心房細動患者に対するリバーロキサバンvsワルファリン

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今回は、リバーロキサバンとワルファリンの比較です。ROCKET AF試験ってやつですね。

 

 参考文献 Rivaroxaban versus warfarin in nonvalvular atrial fibrillation.

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=21830957

 

PMID:21830957

 

研究デザイン:ランダム化比較試験(非劣性)

※非劣性マージン:1.46

 

論文のPECO

P:脳卒中リスクの高い、非弁膜症性心房細動患者14264名

E:リバーロキサバン20mg/日(クレアチニンリアランス30~49mL/minの患者は15mg/日)

C:ワルファリン(INR2.0~3.0になるよう用量調節)

O:(Primary) 脳卒中(虚血性・出血性)と全身塞栓症の複合アウトカム

 

脳卒中リスク:脳卒中・一過性脳虚血性発作・全身塞栓症の既往歴、以下のうち2つ以上該当(心不全、左室駆出率35%以下、高血圧、75歳以上、糖尿病)

→CHADS2スコア≧2点

 

ランダム化されているか?

→ランダム化されている

 

一次アウトカムは明確か?

→明確といえる

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

盲検化されているか?

→二重盲検されている(double-dummyもされている)

※who provided sites with either real INR values (for patients in the warfarin group in

order to adjust the dose) or sham values (for patients in the rivaroxaban group receiving placebo warfarin) during the course of the trial.

→INRの変動で盲検化が見破られないよう、ワルファリン群は実際のINRを、リバーロキサバン群は偽値のINRを提供されている

 

隠蔽化されているか?

→Randomization was performed with the use of a central 24-hour, computerized, automated voice-response system.

隠蔽化されていると思われる

 

均等に割り付けられているか

→均等に2群に割り付けられていると思われる

 

ITT解析を行われているか?

→ITT解析、Per-protocol解析

 

サンプルサイズ

→14000名(パワー95%、α=5%)

 

脱落率は結果を覆すほどあるか?

→追跡率=99.8%

 

追跡期間

→中央値707日

 

結果

【ベースライン】

年齢:中央値73歳

CHADS2スコア:平均値:3.5点 中央値:3.0点

 

【アウトカム】

脳卒中と全身塞栓症の複合アウトカム(Primary outcome

リバーロキサバン群:1.7/100人年 vs  ワルファリン群: 2.2/100人年

HR=0.79(95%CI:0.66~0.96) p<0.001(非劣性が示された)

 

安全性

大出血+臨床上意義のある非大出血

リバーロキサバン群:14.9/100人年 vs  ワルファリン群: 14.5/100人年

HR=1.03(95%CI:0.96~1.11) p=0.44

 

大出血

リバーロキサバン群:3.6/100人年 vs  ワルファリン群: 3.4/100人年

HR=1.04(95%CI:0.90~1.20) p=0.58

 

頭蓋内出血

リバーロキサバン群:0.5/100人年 vs  ワルファリン群: 0.7/100人年

HR=0.67(95%CI:0.47~0.93) p=0.02 

 

感想

 Primary outcomeである脳卒中と全身塞栓症の複合アウトカムは、リバーロキサバンがワルファリンに比べて劣っていない事が示されている。また、大出血は両群で差が無く、頭蓋内出血はリバーロキサバン群で少ないという結果である。用量が国内で用いられているものよりやや多いので、もう少し変わってくることも考えられるが。

 現実として、リバーロキサバンとワルファリンの間で薬価の差が非常に大きい。そのことを考慮すると、頭蓋内出血が少ないとはいえ、247人に1人程度頭蓋内出血を回避できる程度の違いであり、積極的にワルファリンからリバーロキサバンに変更を勧めるというようなものではないという印象である。

 国内の結果を検討した、J-ROCKET AF試験も読んでおく必要がある。↓

参考文献 Rivaroxaban vs. warfarin in Japanese patients with atrial fibrillation – the J-ROCKET AF study –.

リンク  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22664783

 

PMID:22664783

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。