのワルファリンに対する大出血と臨床上意義のある非大出血の複合アウトカムの非劣性が示された。
ROCKET AF試験ではワルファリン群は統一してINR2.0~3.0にコントロールしていたが、本研究では年齢により75歳以上では1.6~2.6にコントロールしており、より慎重にワルファリンの量を調節している印象である。また、リバーロキサバンの量も15mg/日と国内で用いられている量になっている。
脳卒中と全身塞栓症(Primary efficacy endpoint)は、HR=0.49(95%CI:0.24~1.00)で、リバーロキサバン群で少ない傾向にあるが、検出力不足であるため参考程度にとどめておいた方が良さそうである。
他の論文やサブ解析なども探してみて、「どういった患者さんなら、ワルファリンよりDOACの使用を検討するか?」という事も考えていこうと思う。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。