小児の急性気道感染症には、狭域スペクトルと広域スペクトルどちらの抗生物質がいいですか?

ご訪問ありがとうございます。

 

今回は、先日JAMAに報告され、個人的に気になった論文です。

 

残念ながら、アブストしか読めずに詳細は不明です。

 

参考文献 Association of Broad- vs Narrow-Spectrum Antibiotics With Treatment Failure, Adverse Events, and Quality of Life in Children With Acute Respiratory Tract Infections

リンク   https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=29260224

 

PMID:29260224

 

PMID不明

 

研究デザイン:後ろ向きコホート研究、前向きコホート研究

 

論文のPECO

P:急性上気道感染症と診断された6か月~12歳の小児

E:広域スペクトルの抗生物質

C:狭域スペクトルの抗生物質

O:後ろ向きコホート:診断から14日後の治療失敗、有害事象

  前向きコホートQOL、患者による有害事象の訴え

 

広域スペクトルの抗生物質:アモキシシリン-クラブラン酸、セファロスポリン

マクロライド

 

研究対象集団の代表性

ペンシルベニアニュージャージープライマリケア診療データを使用しており、大きな問題無し

 

真のアウトカムか?

→真のアウトカム

 

調節した交絡因子は何か?マッチングされているか?

→傾向スコアマッチされている

 

追跡期間

→14日間

 

結果

①前向きコホート

※30159名のうちわけ

19179名→急性中耳炎、6746名→A群連鎖球菌咽頭炎、4234名→急性副鼻腔炎

 

【アウトカム】

治療失敗

広域スペクトル:3.4% vs 狭域スペクトル:3.1% 

リスク差:0.3%(95%CI:-0.4%~0.9%)

 

②後ろ向きコホート

※2472名のうちわけ

1100名→急性中耳炎、705名→A群連鎖球菌咽頭炎、667名→急性副鼻腔炎

 

【アウトカム】

患者のQOL低下

広域スペクトル:90.2点 vs 狭域スペクトル:91.5点

スコアの差:-1.4点(95%CI:-2.4点~-0.4点)

 

医療者により報告された有害事象

広域スペクトル:3.7% vs 狭域スペクトル:2.7%

リスク差:1.1%(95%CI:0.4%~1.8%)

 

患者により報告された有害事象

広域スペクトル:35.6% vs 狭域スペクトル:25.1%

リスク差:12.2%(95%CI:7.3%~17.2%)

 

感想

 治療の失敗に関しては、広域スペクトルと狭域スペクトルで差が無い事が示されている。一方で、有害事象については広域スペクトルの方が多く報告されている。アブストしか読めないため、詳細については分からないが・・・。

 狭域スペクトルの抗菌薬で対処可能であれば、狭域スペクトルの物を使った方がいいのかもしれない。広域スペクトルの物は、次の選択肢として残しておいた方がいいのかもしれない。

 

今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。